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大泉洋×安藤裕子、葛藤と傷を抱え、惹かれ合う男女を演じた2人が語る恋愛観とは?

豊かな自然にあふれた北海道で静かに暮らす兄弟の前に、ふしぎな旅人の女性が現れる……。美しい風景の中で、大人のおとぎ話のような味わいで描かれる映画『ぶどうのなみだ』。同じく北海道が舞台の映画『しあわせのパン』を手がけた三島有紀子監督の新作に、前回に続いて主演した大泉洋さん、ヒロインを演じたシンガーソングライターの安藤裕子さんにお話をうかがいました。

(C)2014「ぶどうのなみだ」製作委員会

「『しあわせのパン』も大人が読む絵本のようなかわいらしいお話だったけど、今回は人間の葛藤がより深く描かれていると感じましたね。それに思いのほか、恋愛要素の強い映画だな、と」と大泉さん。都会で挫折を経験し、故郷である北海道・空知(そらち)でワイン造りに打ち込むアオを演じています。寡黙で孤独な姿は、普段見慣れた大泉さんの明るいイメージとは真逆のもの。「アオはとてもストイックで、どんどん自分で深みにはまっていくタイプ」と言います。

(C)2014「ぶどうのなみだ」製作委員会

年の離れた弟・ロクと暮らすアオの前に現れる女性・エリカを演じるのは安藤さん。本格的に演じるのはこれが初めてという彼女は「カメオ出演的な役割かと思っていたので、まず役の大きさに驚きました」。そして、演じたエリカについて「監督に近しいものを感じました」と言います。「サバッとしているけど、傷ついた人の漏れ出る悲しみをすくい上げる繊細なやさしさがあって。監督もどこか自分自身に近しいものを感じながら、エリカを作り上げたんじゃないかなと思います」と安藤さん。

(C)2014「ぶどうのなみだ」製作委員会

エリカは明るくて自由な女性。その気ままな振る舞いにアオは反発し、2人は衝突を繰り返しますが、少しずつ互いを知ることで次第に惹かれ合うように。

「2人ともお互いに傷を抱えていることで惹かれていくのかな。長く付き合っているうちに、一瞬一瞬の美しさに気づくことが積み重なるというか。僕は割とそういうタイプなので、そこはよくわかりました。ぶどう畑を見つめるエリカを見ながら『ヤバイ。きれいかも』と思うときがありますよね。男って馬鹿なんです(笑)」(大泉さん)

「あまりはっきり描かれないけど、アオとロク、エリカっていう三角関係ではあるんです。エリカにとって、ロクはやさしい気持ちでくつろげる存在。逆にアオに対してはすごくいら立つけど、どこかシンパシーを覚えるんです。アオの求める救済のようなものを、エリカは感じ取っていたと思う」(安藤さん)

運命的な出会いと恋愛について大泉さんは、「エリカもロクと一緒にいたほうが、たぶん幸せですよね。でも、付き合えば絶対うまくいかないとわかっている人のことを好きになったりしますよね。付き合うのと、好きになるって、別だと思うんです。これはしょうがないですよ、本当に」と語ります。ちなみに大泉さんは自身については「ひと目惚れっていうのはない」と断言。「誰かを見て、きれいだな、と思うことはありますけど、それだけで好きになるわけじゃない。むしろ好きになると、その人がどんどんかわいく見えてきてしまう。言い換えると、好きな人がタイプになっちゃう。性格的なことだと、天然に弱いですね。だから、天然を装っている女性がいたら、まずい(笑)。コロッと騙されそう」。

安藤さんは「私は大泉さんとは逆に直感的だと思います」と言い、こんなエピソードを披露。「高校時代に、それまで一切興味のなかった先輩の彼女になる夢を見たんです。そしたら急にその人のことが好きになっちゃって(笑)。次の日から、この人とまず知り合いにならなきゃ、と行動しはじめました」と言います。そして本当に付き合うことになったそう。「若いころは“徐々に好きになる”という意味がまったくわからなかった」という安藤さんですが、その感覚はいつしか変化が訪れた様子で「悲しいことやつらいことが増えていく中で“人間に惚れていく”ことを覚えた気がします」。

●『ぶどうのなみだ』
http://budo-namida.asmik-ace.co.jp
北海道先行公開中、10月11日より全国公開
(C)2014「ぶどうのなみだ」製作委員会

(冨永由紀)

※この記事は2014年10月11日に公開されたものです

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