クラブの「深夜営業」が始まるって本当?―ただし、相手の顔がはっきりみえる「10ルクス」以上が義務づけられる
お酒もダンスも楽しめるクラブ。盛り上がっているのに午前0時で閉店となり、物足りなく感じるひとには朗報で、午前6時まで営業可能になる見通しだ。
クラブが居酒屋よりも早い時間で閉店になるのは、風営法の基準に「ダンス」が盛り込まれているからで、「踊れる」が理由で午前0時までしか営業できない。法改正後は18歳未満でも午後10時までなら入場できる予定だが、10ルクス以上の明るい照明が必要となるので、酔えないクラブになりそうだ。
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「踊れるお店」は午前0時まで
現在のクラブの営業時間は午前0時までで、それ以降は日の出まで営業できない。これは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」、通称・風営(ふうえい)法によって営業時間や面積、店内の明るさなどが定められているからだ。
大別して1~8号があり、代表的な業種と特徴をあげると、
・1号(キャバレー) … ダンスあり / 飲食あり / 接待あり
・2号(スナック) … ダンスなし / 飲食あり / 接待あり
・3号(ナイトクラブ) … ダンスあり / 飲食あり / 接待なし
・4号(ダンスホール) … ダンスあり / 飲食なし / 接待なし
・5号(喫茶店やバー) … 飲食あり / 接待なし / 明るさ10ルクス以下
・6号(喫茶店やバー) … 飲食あり / 接待なし / 客室が5平方メートル以下
・7号(マージャンやパチンコ店) … 飲食なし / 接待なし
・8号(スロットマシンやテレビゲーム) … 飲食なし / 接待なし
と、飲食や接待だけでなく明るさや面積までもが関係し、複雑に分類されている。踊れるお店は1,3,4号のいずれかになるが、多くのクラブは飲食あり/接待なしなので3号となり、午前0時までしか営業できない決まりになっているのだ。
居酒屋が朝まで営業できるのはなぜか? これは「深夜酒類提供飲食店営業」と呼ばれる別枠で、届け出をして許可されれば0時以降も営業できる。ただし「飲食店営業」の名の通りで、キャバレーやクラブの営業時間を延長できるわけではない。
つまり、
・ダンス → 風営法
・風営法 → 深夜営業できない
の構図となるため、現在の法律では「クラブの深夜営業」は不可能なのだ。
ダンスは明るく健康的に
改正後のクラブはどうなるのか? まだ案の段階だが、風俗営業から除外され「ダンス飲食店営業」となる見通しで、
・営業時間 … (現行)午前0時まで / (改正後)午前6時まで
・客室の面積 … (現行)66平方m以上 / (改正後)5平方m以上
と、営業時間/面積ともに緩和され、あらたなクラブも登場しやすくなる。また、午後10時までなら18歳未満も入場できるようになるので、キッズダンスの練習場としても活用できるようになる。
ただし、照明に関する条件が厳しくなり、10ルクス以上が義務づけられる見通しだ。5号営業の基準にも使われているように、10ルクス以下になると「低照度飲食店」と定義され、条件が厳しくなる。早朝6時まで営業できる代わりに、健康的な明るさが求められているのだ。
JIS照度基準などから、明るさの目安をあげると、
・書斎/勉強部屋 … 500~1000ルクス
・居間 … 30~75ルクス
・寝室 … 10~30ルクス
・上映前の映画館 … 10~20ルクス
・防犯用ライト … 1~2ルクス
・満月 … 0.2ルクス
で、10ルクスは高さ5mの街灯下で、おとなの顔がはっきり見える明るさでもある。「明るすぎる」とは呼べないものの、ほかのひとから自分の顔もはっきり見えるので、気恥ずかしく感じる明るさかもしれない。ダンスに自信のないひとは「仮面舞踏会」をしゃれ込んでみるのも良いだろう。
まとめ
・法改正により、クラブの深夜営業が可能になる見通し
・午後10時までなら、18歳未満でも利用可能
・相手の顔がはっきりみえる「10ルクス」以上が義務づけられる
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年10月05日に公開されたものです