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いつもの打ち合わせを変えれば、仕事が楽しくなる! すべての人に役立つ『佐藤可士和の打ち合わせ』とは?

佐藤可士和

アルファベットとカタカナのダブル表記が印象的なユニクロのロゴマーク、キリンの「別格」シリーズ、セブン-イレブンの「セブンカフェ」。これらはすべて、佐藤可士和さんが手がけた仕事の一部です。日常のなかではっとする商品を見たら、それはひょっとすると可士和さんのアイディアかもしれません。

そんな日本を代表するクリエーターが、11月8日に『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)という本を出しました。売れ行きも好調で、早くも増刷が決定したのだとか。この本が売れるということは、多くの社会人が「打ち合わせ」をもっとよくしたいと思っているのではないでしょうか。佐藤可士和さんに、打ち合わせの極意を聞いてきました。

――なぜ打ち合わせの本を出そうと思ったのですか?

まず、打ち合わせというのは、職種に関係なくほとんどのビジネスパーソンが行っている基本的なことですよね。だから多くの人が共有できるポイントがたくさあると思いました。もう一つは、あまりにも日常的に行われていることですので、空気や水のように、特にそこに意識が向かない当たり前のものになってしまっているように感じています。そこに注目していくことで仕事の効率も上がっていくのでは……と本にしてみようと考えました。

――本のなかに、佐藤可士和さんは手ぶらで打ち合わせに参加されるとありましたが、今日も手ぶらですね。

そうですね。もちろんプレゼンのときなどは提案資料を持って行きますが。打ち合わせに持っていくものと言えば名刺とiPhoneとペンぐらいですかね。iPhoneのアプリも、特に変わったものはインストールしていません。Googleとか、基本的なアプリばかり。

本にも書きましたが、打ち合わせでノートばかり取っている人がいると、もったいないと思いますね。ものすごい速さでメモを取っている人を見ると、「学校の授業じゃないんだから……」と(笑)。特に大勢の出る会議では、議事録役がひとりいれば、ほかの人はすべてを記録する必要はなくもっと考えて、議論を前に進めることにエネルギーを使ったほうがいいと思います。

手ぶらで打ち合わせに望めば、相手と目を合わせる機会が増えて、相手の本心に近づくことができます。

――本のなかで印象的だったのは、若手のころは、企画を出しても上司にすぐにボツにされて苦しんだというところです。百戦錬磨のイメージがあるので、自分には意外でした。

あ、そうですか。ぼく、若いころはけっこう失敗しましたよ(笑)。

打ち合わせの失敗で、言いたかったことをうまく伝えられなかったということは昔はよくありましたね。「なんで先にあの話をしなかったんだろう」とか「肝心なことを言っておくのを忘れた」とか。

今振り返ると、経験不足で仕方ないところもあります。打ち合わせを仕切れてなかったりすると、自分が思う方向と違う流れになってしまってそれを変えることができなかったりとかね。

――職種に関係なく、「この人は仕事ができる」と可士和さんが思う時ってどんなときなんですか? この人と一緒に働きたいと思う理想の部下像などありましたら。

自分の仕事の範囲はここからここまでと自分で線引きせず、「その先」を見て、予測して、仕事を前向きに進めていける人ですね。どんな職種であっても全体を見渡せて、一歩先が読める人は、仕事ができると思うし、ぜひ一緒に働きたいと思います。

――可士和さんは、奥さんの悦子さんとともに『SAMURAI』を率いておられますが、SAMURAIにおける悦子さんはどんな役割なのでしょうか?

彼女はクリエーターではなくマネージャーなので、SAMURAIという会社のクリエイティブ以外の側面はすべて彼女の担当です。たとえば、新規で依頼された仕事を受けられるかどうか、受ける場合にはその条件や契約を整える交渉からスケジュール調整などが主な仕事で、それこそ打ち合わせを組んだりするのも彼女の仕事です。

――公私ともにパートナーであるという夫婦は珍しいように思いますが、夫婦で仕事をすることの良さとはどんなものでしょうか?

公私あわせて自分たちの人生ですよね。夫婦で仕事をしているとそういう意味で人生を共有できるのがとてもいいと思っています。相手の状況もよくわかるので、コミュニケーションもとりやすいですね。

――では最後に、マイナビウーマンを読んでいる女性読者にメッセージをください!

クリエイティブの世界では、女性ならでは視点からの新鮮な提案は求められていると思います。クリエイティブに限らず、女性ならではの個性やセンスはぜひ活かしてほしいですね。

たとえば、「打ち合わせの場づくりが大切」とか、可士和さんならではの打ち合わせには、打ち合わせをたくさんする人も、そうではない人も、すべての働く人に役立つ内容が盛りだくさんでした。堅苦しくなく、簡単に書かれているので、読書が苦手な方にもオススメです。

●『佐藤可士和の打ち合わせ』(1,400円+税)ダイヤモンド社より発売中。

(文:梅田カズヒコ/プレスラボ、写真:林健太)

※この記事は2014年12月04日に公開されたものです

佐藤可士和

アートディレクター・クリエイティブディレクター。博報堂を経て独立。SAMURAI代表。国立新美術館のシンボルマークデザイン、ユニクロ、楽天グループ、セブン-イレブン・ジャパン、今治タオルのブランドクリエティブディレクションなど多数の仕事を手がける。著書にはベストセラーとなった『佐藤可士和の超整理術』など。

●佐藤可士和 公式ウェブサイト
http://kashiwasato.com/

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