お風呂やキッチンのカビが引き起こす! 夏型過敏性肺炎を避けるためには
最近、家にいると咳が止まらない。でも出かけるといつの間にかおさまっている。それはもしかしたら夏型過敏性肺炎かもしれません。夏場をピークに発症するという、この病気について、日本アレルギー学会認定専門医・指導医の清益功浩先生に聞きました。
■長引く夏の咳、カビが原因になっていることも
「梅雨から秋にかけて咳が長引く場合、夏風邪ではなく夏型過敏性肺炎の可能性があります。トリコスポロンというカビの胞子を吸いこむことで起こる肺炎で、6月から10月までのカビが繁殖しやすい時期に発症しやすい傾向があります。外出中や旅先では大丈夫なのに、家に帰ると咳が出る場合は要注意です」(清益先生)
トリコスポロンは20度以上、湿度60%以上の高温多湿な環境を好み、胞子が飛びやすいのが特徴です。木を栄養源とすることが多く、古くなった木や畳、カーペットなどに繁殖しやすいそうです。
「これまでは古い住宅で繁殖することが多かったのですが、最近のマンションは気密性が高いため、例外ではありません。キッチンの流しの周辺、洗面所やバスルームと脱衣所、洗濯機置き場近くの床、北側の押し入れや窓のサッシ回り、エアコンの内部など風通しが悪く、湿気が高い場所に用心しましょう。ただし、トリコスポロンを吸った人が全員発症するわけではありません。反応する人は胞子を吸ってから4~6時間で症状が出ることが多いですね」(清益先生)
治療を行えばいったん治るものの、自宅にトリコスポロンが繁殖しているかぎり、症状を繰り返すそう。そうなると、当然ながら肺に負担をかけることに。
「いまはトリコスポロンの抗体が血液検査で測れるようになり、自分がトリコスポロンアレルギーなのか調べることができます。毎年同じような症状が出る方は、病院で検査することもひとつの方法です」(清益先生)
■カビを完全に除去して再び増やさないことが大切
夏型過敏性肺炎を予防するためには、カビを除去し、繁殖しにくい環境をつくることが大切だとか。
「カビには多くの種類があります。そのため、見た目だけでトリコスポロンであるかどうかを見分けるのは非常に難しいです。ただ、どんなカビでも健康に影響を及ぼす可能性があるので、すみやかに除去することをおすすめします」(清益先生)
掃除をする際にはカビの胞子や部屋のホコリを吸い込まないよう、自分の顔のサイズに合ったマスクを着用するといいそうです。
「カビの胞子の大きさはスギ花粉の半分の大きさなので、花粉症用マスクでは通過してしまいます。ウイルスまでブロックするようなマスクがおすすめです」(清益先生)
水洗いできる場所は通常のカビ取り剤などで除去し、乾いてから消毒用アルコールを塗るのがポイント。カビ取り剤のにおいで気持ち悪くなるのを防ぐためにも、必ず換気します。
「カビを除去した後は再び繁殖させない対策も大切です。キッチンや洗面所などの水回りは、日ごろから水はねをふき取り、湿気を防ぎましょう。バスルームは、入浴後に壁などの湿気をふき取るだけで、カビの発生をおさえることができます」(清益先生)
また、カーテンに隠れた窓辺も、カビの温床になりやすいとか。ホコリや汚れをためないように、こまめに掃除。清潔な環境をキープすることが自分の身を守ることにつながります。
「ときどき窓を開けて風通しをし、エアコンは週に一度は掃除しましょう。季節の変わり目でしばらく使わないときは、最後の日に送風運転などで内部を乾燥させておくと、カビが繁殖しにくくなります」(清益先生)
(取材協力:清益功浩、文:鈴木はる奈+ガールズ健康ラボ)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2014年07月19日に公開されたものです