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たまねぎはイチゴに負けない甘さだって本当?「メロンに匹敵する甘さのたまねぎも存在する」

洋の東西を問わず、さまざまな料理に使われるたまねぎ。どこまでが皮でどこからが実?葉と茎の境界線は?などと話題の多い野菜だが、いちご並に甘いのはご存じだろうか?

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多くの植物は、養分をでんぷんとして蓄えるが、たまねぎは糖の状態で身につけるため、いちご並の糖度7~8%を誇る。水にさらしたり加熱すると「甘くなる」と表現されるが、辛み成分・硫化アリルがなくなるだけで、もともと持っている甘さが前面に出るだけの話。

糖度10%を超え、メロンに匹敵する甘さのたまねぎも存在するのだ!

甘みをジャマする硫化アリル

たまねぎは球根のような形をしているが、料理に使われる部分は根でも茎でもなく、葉鞘(ようしょう)と呼ばれる重なり合った葉だ。変わっているのは外観だけでなく、多くの植物が光合成で得た養分をでんぷんとして蓄えるのに対し、たまねぎは糖の状態で保存している。

計測器メーカーの資料から、身近な野菜の甘さ(=糖度)をあげると、

・ぶどう(巨峰) … 15~20%

・メロン … 13~18%

・みかん(温州)  … 12~14%

・すいか … 9~13%

・いちご … 8~9%

・たまねぎ … 7~8%

と、果物に匹敵する甘さを誇っている。もちろん品種や育て方によって差は生じるものの、辛いイメージとは裏腹に「いちご並に甘い」野菜なのだ。

たまねぎが辛く感じるのはなぜか? 原因は、にんにくやにらにも含まれる硫化アリルで、切ると涙が出る刺激や独特のにおいのもとにもなっている。スライスしたたまねぎは水にさらしておくのが定番なのは、硫化アリルが流れ出て食べやすくなるからだ。

ただし、ビタミンB1の吸収を助ける働きもするので、なるべく栄養を摂りたいひとは、水にさらさずに食べたほうが効果的といえよう。

たまねぎを炒めても、甘さは増えない?

炒めると甘くなるのはなぜか? いもに代表されるでんぷんの多い野菜も加熱すると甘くなるが、たまねぎの場合は硫化アリルと水分が抜け、もともと多い糖分が濃縮されるからだ。

でんぷんを含むものを食べると甘く感じるのは、だ液に含まれる酵素・プチアリンのおかげで、麦芽糖に分解されるのが理由だ。だが、生米が食べられないように、加熱しないとでんぷんは分解できない。いも類は加熱してから食べるのが定番なのも同じ理由で、同時に甘さが生まれる過程でもある。

だがタマネギはほとんどでんぷんを含まないので、この作用は起きていない。辛み成分である硫化アリルと水分が抜け、細胞がくずれて流れ出た糖分が濃縮されただけなので、「甘くなる」という言葉よりも「辛みを抜いた」と表現すべきなのだ。

兵庫県の淡路島は甘いたまねぎで有名で、土質や栽培方法、収穫後の乾燥方法を工夫し、すいか並に甘い9~10%を実現している。なかには13~14%のメロンに匹敵するものも栽培されているというから驚きだ。

このほか、大根や白菜などは寒い場所で保存すると糖度が上がる。凍らないようにと、でんぷんよりも糖分を増やすからだ。家庭用の冷蔵庫でも、野菜の糖度を上げる機能付きのものもあるし、ベランダに出しておくだけでも室内よりは効果的なので、おいしい鍋料理をいただくために、ひと手間かけてみるのもおもしろいだろう。

まとめ

・たまねぎは、いちご並に甘い

・辛み成分・硫化アリルが多いので、甘く感じない

・加熱すると辛みと水分が抜けるだけで、熱で甘さが生まれるわけではない

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年12月14日に公開されたものです

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