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便座にはどうしてU型とO型が存在するの?

家庭のトイレではO型便座が一般的なのに、デパートや公衆トイレではU型なのはなぜか? 不特定多数のひとが使うトイレでは、男性のシンボルがつかないように前側を切り取った結果、U型になったからだ。

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U型のほうが衛生的なのにO型が普及しているのは「強度」の問題で、便座として世に出るためには、およそ150kgもの重さに耐えなければならないので、丈夫に作れるO型が家庭に広まっているのだ。

主流は大型のO型?

現在の洋式トイレが誕生したのはおよそ100年前で、それまでは「おまる」の上に、座面をくりぬいたいすをかぶせる構造だったが、1893年になると便器に取り付ける便座が考案され、これが現在の洋式トイレの原型となった。

日本では、今でも和式トイレを見かけるものの、洋式トイレの歴史も長い。総務省統計局の資料から、建築時期と洋式トイレの割合をみると、

・1950年以前 … 72.4%

・1961~1970年 … 80.6%

・1981~1990年 … 95.2%

とうなぎ登りに増え、2008年には99.4%にも達している。和式トイレが新たに導入される確率は、わずか0.6%ほどに過ぎないのだ。

便座にはなぜO型とU型があるのか? 便器に直接座ると、おしりが冷たかったり、便器の汚れが着いてしまう。便座はそれを防ぐために存在するのだから、役割から考えればO型であるべきだろう。ところが、体格のよい男性が座ると、便座の前の部分に「男性のシンボル」がついてしまい、清潔とは呼べない。

そこで前側を切り取ったU型が誕生したのだ。現在も公衆トイレやデパートなど、不特定多数が使う場所にはU型便座が用いられているのは、衛生面での配慮なのだ。

自宅のトイレなら利用者が限られているし、こまめに掃除できるのでO型でも問題ない。また、最近はエロンゲートと呼ばれる大型の便座が普及しつつあるのも、U型と同様に開口面積が広いからだ。一般的な「レギュラー」とエロンゲートの、長さと穴の長径を比較すると、

・レギュラー … 440mm / 320~350mm

・エロンゲート … 470mm / 360~380mm

で、エロンゲートは全長も穴も3センチほど長いため、シンボルがぶつかる心配はない。文部科学省の資料から男子・17歳の平均身長を比較すると、1950年は160cm台だったのに対し、2012年には170cm超となっているため、大型便座の登場は当然の結果といえよう。

重さ153kgに耐える便座!

衛生面では劣るものの、O型便座が普及している理由は「強度」だ。

日本工業規格(JIS)には便器に関する細かい規定があり、便座の温度やおしりの洗浄能力までが定められている。なかでもA 4422:2009では「便座強度試験」が定められ、これをクリアしないといけないのだ。

短時間で大きな力を加える「強度試験」と、比較的小さな力を断続的に与える「耐久性能試験」の2種類があり、

・強度試験 … 便座中央部に、上から約153kg・10分間

便座の先端に、横から約15.3kg・1分間

・耐久性能試験 … 便座中央部に、上から約127kg・1分間に10~20回・2万回

もの力に耐えられないといけない。上からの力もさることながら、先端部には横からの力も加えられるため、丸くつながっているO型のほうがU型よりも有利だ。とくに家庭用の場合、暖房機能付きが一般的なので、変形してしまうとなかのヒーターが故障する恐れもある。

O型の普及には、便座ウォーマーの存在がひと役買っているのだ。

まとめ

・現在の便座が登場したのは、1893年

・それ以前は「おまる」の上に、座面をくりぬいたいすをのせていた

・男性のシンボルがつかないU型便座は、公衆トイレ向け

・家庭では当たり前のO型便座は、強度面で有利

グルメレポートでおなじみの巨漢のタレントが、以前テレビで「便座は消耗品」と言っていたが、153kg超なら割れても不思議ではない。

関取やプロレスラー用の便座もあるのか? 機会があったら調べてみよう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年07月27日に公開されたものです

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