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地球と宇宙の境目ってどこ?「高度100kmくらい」

宇宙はすごく遠いところ……っていうイメージがしませんか?でも、実は意外と近いところにあるのです。

【宇宙ではゲップを我慢したほうがいい―無重力でゲップをすると……】

そこで今回は、地球から宇宙までの距離、そして地球と宇宙との境目についてお話ししたいと思います。

地球の上空はどうなっている?

皆さんは地球の上空、どこまで上昇したことがありますか?富士山を登頂したことがある人なら3,776m、世界最高峰のエベレストなら8,848m、海外旅行などで飛行機に乗ったことがある人なら10,000m付近まで上がったことになるでしょう。

それでは、もっと上空はどうなっているのか知っていますか?ご存知の通り、地球は窒素や酸素などさまざまな気体に覆われています。このような気体、つまり大気が存在するところを「大気圏」と呼んでいますが、この大気圏はいくつかの層に分かれています。

地表に近い対流圏と成層圏

まず、私たちがいる地上から上空10~17km程度までを「対流圏」と言います。対流圏は、極地方に行くほど薄くなるため、赤道付近では厚くて17kmほどありますが、極地方では10km弱しかありません。厚みに幅を持たせた書き方になっているのはそのためです。

この対流圏では、地球の自転の影響などを受けて、文字通り大気がゆるやかに対流をしています。また、山に登ると分かるように、この対流圏では上に行けばいくほど気温が下がり寒くなっていき、対流圏の一番高いところではマイナス70℃近くにもなります。

その対流圏の上にあるのが「成層圏」です。成層圏は対流圏の上に高度50km付近まで広がっていますが、ここは対流圏とは異なり、上空へ行けばいくほど、気温が上昇していきます。
皆さんも聞いたことがあると思いますが、人体に有害な紫外線から私たちを守ってくれている「オゾン層」もこの辺りにあります。オゾン層が太陽からの紫外線を吸収して加熱することで、気温が上がっていくわけです。

また、成層圏の上部まで来ると、空気がかなり薄くなっているため、太陽からの光は地表付近のように散乱されず、昼間でも真っ暗な世界となっています。

宇宙に近い中間圏と熱圏

成層圏のさらに上にあるのが「中間圏」です。高度50km~80kmのあたりにかけて広がるこの層では、二酸化炭素が赤外線を放射しているため、再び気温が下がっていきます。中間圏の一番下、つまり成層圏との境目あたりでは、気温が0℃程度であるのに対して、中間圏の一番上まで上ると、気温はマイナス100℃近くにまで下がります。

最後に、中間圏の上には高度800km付近にまで広がる「熱圏」が存在します。ここでは、太陽からの電磁波などを吸収するためにまたまた気温が上昇していき、その名前のとおり、高い時にはなんと2,000℃近くにまでなることもあります。電磁波の影響で、極地方では「オーロラ」が見えることもありますが、それはこの「熱圏」で起こっています。

地球と宇宙の境目はどこ?

それでは、宇宙とはどこから先のことを指すのでしょうか。

実は、ここから先が宇宙です…という世界共通の決まりはありません。一応、慣習的な目安としては、中間圏を過ぎて熱圏に入ったあたりの上空100km前後から先を宇宙と呼んでいることが多いです。

ちなみに、「国際航空連盟(FAI)」という組織では高度100km以上、アメリカ空軍は高度80km以上を宇宙と定義しています。ただし、高度100kmぐらいでは、わずかながら空気もありますし、重力も働いていますので、空が暗いとはいえ、あまり宇宙を実感できないかもしれませんけどね。

まとめ

今回は地上から宇宙までの距離を考えてみました。よく耳にする大気圏には、大きく分けて対流圏・成層圏・中間圏・熱圏の4つがあり、一般的に地球と宇宙との境目は、熱圏の一番下にあたる高度100km付近からだと言われています。

横に走れば東京から宇都宮や富士山までの距離とあまり変わりません。そう考えると、宇宙って意外に身近なものだと感じませんか?

(文/TERA)

●著者プロフィール
TERA。小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年11月27日に公開されたものです

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