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月食を見てみよう~2014年10月8日の皆既月食~

今年(2014年)最大の天文イベントともいえるのが、まもなく起こる「皆既月食」です。

10月8日(水)の夜には日本国内の広い範囲で皆既月食が観測できますので、この機会に月食が起こる仕組みやその種類についてご紹介したいと思います。

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月食が起こる仕組み

月が太陽の光を受けて輝いていることは、皆さんもご存知だと思います。

月食とは、太陽と月・地球の3つの天体が、太陽-地球-月の順に一直線上に並ぶことによって、月が地球の影に入ってしまい、月の全部または一部が隠れてしまう現象のことです。

月の一部だけが地球の影に入り込むのが「部分月食」、完全に地球の影に入ってしまうのが「皆既月食」です。

月食の日は、月に対して太陽の光が正面から当たっていますので、必ず満月となります。けれども、満月のたびに必ず月食が起こるというわけではありません。これは、地球が太陽の周りを回っているときの公転面と、月が地球の周りを回るときの公転面とが同一平面上にはないからです。

そのため、満月であっても、太陽-地球-月が一直線上に並ぶ機会は意外と少なくなります。

月食は赤黒く見える

皆既月食になると、月は真っ黒になって何も見えなくなる…と思うかもしれませんが、実際は赤黒く見えます。それはいったいなぜでしょうか。

これには地球をとりまく大気が影響しています。

普段、太陽の光は白色に見えていますが、そこには赤や青・緑などさまざまな色の成分が混ざり合っています。(昔、美術の授業で「光の三原色」というのを習った方は、赤・緑・青の3色が重なり合った場所が白色になることを憶えているのではないでしょうか?

そして、この太陽光が地球の大気中を通過するとき、それぞれの色に分解されます。このうち、青色や緑色のような波長の短い光は、空気の分子にぶつかると四方八方に飛び散ってしまう性質を持っているため、ほとんど大気を通過することができません。

一方、波長の長い赤色の光は散乱されにくいため、大気をそのまま通過することができます。

さらに、大気はレンズのような役割を果たして、通過する太陽光の向きを少しだけ屈折させます。これにより、地球の影に隠れた月に赤い光が当たって、月が赤黒く見えるという仕組みです。

ちなみに、朝焼けや夕焼けが赤く見えるのもこれと同じ理由です。夕日で沈んでいく太陽光のうち、青色の光は大気を通過する間に散乱してしまいますが、赤色の成分だけは散乱せずに私たちの目に届いているのです。

2014年10月8日の皆既月食

今年(2014年)の10月8日には、天気が良ければ日本各地で皆既月食を見ることができます。

地域によって多少のばらつきはありますが、東京の場合、8日の18時15分頃から東の空で月が欠け始め、19時25分頃からはいよいよ皆既月食が始まって赤黒い月を見ることができます。

その後、19時55分頃に皆既月食は最大を迎え、20時25分頃までおよそ1時間かけて皆既月食が見られます。やがて、21時半過ぎにかけてゆっくりとまた元の明るい月へと戻っていきます。

日食は観測する地域によって見え方が大きく異なりますが、月食の場合は月が見える場所であれば、世界中のどこからでも同じように観測することができます。

ちなみに、今回のチャンスを逃すと、次回はおよそ半年後の2015年4月4日となります。ただし、このとき皆既月食となるのはわずか12分間という短い時間ですので、そういう意味でも今回の皆既月食はおススメです。

まとめ

月食とは、太陽-地球-月の順に一直線上に並ぶことで、月が地球の影に入って見えなくなる現象をいいます。

2014年10月8日の皆既月食は日本全国で、20時半~21時半頃までおよそ1時間近くも見ることができるという点が魅力的です。

今回の月食は比較的早い時間に見えるうえに、気候もいい時期ですので、お子さんがいる方はご家族みんなで観測にチャレンジしてみてもいいかもしれません。そのときにはぜひ、皆既月食のときの月が赤黒く見える理由もあわせて教えてあげてくださいね。

(文/TERA)

●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

2014年9月28日本文を修正いたしました。

※この記事は2014年09月28日に公開されたものです

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