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忙しいアピールをする人の心理とは? 男女別の特徴と対処法

小日向るり子

中田ボンベ@dcp

職場や身近に忙しいアピールをしてくる人はいませんか? 「徹夜で寝ていない」「予定が埋まっている」など、何かと忙しさをアピールしてくる人にはどんな心理があるのでしょう。心理カウンセラーの小日向るり子さんに、男女別の心理と特徴、関係性別の上手な付き合い方を教えてもらいます。

聞いてもいないのに「3時間しか寝てない」「2カ月先まで予定でいっぱい」と忙しいアピールをされた場合、皆さんはどう対応しますか? 仲のいい友人ならそこまでデリケートに対応しなくてもよさそうですね。

しかし、恋人や会社の上司など、適当に扱えない相手だとどうすればいいか迷うところ。

そこで今回は、忙しいアピールをする人の心理と上手な対応方法を探ります。

忙しいアピールをする人の特徴と心理【男性編】

まずは「忙しいアピール」をする人の本音について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞いてみました。

男性の場合、3つの心理パターンがあります。

(1)自信のなさによるもの

女性の社会進出が進んだ現在でも、社会的には「忙しい男は仕事ができる。仕事ができる男は魅力的だ」という意識があります。こうした感覚が強く、かつ自分の仕事に自信がない男性は仕事が忙しいアピールをしがちです。

「仕事はできる人のところに集まる」というイメージがあるため、「俺、仕事が忙しくて」と言えば「あなたは仕事ができるのですね」と相手に思ってもらえます。

自分の仕事を自分で認める自信がないため、他者から承認してもらうことで自分自身を認めたいのです。

(2)ナルシシズムによるもの

ナルシシズムとは「自己陶酔」の感情のこと。プライベートが忙しいと聞くと、多くの人は「あの人は友だちがたくさんいる」「趣味が充実していてアクティブな人」といった好意的な感情を抱きますよね。

そうした好意的な感情を言葉でもらうことによって、ますます自己陶酔をしたいのです。ナルシシズムは女性にも見られますが、権力欲求が高い男性のほうが顕著に出る心理状態といえます。

(3)こちらへの警戒によるもの

忙しいとアピールすることによって、何かが自分の身に降りかかることを阻止したいという感情です。女性として注意したいのは、片思い中の男性の忙しいアピール。

なぜなら、女性からの誘いを体よく断るためのツールとして使われることが多いからです。その男性が社会的に重要な立場にいたり、仕事が繁忙期で忙しかったりする場合は、本当に忙しいのか遠まわしに断っているのか第三者では見極めが難しいですよね。

そのため男性にとってはやんわりと相手の好意を遠慮する言動になることがあるのです。

忙しいアピールをする人の特徴と心理【女性編】

男性の忙しいアピールは、「他者に認めてもらうことによって自分の力をより誇示したい」という承認欲求からくることが多いのに対し、女性の場合は「弱音を吐きたい」「誰かに助けてほしい」という、心のSOSから発せられる場合が多いのが特徴です。

つまり「忙しい→誰か助けて!」という心理状態です。特に、普段我慢強いタイプの女性が忙しいアピールをしたら、本当に余裕がなくなっている状態だと考えられます。

そのほか、男性と同様に「忙しいとアピールすることによって何かを阻止したい」という心理が働いていることもあります。

しかし女性は阻止するよりも「逃げたい」という感情が強く働いている場合が多いです。たとえば仕事で何かを頼んだときに忙しいアピールをされたら、頼んだ業務を何らかの理由でやりたくないことが考えられます。

女性から忙しいアピールをされた場合は、その人が逃げたい理由は何かを考えてみる必要がありますね。

【関係性別】忙しいアピールをする人への対処法

忙しいアピールをされた場合、どう対処すればいいか迷うこともありますよね。たとえば「友だち」「上司」「恋人」の3つのケースでは、どのように対処するのが適切なのでしょうか? 同じく小日向先生に教えてもらいました。

友だちの場合

友だちがなぜ忙しいアピールをしてくるのかを判明させましょう。前述したように、「助けてほしい」というSOSの場合もありますので、まずはさり気なく「私に手伝えることがあったら遠慮なく言ってね」と伝えて、様子を見てください。

それでも何も言ってこずに忙しいアピールが続いた場合は、「忙しい私を認めてほしい」という承認欲求からきている可能性が高いです。そのケースでは、相手の欲求を満たしてあげると落ち着きます。「大変だね。無理しないでね」「仕事はできる人に集まるのだから、○○ちゃんは期待されているってことだよ」などと、共感する言葉や承認欲求が満たされる言葉をかけてあげましょう。

ただ、あまりにもアピールが続くと、聞いているこちらも疲れてしまいますよね。そんなときはちょっと「お灸をすえる」のもアリです。共通の友人と食事に行ったときの話をさりげなく持ち出し、「本当は誘いたかったけれど、○○ちゃん忙しいと言っていたから今回は□□と行ったよ」と言うのです。

忙しいアピールばかりしていると、友人に誘ってもらえなくなってしまうという危機感を覚えると、しつこいアピールが収まる場合があります。

ただし、言い方によっては友だちが傷ついてしまう可能性があるので、必ず「本当は誘いたかった」という言葉を忘れずに伝えるようにしてください。

職場の上司の場合

職場の上司が忙しいアピールをしてくる理由は、主に以下の3つのうちどれかです。

(1)手伝ってほしい

(2)ねぎらってほしい

(3)ただの口癖

(1)の場合は「何か私にできることがあったら言ってください」とストレートに伝えましょう。待ってましたとばかりに仕事を依頼されると思いますが、当然上司からの信頼度もグっとアップします。

(2)の場合は「部下からの承認」を求めています。甘えの感情も一部あるのですが、部下から自分の状況を認めてもらえていると認識することは、上司にとって大きな仕事のモチベーションになるのです。組織の力を活用するためには上司との連携が大切です。「本当に○○さんは大変ですよね」「私では力量不足でお手伝いできないのが心苦しいです」といった言葉で労って、上司のモチベーションを高めてあげてください。

(3)の場合は文字どおり口癖ですので軽く流すだけでよいでしょう。物を持ちあげるときに出る「よいしょ!」という掛け声と同じです。それに対していちいち合いの手は入れないですよね。どう見ても業務が忙しくないのに忙しいアピールをしてくる上司は、真面目に付き合っていると自分が疲れてしまいます。上司の普段の言葉使いから鑑みて判断してくださいね。

以上の3つから、職場の状況や上司の性質を見極めて上手に対処をしていきましょう。

彼氏や彼女の場合

普段「忙しい」が口癖ではない彼が忙しいアピールをしてきたら、それには必ず意味があります。大きく3つの可能性が考えられます。

(1)認めてほしい

(2)癒されたい

(3)距離を取りたい

(1)は「自己肯定感」の低下によるもの。たとえば仕事で失敗したり、上司やお客さまから怒られたりして凹んでしまった場合は、一過性ではありますが自己肯定感が低下してしまいます。そこで、一番身近な存在からの承認の言葉で自己肯定感を元に戻したいのです。

しかし、その気持ちをうまく伝えられない場合に、忙しいアピールをして遠まわしに承認の言葉をもらおうとするのです。「いつもお仕事がんばっているよね。お疲れさま。私はいつも見ているよ」といった言葉を気持ちを込めて伝えてあげると、彼は救われるでしょう。

好きな人から「お疲れさま」とねぎらってもらうとホッとして安心できますよね。(2)は、まさにそうした癒しの言葉を求めています。シンプルに「お疲れさま、大変そうだけど無理しないでね」と伝えてあげましょう。

ただし、癒されたいときに「がんばれ」という言葉はNGなので注意してくださいね。

彼が別れたいと思っている、もしくは距離を置きたいと思っている可能性があります。これが(3)の可能性です。

この場合は、彼の都合を考えずに自分の会いたいという欲求を押し通そうとしていなかったかなど、自分の言動が彼にとって負担になっていないかを思い起こしてみる必要があります。忙しい理由を追求したり、いつなら会えるのかを迫ったりすることはやめましょう。

忙しいアピールにはときに大事なサインが隠されている

「忙しいアピール」は、ただの口癖であるなど特に気にする必要のないケースがあります。しかし、中には自分を認めてほしいという気持ちが含まれていたり、SOSのサインであったりすることもあるようですね。

忙しい忙しいと何度も聞かされるとうんざりするかもしれませんが、友だちが発している大事なサインを見逃さないよう、ときには慎重に見極めることも肝要です。

(文:小日向るり子、構成:中田ボンベ/dcp)

※画像はイメージです

※この記事は2015年02月09日に公開されたものです

小日向るり子 (心理カウンセラー)

心理カウンセラー
フィールマインド 代表カウンセラー
正社員をしながらボランティアの電話相談員をしていました。「どんな電話も切らない」理念の中で恋愛、自死、癖、愚痴、いろいろな話を聴かせて頂きました。資格取得後はハラスメント相談員を経て現職。相談件数は2200件を超えます。悩みに大小はありません。

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中田ボンベ@dcp

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