お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

地球の磁力がなくなるって本当?

地球の磁力が急激に弱まっているとのニュースをみかけた。予想の10倍もの速さで弱まり、地球の南北が逆になる「地磁気逆転」も早まるというが、人類は大丈夫なのか?

【慢性疲労は寝ても治らないって本当?「本当:ストレス発散をするしかない」】

地磁気が弱まると、地表に届く紫外線や宇宙線が増えるので、動植物にとってありがたい話ではないが、過去に7回も逆転していることからも、生物が絶滅することは考えられない。じつは地磁気が強弱したり、地軸からズレるのは、歴史的には「日常茶飯事」なのだ。

遠足に出かける「北」

地磁気の発生メカニズムは、まだ完全に解明されていないものの、自転による「地球ダイナモ理論」がもっとも有力だ。これはモーターを手で回すと電気が生まれるのと同じ原理で、地球内部のコア(核)が巨大な発電機となり、磁力を起こしていると考えられている。

そのため地球は北極がS極、南極がN極の巨大な磁石状態となっているので、方位磁石が北を指すのだが、現在わかっているだけでも、地球の南北は7回も入れ替わっているのだ。

現在と同じ北極がS極の状態になったのはおよそ78万年前で、これはブリュンヌ正磁極期と呼ばれている。これ以前に6回も入れ替わっているのだから、地球の歴史から考えると、地磁気はかなり頻繁に逆転しているといえよう。

また、北極=北として知られているものの、地磁気の「北」は一定ではなく、日本の古文書でも、

・1600年頃 … 東に9度ズレている

・1860年頃 … ほぼ正確(真北)

と記され、10~20度の幅でフラフラとしている。この現象は、「遠足」になぞらえエクスカーションと呼ばれている。ブリュンヌ正磁極期に起きたエクスカーションはじつに23回もあり、短期間ではあるが90度近くズレたこともある。

赤道付近に「北」と「南」が存在する、奇妙な地球が存在したのだ。

地磁気逆転で地球は寒くなる?

地磁気が逆転すると、

1. 停電や電子機器の故障

2. 強烈な日焼け

3. 寒冷化

が起きる。地表に降り注ぐ紫外線や有害な放射線が増えるからだ。

地磁気は、生物にとって有害な宇宙線を防ぐバリアの役割をしているのだが、逆転すると現在の5分の1程度に弱まると考えられている。すると太陽からの電磁波やプラズマが大量に地表に届き、電線や発電所に過剰な電流を起こし故障させてしまうのだ。

同様に、パソコンやスマホなどの電子機器も大ダメージを受ける。また、高エネルギーの宇宙線によってオゾン層が破壊されるので、ひとが浴びる紫外線も多くなる。過去の地磁気逆転でも、生物を絶滅させるほどの破壊力はなかったが、一年中「日焼け止め」が手放せなくなるだろう。

意外なのは寒冷化だ。これは地表に届く宇宙線が増え、雲が増えるからだ。

地磁気が逆転していた時代は、現在の約2倍の宇宙線が到達していたと予測されている。それが地球を暖め、いったん温暖化が始まるものの、やがて大量の雲を作り出し、長期間に渡って地球を覆いつくしてしまう。110万~70万年前の化石からも、地磁気が40%減少した時期は、気温が2~3℃低下したことが証明されている。

厚い雲におおわれていれば紫外線の心配も少しは減るのだろうが、晴れ間もなく、うすら寒い日が続くと気がめいりそうだ。

まとめ

・地球の北と南は、何度も入れ替わっている

・赤道近くに「北」と「南」があった時期もある

・南北が逆転すると、地磁気は5分の1程度に弱まる

・地磁気が弱まると、紫外線が増える

幻想的なオーロラも、地磁気が宇宙線を防いでいる姿だ。

全国でオーロラが見られるようになったら、地磁気がズレはじめている証拠だから、日焼け止めを買いだめしておこう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年07月27日に公開されたものです

SHARE