16歳でも「成人」になれるって本当?
1月の風物詩とも呼べる成人式。おとなの仲間入りを果たす晴れ舞台だけに、いまから心躍らせているひとも多いだろう。
タバコやお酒には「未成年」の表現が使われるのに、なぜ「成年」式と呼ばれないのか? 日本の「成年」は20歳を意味するのに対し、「成人」は社会的な責任がとれるひとを指すので、一文字違いでも意味はまったく異なる。
女性は16歳、男性も18歳以上なら結婚できるので、20歳を待たずに成人することも可能なのだ。
成年は20歳、成人はおとな
「未成年」の飲酒や喫煙が禁じられているのは、いまさら説明する必要がないだろう。「20歳になってから」と印刷されているように「成年」は年齢を指し、日本の場合は20歳と定められている。民法・第4条によって、法定代理人なしでは財産を処分することもできないのだ。
ただし、16歳で働くことも可能だし、19歳と20歳で大きな違いが生じるとも考えにくい。そこで「こども」と表現するのも違和感があるため「未成年」と表現されるのが一般的で、年齢だけが判断材料になっているのだ。
年齢が基準になら、なぜ成「年」式と呼ばれないのか? 「成人」を平たくいえば、社会的な責任がとれ、自立した生活が送れるひとの意味で、年齢よりも成熟度がポイントとなる。しかしながらこれも個人差があり、18歳でも自立できるひともいれば、20歳を超えても誰かを頼りたいひともいるだろう。
ひとりひとりの事情を考慮すれば成人の精度も高まるのだろうが、事実上不可能だ。そこで成年=20歳になったら自動的に「おとな」、つまり成人と呼ばれる仕組みになっているのだ。
ここ数年、成人式会場で暴れ、いきなり行政のお世話になるひとが増えているが、語源を考えれば「おとなになった」ことを祝う式なのだから、くれぐれも「おとなの行動」を心がけて頂きたい。
海外では18歳が主流
成人=おとなの定義なら、20歳未満でも「おとな」になれる方法があるのか? 答えはYesで、結婚して社会的な責任を持つ立場になると、女性は16歳、男性は18歳から成人として扱われる。
未成年でも成人すると親の承諾がなくても家を買う、契約を結ぶなどができるようになる。ただし「未成年」には変わりないのでお酒もタバコもNGなのは変わりない。
法務省の資料から、海外の成年年齢と選挙権年齢、結婚が許される年齢をあげると、
・アメリカ(州によって異なる) … 18~21歳、18歳、13~18歳
・イギリス … 18歳、18歳、18歳
・イタリア … 18歳、16歳(裁判所の許可が必要)、18歳
・インド … 18歳、定めなし、定めなし
・フランス … 18歳、18歳、18歳
と、18歳で「おとな」として扱われる国が多く、日本の20歳は「そこまで待たなくても」感が否めない。そこで2018年6月21日以降におこなわれる「国民投票」は、18歳から投票できるように変更される予定だ。
国民投票は憲法が改正される際に、承認する/しないの意思を問うためのもので、いわゆる選挙ではないが、これこそ「おとな」としての判断が求められる行事である。飲酒や喫煙は肉体的な要因もあり一概に言えないが、
・憲法改正の是非を問う国民投票は18歳
・おとなとして扱われる成人は20歳
は、むしろ逆では?と思えてしかたがない。海外の成人年齢を考慮しても、これを機に成人=18歳に引き下げられる可能性をはらんでいると表現できるだろう。
まとめ
・成年は「20歳」、成人は「おとな」の意味
・20歳になると、自動的に「成人」になる
・20歳未満でも、結婚すると成人として扱われる
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年12月25日に公開されたものです