誰かの無線を受信しても、盗聴にならないって本当?
ネットワークからドアホンまで、あらゆるジャンルに活用されている「電波」。ケーブル不要ですぐに使える手軽さが魅力な反面、誰かに盗み聞きされても文句が言えないのはご存じだろうか?
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電波は「公共財産」として扱われるため、誰かが発した電波を無断で受信しても「基本的」に違法ではない。とくに無線LANやトランシーバによる通信は、無断で受信していても盗聴にはならないので、メールや会話の内容が全部知られている可能性もあるのだ。
電波の立ち聞き「傍受」は合法
テレビやラジオの仕組みからおわかりいただけるように、「受信したいひとは、どうぞご自由に」が電波の基本スタイルなので、誰が受信しても盗聴にはならない。これはトランシーバや無線機も同様で、第三者が会話を「立ち聞き」しても罪には問われない。
たとえるなら、みんながいるオフィス=公共の空間で会話をしているようなものだから、誰かが聞いていても「立ち聞き」呼ばわりするほうが不自然といえよう。これは傍受(ぼうじゅ)と呼ばれ、違法行為ではないのだ。
現在は内容がバレない暗号通信が主流になっているが、
・秘密(=通話内容)を誰かにもらす
・情報を盗み取る
目的の場合は処罰の対象になると電波法・109条-2で定められているものの、裏を返せば「興味本位で立ち聞きした」だけなら罪に問われない。つまり空中を飛んでいる電波を受信し、どんな内容かを調べても、誰にも伝えないしその情報を売ったりしなければ、完全に合法なのだ。
パソコンやスマホに使われているネットワークの場合、
・無線LAN(暗号化なし) … 電波法59条
・無線LAN(暗号化あり) … 電波法109条
で定められ、どちらも内容をもらさない限り、傍受しても罪には問われない。つまり、メールの内容やLAN経由の音声通話がダダ漏れになっている可能性もあるのだ。最近は「暗号化なし」でセキュリティ対策がまったくなされていない公衆スポットは見なくなったものの、WEPと呼ばれるもっとも弱い暗号化方式が使われているところも少なくない。
簡単に解読できることがすでに報じられ、すでに「暗号通信」と呼べる代物ではなくなっているので、大事なメールや音声通話は控えたほうが無難だ。
同じ電波でも、携帯は特別待遇
ケーブルを経由する有線LANの場合はどうなるか? 構造上「傍受」はできないので、途中に特殊な装置をつけて信号を分岐するか、別のケーブルをつないでネットワークに接続しない限り受信することはできない。これらは信号の盗み取りになるので、有線電気通信法・第9条によって処罰の対象となる。
空中を飛んでいる電波を拾うのではなく、情報を取りにゆくのだから、これこそ「盗聴」と呼ぶべきだろう。
肝心の携帯電話はどうかというと、無線LANと同様に電波を使っているものの、
・特定の番号に宛てて通信するため、「公共」の電波とは表現できない
・傍受できない工夫がなされている
・電気通信事業法・第4条により「秘密の保護」が定められている
と別ワクが設けられ、傍受はおろか盗聴も困難なので、無線LANよりもはるかに安心な存在といえよう。
あり得ない話ではあるが、もし携帯電話が混信し、だれかの会話が聞こえてきたら、すぐに切ってしまうのが最良の策だ。
まとめ
・トランシーバや無線機の通話を傍受しても、罪にはならない
・傍受した内容を他人にもらすと犯罪
・無線LANの「暗号化なし」と「WEP」は、かなり危険
・多くの無線は電波法で管理されるが、携帯電話は電気通信事業法が適用される
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年12月17日に公開されたものです