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カラスは紫外線が見えるって本当?

どの自治体でも悩みのタネとなっているのがゴミの問題。なかでもカラス対策は深刻で、かごやネットで保護している地域も多いが、袋を工夫するだけで防げるのはご存じだろうか?

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人間には赤・緑・青の3原色しか見えないのに対し、カラスは「紫外線」を加えた4原色が見えるため、半透明のゴミ袋でも中身を正確に探り当てることができる。「黄色いゴミ袋」を導入して被害が減った自治体もあるが、紫外線だけを論じるならむかし懐かしい「黒いゴミ袋」が効果的なのだ。

紫外線でエサを識別する

ヒトの目はさまざまな色を識別できるが、実際に見えているのは赤・緑・青の3原色しかない。対して昆虫の多くは紫外線を感じ取り、ヒトとは異なる風景を見ている。紫外線を写すカメラで昆虫や花を撮影すると、肉眼では見えない模様が浮かび上がることがあるが、昆虫たちにとってはそれがオス/メスの識別子などになっている。

昆虫の世界では紫外線は当たり前の存在だが、なんとカラスを代表する鳥類も紫外線が見えるものが多いのだ。

トリとほ乳類の目の、大きな違いを挙げると、

・眼球が大きい … トリの目は、脳とほぼ同じ大きさ

・色と光を別々に識別する … 錐(すい)体細胞と桿(かん)体細胞

・網膜櫛(もうまくぐし)がある … 遠近の視力調節できる

・油球(ゆきゅう)がある … 特定の光を強める

があり、ヒトの錐体細胞は3種類しかないが、多くのトリには4種類あり、つまり4原色がベースになっている。種類によって見える色は異なるものの、カラスの場合は紫外線が見える構造になっているため、半透明のゴミ袋に入れた食品など、ひとには見えないものも識別できる。

片っ端から荒らしているように思われがちだが、エサがありそうな袋を選び、ピンスポットであさっているのだ。

カラスは知能が高いことでも知られ、からだに対する脳の大きさを表す脳化(のうか)指数で比較すると、

・ヒト … 0.89

・チンパンジー … 0.30

・カラス … 0.16

・イヌ … 0.14

・ネコ … 0.12

と、イヌ/ネコよりも大きく学習能力も高い。音や光でおどしても、すぐに効果が薄れてしまうのもこのためだ。ネットやかごに入れず、中身が透けて見える半透明のゴミ袋を排出すれば「カラスにえさを与えているのに等しい」といえるだろう。

カラスは黄色がキラいじゃない?

「黄色いゴミ袋」で被害が減った例もある。東京・杉並区ではカラスに荒らされる率が3分の1程度に下がったとのデータもあり、十分に効果的といえよう。ただしポイントは「黄色」ではなく、紫外線をカットする塗料を使った結果として黄色くなっている点だ。

紫外線カットでトリの被害を減らす方法は海外でもおこなわれており、アントラキノンという薬品が使われる。これを農作物に散布するとトリは「何か」わからなくなるため、被害を低減できるのだ。アントラキノンは染料にも利用され、鮮やかな黄色を放つ。

つまり黄色いゴミ袋は副産物でしかなく、色をつけただけでは不十分といえよう。

手軽に紫外線をカットするなら、昔懐かしい「黒いゴミ袋」が有効だ。素材によって差は生じるものの、黒は紫外線をもっとも通しにくい色だからだ。ただし、半透明が主流となったいま、黒ゴミ袋で排出するのは反則だし、ホームセンターでもめったに見かけないレアアイテムとなっているため、コスト・パフォーマンスも悪い。

連休などで排出できず、ベランダで一時保管せざるを得ないときは、紫外線カットフィルムか黒ゴミ袋をかぶせて、カラスになかをのぞかれないようにしておくと良いだろう。

まとめ

・カラスは紫外線が見える

・半透明のゴミ袋では、なかが透けて見えてしまう

・黄色いゴミ袋でカラスの被害が減った自治体もある

・紫外線だけを考えれば、黒い袋がもっとも透けにくい

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2015年01月10日に公開されたものです

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