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若者が青山・代官山を捨てて「品川」に集まるってホント? オリンピックで東京の街が変わる!?

竹中平蔵

2020年に東京でオリンピックが開催されるのはご存じのとおり。これを機に外国人観光客向けのサービスを展開する企業が増加したり、土地開発を進めたりするなど、経済も変化のときを迎えています。

『日本経済 2020年という大チャンス!』

『日本経済 2020年という大チャンス!』

小泉内閣では経済財政政策担当大臣を務め、現在は慶應義塾大学総合政策学部教授の竹中平蔵氏が責任編集を務めた『日本経済 2020年という大チャンス!』(アスコム刊)によれば、オリンピックに向けて「東京」という街も大きく変わるそうです。

さらに、若者の街が「品川」に動くという予測もあるのです。

■東京南部に注目するワケ

同書で竹中氏は、各界の第一人者と対談しています。都市政策専門家で明治大学専門職大学院長の市川宏雄氏との対談によれば、歴史的に見て、東京の中心はどんどん南に下がっているそう。

江戸時代の中心は浅草と上野で、明治時代になって日本橋へ、さらに銀座へと下がっていきます。戦後は新宿で臨海副都心開発がおこり、1964年の東京オリンピックでは、国立競技場の周辺である青山通りや赤坂、渋谷エリアが脚光を浴びました。

市川氏によれば、現在は品川の開発が進んでいて、山手線の新駅誕生が話題になっている「田町と品川の間」あたりが最後の新しい都心になるのではないかとのこと。このような流れから、「品川」に注目しているそうです。

もう一つの注目スポットは、虎ノ門ヒルズが開業されたばかりの「虎ノ門」。舛添都知事はここから新橋へとつながる「新虎通り」を「新しいシャンゼリゼにする」といったことが話題になりましたね。

この通りは汐留まで続きますが、その先は豊洲や有明、台場へとつながっています。このエリアは2020年のオリンピックのメイン会場。かつての青山通りのように、注目を集める可能性を秘めたエリアといわれています。

■働き方の多様化により、住む場所にも変化が起こるのでは?

電通総研 研究主幹の袖川芳之氏との対談によれば、オリンピック開催によって「働き方の多様化」が進むという予測もあります。働き方が変われば、住み方や家のあり方も変わるので、袖川氏は「自分が幸福と感じるペースに従って、自分で住む地域を選ぶようになる」と予測。

いちばん重要なのは、その場所で人生の充実感が得られるかどうか。これを裏付けるように最近のアンケートでは、仕事や教育よりも犯罪が少なくて「安全な場所」、「医療機関が充実している場所」が重視されているとのこと。

この条件に合った理想的な居住地域は、大都市か地方の中核都市に限られてくるので、該当する場所がどんどん開発され、人気が集中するかもしれないそうです。

2004年にアテネオリンピックを開催したギリシャは経済危機に陥りましたが、2012年にロンドンオリンピックを開催したイギリスは、総合力第1位の都市としてさらなる発展を遂げました。はたして東京はどちらに……。今後の動きにも注目したいですね。

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2014年08月08日に公開されたものです

竹中平蔵

1951年、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、大阪大学助教授、ハーバード大学客員准教授などを経て、2001年に経済財政政策担当大臣に就任。その後、金融担当大臣、経済財政政策・郵政民営化担当大臣、総務大臣などを務め、小泉純一郎内閣の「構造改革」を主導した。現在は、慶應義塾大学総合政策学部教授、グローバルセキュリティ研究所所長。

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