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【女の嘆き】妊娠したら降格……これって「マタハラ」ですか?

三吉野愛子

「あの子っていいなぁ! 私なんて……」「今、私ってどう見えてるんだろう」など、他人と比較して自己評価が下がったり、同性・異性の目に自分がどう映っているかを気にしすぎたりすること、ありますよね。心理コーディネーター・三吉野愛子が、そんな複雑な女ゴコロを解説し、嘆きの処方箋を出します。自分らしく輝いて生きるヒントをチェックして!

<今回の嘆き>
待望の第一子を妊娠したけれど、妊娠初期の体調不良で仕事を休みがちに。繁忙期には深夜残業もある業種なので、プロジェクトリーダーの私が抜けるとチームに迷惑がかかるのは事実。そんな折、上司から「負担ならばプロジェクトからはずれたらどうか」と打診が……。これって、いわゆるマタハラ!? 私はマタハラに屈せず、出産を乗り切ることができるでしょうか。

この話題をマタハラという切り口で論じることもできますが、ここでは別の視点から取り上げます。最初から夢のない話で恐縮ですが、キャリアが右肩上がりに順調に発展形成されていくべきだというのはある種の幻想です。また、自分の病気や家族の介護などのライフイベントや社会情勢のあおりを受けて、キャリアの調整を迫られるのは女性も男性も同じ。「勝ち組にまわりたい、自分だけは損したくない」と自分の利益ばかり考えていると無用な対立を招きます。もちろん明らかなハラスメントの場合は別ですが、自分の「被害者意識」が、必要以上にハラスメント感を増大させることもあるのです。

<女の嘆きへの処方箋>
●その1 自分が対処すべき「課題」として捉える

不協和が生じているとき、それが自分への攻撃を意味するのではなく、変化や決断を促すサインだと考えてみては。

「マタハラだ」と身構える以前に、出産を決意した女性が考えるべきことはたくさんあります。そもそも過重労働になりがちな職場が、長きにわたる子育て期間に身を置く職場として妥当か。過酷な労働条件が変わらないとしたら、どんなサポート資源があれば適応できるか。時間の制約がある立場で成果をあげるにはどんな工夫が必要か。それらへの現実的な対処を考えた上で、今まで通りの働き方が難しいという判断になれば、降格、転属、転職、独立、退職などという選択肢も視野に入るでしょう。

ときには、自分側の努力だけでなく会社の既存システムの改善が望まれる場合もあります。その場合は労働基準法や会社の規定をよく調べて、論理的かつ冷静に要望をまとめましょう。女性が出産したら働けなくなるような職場風土を変えていく必要を感じるなら、「私がこの会社で働く女性のロールモデルになるんだ」というくらいの使命感を持って堂々と振舞って。

●その2 「打診」を鵜呑みにせず、「提案」で切り返す

上司には会社の利益を守る責務があり、部下の安全や健康を守る義務があるため、上司の立場から見えていることを材料として打診してきます。それに対し、自分がどんな意思表示や提案をするのかを問われていると考えて。

まず、自分がプロジェクトや役職を降りたいのか降りたくないのかをはっきり回答する。そして、現実的に生じている不具合をどうカバーするかという具体的なプランを提案する。それだけでもハラスメントに発展する可能性を回避できます。

●その3 「誰かとともに」というライフテーマにシフトする

一見トラブルに見える出来事の裏には、大切なライフテーマが隠れていることも。部下を持ち子どもに恵まれたことで、自力で出した成果を評価される段階を卒業し、自分以外の誰かの成長をともに喜びながらチームで成果を出す段階に踏み出す転機を迎えているかも。

そうでなくとも子育て中は、周囲の助けなしに乗り切ることは難しいもの。独身時代に人一倍がんばってきた人ほど、助けを借りなければならない状況を認めるのが困難です。でも、ひとりでがんばる時代が終わり、「誰かとともに」生きる時代がはじまったと考えれば、助けを借りるのはみじめなことじゃないとわかるはず。

また、人の助けを借りるということは、相手の能力を開発し存在意義を与えるという大きな意味を持ちます。自分とともに生きる人たちへの愛のまなざしを持って、次のステージへと踏み出すチャンスをつかんで。

(心理コーディネーター:三吉野愛子)

※この記事は2014年12月10日に公開されたものです

三吉野愛子

1978年、福岡県生まれ。2001年、東京学芸大学教育学部を卒業し、教育系広告代理店に勤務しながら心理カウンセリングを学ぶ。2005年より心理カウンセラーとして活動するかたわら、TV、ラジオ、雑誌の企画監修などを手がける。著書に『恋愛ダメ子の診療所』(日経ウーマン選書)。現在、東京を拠点に、現在、心理カウンセラーとして活動中。

●三吉野愛子カウンセリングオフィス ブログ
http://blog.goo.ne.jp/dearlife_2015

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