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日本の人口減少に歯止めがかからない!どうしたらいいの?

この7月に地方創生本部の準備室が発足した。狙いは人口増加で、まずはひとが住みやすい「まち作り」から始まるようだが、本当に暮らしやすくなるのだろうか?

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当面は本部の主導でおこなわれるようだが、最終的には国から地方へ権限を譲り渡す「地方分権改革」が盛り込まれ、国が認めれば規制の緩和も許されている。その地域だけの特色が生まれ、いま以上にひとが集まるまちが誕生するだろうが、住みやすさの格差が広がり、過疎化が進むまちも登場するだろう。

地方創生で格差倍増?

地方創生本部は7月25日に「まち・ひと・しごと創生推進本部」に名を変え、本格的に始動したものの、さかのぼると2005年に制定された「地域再生法」が源流と言えよう。概要をあげると、

・少子高齢化対策

・地域経済の活性化

・雇用機会の創出

・国から地方へ、官から民へ

とされ、まさに「まち・ひと・しごと」以外のなにものでもない。つまり「地方創生」本部は、約10年前に発足した「地域再生」本部の焼き直しで、あらたな取り組みとは呼びがたい存在だ。

地域再生法での改革フローは、

1. 地方自治体が民間企業やNPOと連携し、再生計画を立案

2. 国が可否を決定

で、認定されれば交付金や税金などに特例が与えられる。道路や下水道の整備をはじめ、地域活性化のための会社設立も可能となる。まだ準備室の段階なので確定ではないが、地方創生本部では全国を10のエリアに分け、同様におこなわれるようだ。

どちらも少子高齢化対策が真の目的で、そのためには、まずはひとが集まらなければ始まらない。インフラ整備や雇用機会を増やすことで住みやすいまちになれば、自然と人口も増えるだろうという算段だ。また、地方分権とうたわれているように、国ではなく、地域主導で進められるので、積極的に取り組めば魅力あるまちが誕生するだろうが、逆に良い案が浮かばなければ、ほかと比べて見劣り感が増してしまう。

多くの企業が存在する、子育て支援が充実しているなど目玉商品がない地域は、いまよりも過疎化が進んでしまうのだ。

人口増加は都心部のみ?

10年近く前の「地域再生法」が、いまになって再燃しているのはなぜか? ひとえに成果があがらず、人口減少に歯止めがかからないからだ。

総務省統計局の資料によると、外国人を含む日本の人口は2008年をピークに、減少の一途をたどっている。しかも都道府県によって格差が大きく、特定の都市に集まる傾向がある。地域再生法が始まった2005年と、5年後の2010年の人口を比較すると、

・1位 … 東京都(105.19%)

・2位 … 沖縄県(103.45%)

・3位 … 神奈川県(103.13%)

・4位 … 滋賀県(102.54%)

・5位 … 愛知県(102.37%)

で、千葉県(6位)や埼玉県(7位)も含めると、東京近郊にひとが多いことがわかる。もっとも減少したのは秋田県で、5年間で8%弱も減少してしまったのだ。

再生が進まなかった理由には、財源とノウハウがあげられるだろう。そこで今回は「ふるさと納税」の拡大と「人材バンク」の創設が盛り込まれた。前者は地域の努力次第で財源を確保できるだろうが、国が用意した人材バンク=他力が、地域の魅力につながるのかは疑問が残る。

この数年の様子をみる限り、会社が多い地域=自然と人口が増える、の構造なので、いま厳しい状況におかれている地域が一発逆転を目指すなら、奇抜なアイデアが必要になるだろう。

まとめ

・地方創生本部は、2005年の「地域再生法」とほぼ同じ

・真の目的は、人口増加

・地方分権改革の名のもとに、各地域へ権限が委譲される

「地方分権」の聞こえは良いが、「自分たちでどうにかしなさい」とも解釈できる。

大都市にさらに人口が集まり、ひとり勝ち状態にならないことを祈ろう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年08月06日に公開されたものです

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