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ケーキが値上がりするって本当?「本当。原材料のカカオ、バターの大幅値上がり」

女性の大好きなスイーツが高額商品になりそうだ。材料となるカカオやバターが、大幅に値上がりしているからだ。

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カカオの主要産地であるアフリカでは、天候不順に加えて木の病気や老朽化が進み、ほかの作物に切り替える農家も増えている。バターの原料である牛乳も、2006年の減産計画がアダとなって、国内生産量は毎年減る一方だ。

たとえ輸入に頼っても、乳製品には25~35%もの関税がかかるので、ケーキはおろか朝食のヨーグルトも「ぜいたく品」になってしまうのだ。

カカオは1kg・200円?

チョコレートの原料・カカオの値上がりは、生産量の減少と、需要の増加が原因だ。国際ココア機関(ICCO)の資料から、2012年のおよその生産量を比較すると、

1位:コートジボアール … 148万トン(36.4%)

2位:ガーナ … 88万トン(21.6%)

4位:ナイジェリア … 23万トン(5.8%)

で、世界のチョコレートをさかのぼると、6割はアフリカで作られている。だが、天候不順や木の老朽化で生産量は減少傾向にある。それに加えて新興国での需要が増え、1トン当たりのおよその価格(米ドル)は、

・2000年 … 903ドル

・2010年 … 3,130ドル

・2011年 … 2,978ドル

・2012年 … 2,377ドル

・2013年 … 2,439ドル

で、2012年から再び高騰し続けている。現在は3,000ドル近くになっているので、1年間で25%も値上がりしているのだ。

需要が増えているなら、カカオ農家は大喜びに思えるかも知れないが、実体はむしろ逆で、別の作物に切り替えるひとも多い。多大な労力が必要なのに、安い値段で買い取られてしまうからだ。

カカオは「実」と思われがちだが「種」で、カカオポッドと呼ばれる30cmほどの実を収穫してから、発酵~乾燥を経てから出荷されるが、市場価格は2013年でも1kg当たり2.4ドル程度しかない。そこでコートジボアールでは、2012年から市場価格の60%以上と定めたが、現在の水準でも1kgで1.8ドル、日本円で200円弱にしかならない。

高齢化も相まって「やってられるか!」ムードが広がっているのも無理のない話だ。

飲む量が減っても、牛乳不足?

バターやチーズなどの乳製品も値上がりする。原料となる生乳が不足しているからだ。猛暑が原因と言われているが、この数年は慢性的な不足状態が続いている。2006年におこなった減産計画がアダとなっているのだ。

2002~2005年は年間840万トンほどが維持されていたが、牛乳/脱脂粉乳/バターがあまり過ぎたため、2006年に減産計画が実施された。ところが、その後も天候不順やエサ代の値上がりによって生産量が減り、近年では猛暑の影響で乳の出が悪くなっている。

2006年以降の生産量と前年対比をあげると、

・2006年 … 813万トン / ▲1.78%

・2010年 … 772万トン / ▲2.40%

・2011年 … 747万トン / ▲3.19%

・2012年 … 763万トン / 2.09%

・2013年 … 750万トン / ▲1.60%

で、2003~2013年の10年間で10.62%も減少しているのだ。

牛乳を飲むひとが少なくなっているのに、足りないのはなぜか? 答えは食生活の変化で、チーズや生クリームのような「食べ物」の消費量が増えているからだ。

総務省統計局の資料によると、2011年の1人・1年あたりの消費量は、牛乳が31.1kgなのに対し、バターは0.6kg、チーズは2.2kgだ。バターとチーズにはそれぞれ12.34倍/12.66倍の生乳が必要なので、合計で35.2kg扱いとなり、飲む量を上回る。

また、飲用は減少し続けているが、バターは据え置き、チーズは増加しているため、生産量が減っても必要な生乳は増え続けているのだ。

輸入すれば良いのでは?と思うのも当然だが、乳製品には25~35%もの関税がかかる。これは日本の酪農を守るためとも言えるが、不足している今となっては逆効果でしかない。

まとめ

・カカオも牛乳も、生産量が減少している

・国産の生乳は、10年間で10%も減っている

・牛乳を飲む量は減ったが、チーズ/バターの消費量は増加している

子牛を育てても、乳がとれるのは2年ほど先の話だから、乳製品の値上がりはとうぶん続くだろう。

バターたっぷりのフランス料理やケーキバイキングは、いまのうちに味わっておくのが良さそうだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年07月12日に公開されたものです

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