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ケンカの予定を立てると、罪になるって本当?「本当」

年末年始に向けて、お酒を飲む機会が増える季節になった。楽しいお酒は大歓迎だが、ささいなことからケンカに発展するケースも多いので、ストレスがたまっているひとは注意が必要だ。

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みんなに迷惑がかかるからと、場所と時間を改めて、後日ケンカをやり直す約束するとどうなるのか? いわゆる「タイマン」などのケンカは「決闘(けっとう)」と呼ばれ、挑んだ者、応じた者はもちろん、立会人までが罪を問われる。

突然始まるケンカよりも潔いイメージに反して、重い罪が問われるのだ。

予定されたケンカは、懲役5年の重罪!

まずケンカと決闘の特徴を整理しよう。岩波書店・広辞苑から要点を抜粋すると、

・ケンカ … 争い、いさかい

・決闘 … 取り決めた方法で闘って勝負を決すること

と記され、ケンカに「取り決め」=なんらかのルールが加わると、決闘に変わると解釈できる。時代劇では事前に場所と時間を決めるシーンを見かけるが、これは取り決め以外の何ものでもないから、突然始まればケンカ、予定されていれば決闘と表現できよう。

ケンカはもちろん処罰の対象で、原則は両成敗(りょうせいばい)、つまりどちらも処罰の対象となる。ただしケガをした、どちらかが被害届を出したなど、大ごとにならない限り注意で済む場合が多い。これは不起訴(ふきそ)処分と呼ばれ、双方とも反省している、小競り合い程度のケンカは慣習的に許してもらえるケースが多い。

ところが予定されたケンカの場合は「決闘罪」が適用され、

・申し込んだひと … 決闘罪

・応じたひと … 決闘挑応(ちょうおう)罪

・立会人 … 決闘立会罪

と、関係者はことごとく罪に問われる。ケンカ見守る立会人も、決闘を手伝ったひととして扱われてしまうのだ。

決闘罪は、明治22年に制定された「決闘罪ニ関スル件」に定められた法律で、たった6条とシンプルながらも、重禁錮(じゅうきんこ)と罰金が細かく定められている。

・申し込んだひと/応じたひと … 6ヶ月以上2年以下 / 10円以上100円以下

・立会人 … 1ヶ月以上1年以下 / 5円以上50円以下

・実際におこなったひと … 2ヶ月以上5年以下 / 20円以上200円以下

と、計画しただけでも罪となる。当時の米10kgが40銭(=0.4円)との記録があるので、現在の価格を5,000円として計算すると、200円の罰金は250万円相当となり非常に高額なのも、今よりも深刻な社会現象だった証といえよう。

「決闘罪」は、いまも有効

決闘罪は今も存在する。明治41年に罰金は廃止、重禁錮は「有期懲役(ゆうきちょうえき)」に変更されたが、法自体は存在するので、現在も処罰の対象となるのだ。

もし酒席でケンカになっても「周りに迷惑がかかるから、後日、別の場所で」なんて話になると決闘と扱われる可能性が高いのでヤメにしておこう。もっとも、現在は「当事者間の合意によって争闘(そうとう)する行為」と解釈され、ケンカとの違いがはっきりしていない。

理由、人数、立会人の有無なども無関係とした判例もあるので、名誉を傷つけられた、誰かの敵討ちなどの理由もまったく意味がないし、ヨーラン背負ってリーゼントの赤テープ同士による1対1の「タイマン」でも、正当性を主張することはできない。

時代劇では決闘=ケンカよりも潔い行為として映し出されているが、現代では真逆となり、計画的なケンカ=偶発的なケンカよりもけしからん!と言ったところのようだ。誰かに決闘を申し込まれても、応じれば同罪なので、聞き流すのが最良の策だ。

まとめ

・双方の合意のもとに始まったケンカは、決闘として扱われる

・決闘は、当事者はもちろん、立会人も罪に問われる

合意があれば決闘、なければケンカと受け止められるが、合意なしのケンカ=一方的な暴行とも表現すると、さらに境界線がわからなくなる。

いずれにせよ、場所や日時、勝敗の判定方法などを事前に打ち合わせたケンカは重罪となるので、ご注意頂きたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年11月22日に公開されたものです

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