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患者は誤解している! 婦人科の診察で「基礎体温アプリ」はアウト?

妊娠・出産というと、まだ遠い先の話かもしれませんが、産む産まないに関係なく「産むのに必要なカラダ」について知っておいて損はないはず! “そのとき”が来たら、はたして自分は産めるカラダなの? そもそも、妊娠・出産ってどういうもの? 自覚症状がないまま進むカラダの異常って!? 知らないことだらけの「いつかそのとき」のために、ぜひ女子のみなさんに見ていただければと思います。

これまで2回にわたって基礎体温の異常や、グラフの見方についてお届けしてきました。基礎体温で重要なのは温度そのものでなくて「波形」というのは意外でしたね。生殖医療がご専門の片桐由起子医師(東邦大学医学部准教授)に聞くと、そのほかいろいろ私たちの知らない知識がポロポロ。引き続き先生に聞きました!

―患者さんと接していて「基礎体温を誤解しているな」と思うことはある?

ありますね。毎日の体温の記録をとることだけで満足しきってしまう方が多いです。基礎体温は、これまで繰り返しお話ししてきたように、グラフの波形を評価することが大事です。でも、そこがわかっていただけていなくて、たとえばスマートフォンのアプリを診察に持参される方は多いです。

スマホの画面では一度に数日間分しか見れないことが多く、画面が小さすぎたり、その前の画面を見たくてもうまくページが変わらなかったり、見ている間に画面が消えてしまったり、医師にとってこれほど見づらいものはありません。あるいは、見たいページを患者さんが開くのを、しばらく待たなくてはいけないこともたびたびです。これでは適切に波形を評価することが困難です。

診断ツールとして、基礎体温の記録アプリをそのまま見せることは、適切ではありません。アプリは医師に評価してもらうためのツールではなくて、あくまで自分のための記録です。

アプリだと、医師が排卵日を知りたくても、その日がどこなのかタップしていかないと見れなかったり、見ている間に画面が暗くなったり、画面のめくり方をどうしたらいいですか? と患者さんに戻して、こうやるんですとやり取りしているうちに、ロックされてしまったり。医師は診察時間の中でなんとか波形を読み取ろうとしますが、それを妨げます。

波形を評価する時間より、見せてもらうための時間のほうが長くなってしまうわけですから。医療機関で基礎体温をちゃんと評価してもらおうとするなら、医師が確認したい波形が、パッと見えたほうがいいです。

必ず、紙の記録用紙に記載されたものを診察にお持ちくださるようお願いします。少なくとも2~3周期分を一度に見られるようにしてください。

―基礎体温はどれくらいの期間とっておけばいいですか?

まずは、1周期あればよいと思います。

しかし、何日で生理がくるか周期ごとにバラつきがあったり、いろんなことを相談したいような場合は、2~3周期分通しで評価する必要があります。1年分は必要なくて、2~3周期分の波形をとっておいていただければ十分ですよ。

(取材協力:片桐由起子、文:小池直穂、イラスト:macco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

産婦人科医 片桐由起子(かたぎりゆきこ)先生

 

 

 

1992(平成 4 )年 3月 東邦大学医学部医学科卒業
1992(平成 4 )年 4月 東邦大学大学院医学研究科入学
1996(平成 8 )年 3月 東邦大学大学院医学研究科修了
1996(平成 8 )年 4月 東京都立荏原病院(現:財団法人東京都保健医療公社荏原病院)勤務
1998(平成10)年 7月 東邦大学医学部産科婦人科学講座研究生
1999(平成11)年 3月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手
2001(平成13)年 7月  Center for Reproductive Medicine and Infertility Weil Medical College, Cornell University 留学
2005(平成17)年 4月  東邦大学医学部産科婦人科学講座助手復職
2007(平成19)年 7月  東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座講師
2010(平成22)年 7月 東邦大学医学部医学科産科婦人科学講座准教授
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院リプロダクションセンター副センター長
2010(平成22)年12月 東邦大学医療センター大森病院臨床遺伝診療室室長 兼任
現在に至る

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会 臨床遺伝専門医
日本周産期新生児医学会周産期(母体胎児)専門医
日本内分泌学会 専門医

※この記事は2014年12月13日に公開されたものです

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