お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「fat」と「slim」が同じ意味に!? 直訳しても伝わらない英語集

モーゲンスタン陽子

『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』

『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』

「すみません」という言葉は謝罪するときだけではなく、誰かに声をかけるときにも使いますよね。また、おみやげをもらったときなど、お礼の意味を込めて使うこともあるでしょう。日本語には複数の意味を持つ言葉が多いので、日本人でも勘違いしてしまうことがなきにしもあらず……。

「実は英語にも、複数の意味を持つ言葉やフレーズがあるんですよ」と語るのは、マイナビニュースでの連載に加筆した『英語の雑談力があがるちょっとしたフレーズ』(幻冬舎刊)の著者であるモーゲンスタン陽子さん。

「たとえば『Get out (of here)!』といわれたら、『出て行け!』と言われていると思ってしまうかもしれませんが、親しい間柄では驚きの表現となることもあるのです。『ウソでしょ!? → すごい!』というようなノリで使われます」(陽子さん)

このように、直訳したり学校で教わったりした英語だけでは理解できないフレーズがたくさんあるとか。その中から、ユニークなものをいくつか教えていただきました。

■意味を知らなければ理解できない

「by the book」を直訳すると、「本によって」という意味に。しかし、このフレーズには「マニュアル通りに」という意味があるそう。

「例外を認めない、頑固で融通がきかないようなニュアンスがありますね。このように簡単な単語やフレーズでも、ネイティブならではの言い回しというものがあるのです。これはあらかじめ意味を知らなければさっぱりわからないと思いますが、一度意味をつかんでしまえば、イメージがわきやすいものです。

たとえば『bad hair day』とは、『ツイてない日』という意味。朝、髪型が決まらなくて憂鬱な気分になってしまった経験は誰にでもあると思います。このような比ゆ表現は、英語によく見られますね」(陽子さん)

<直訳すると意味が通じないフレーズ>

・on the rocks
直訳すると「岩の上で」
→人間関係、特に結婚などにおいて物事がうまくいっていないことを表す

・on the fence
直訳すると「フェンスの上で」
→どちらに転んでもおかしくない、どっちつかずの状態

・Give me a shout.
直訳すると「叫び声をください」
→「準備などができたら教えてください」という意味に

・appointment
直訳すると「約束」
→ビジネスやクリニックの予約などに使い、「デートの約束がある」というときには使わない

「ここで紹介した意味だけが正しいわけではありません。相手の表情やシチュエーションによって意味が変わってくることもあります」と陽子さん。文字通りに受け取ってしまうだけでは、意味が通じないことがあることを知っておいたほうがよさそうです。

■正反対の言葉が同じ意味に!?

「ほかにも、まったく正反対の意味を持つ単語なのに、同じ意味となるケースもあるんですよ」と陽子さん。

たとえば「fat chance」と「slim chance」は、どちらも可能性が低いということを表すそう。「太い」を意味するfatと「細い」を意味するslimが同じ意味になるなんておもしろいですね。

「この逆のケースもあり、同義語を使っているのに反対の意味になることもあります。『wise man』と『wise guy』、どちらも『賢い男性』という意味だと思いがちですが、『wise guy』の場合は『賢く振る舞おうとしている、ブッている人』というネガティブなイメージになってしまうのです」(陽子さん)

まだまだ日本人にはややこしい英語はたくさんあり、陽子さんは「これを学ぶためには英語圏の文化的背景やニュアンスなどを理解する必要がある」といいます。

「私は帰国子女ではないし、大人になってから英語を学びなおしました。英語圏で勉強し、子どもを育てながら企業に勤め、地域活動に参加することではじめて出合った言葉がたくさんあります。

そのときに感じたのは、自分の英語が間違っているわけではないけれど、ネイティブとは『何か』がちがうということ。私たちが学んだような一般的な英語は使い古された表現であることが多く、ネイティブはこれを避ける傾向にあるのです。そのため、ネイティブとの会話をよりスムーズにするためには、基本的な英語力にくわえて『生きた英語』になじんでおく必要があります」(陽子さん)

このような「生きた英語」は会話力をあげるだけでなく、同僚や友だちとの雑談にもいかせそうですね。「この英語はこんな意味があるって知ってた?」というように、楽しみながら覚えることも会話力をアップさせる近道になるかもしれません。

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2014年11月26日に公開されたものです

モーゲンスタン陽子

東京都出身。カナダ滞在中に英語で創作活動を始め、エッセイや短編小説をカナダの全国紙などに発表。2011年にはトロントの出版社主催の短編小説賞のロングリスト候補となる。著書に小説『Double Exile』(Red Giant Books社、アメリカ)、訳書に『北斎と応為』(彩流社)がある。現在はドイツ在住の2児の母。

この著者の記事一覧 

SHARE