猛毒が栄養「チューブワーム」とは?
深海には、これまでの常識で考えられない生態の生物がいます。チューブワームはその最たる生物です。宇宙生物の可能性まで感じさせるチューブワームの雑学を紹介します。
【本当にアトランティス大陸はあったの?】
深海オアシスにすむチューブワーム
チューブワームという名前から想像されるように、細長い形をしています。白く細長い筒状の殻で覆われており、体長は数十センチメートルから長いものでは2メートルに達します。深海オアシスとも呼ばれる、熱水噴出孔の近くに群生しています。
熱水噴出孔とは、海にある火山のことで、地球内部の火山ガスが吹き出すポイントです。その付近には多様な生物が発見されており、深海調査においては重要な場所となっています。
チューブワームの生態
チューブワームには、他のどの生物にもみられる消化管がありません。餌を食べないのです。ではどうやって生きているのかというと、熱水噴出孔から噴き出されている有毒な硫化水素を取り込んで生きています。チューブワームの管の内部にはたくさんの微生物を飼っており、この微生物が硫化水素を分解するときのエネルギーを糧としているのです。
硫黄酸化細菌というこの微生物にとっては、猛毒の硫化水素が大好物なので、チューブワームはうまく共生することで生き延びてきたのです。
宇宙生物への期待
チューブワームの生態は、新たな学問が提唱されたほどの大発見です。地球のほとんどの生物は、食物連鎖で最終的には植物につながっています。そして植物は太陽光によって生きているため、地球生物は太陽光に依存していると言えます。
しかしチューブワームは違ったのです。太陽光がなくても、地球内部からエネルギーを得ているのです。
この太陽がなくても生きていけるしくみは、宇宙の他の星にも生物がいる可能性を示唆しています。チューブワームが地球内部からエネルギーを得ているのと同じように、太陽光の届かない星でも、火山活動のある星であれば生物がいるかもしれません。
実際に、木星の衛星エウロパには火山活動が確認されています。宇宙にも何らかの生物がいるかもしれませんね。
チューブワームはほかの地球生物とは異なる生き方をしています。深海生物にはまだまだ多くの可能性が秘められています。
※この記事は2014年12月11日に公開されたものです