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タオルいらずで「ブオーン」―ハンドドライヤーは、本当にお得か?

デパートやレストランで見かけるハンドドライヤー。羽根のない扇風機で有名なメーカーも製品化しているが、家庭で使えるほどお得なのか?

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温風を使わずに風の勢いだけで乾かすタイプでも、消費電力は1,200Wほどあり、ヘアードライヤーと同じぐらいの電気を使う。1回の電気代はたしかに安いが、耐用年数を7年で計算すると、10分に1回使わないと「もと」が取れないのだ。

1回の電気代は、たった0.086円!

この4月に発表された、風の勢いだけで乾かすハンドドライヤーの特徴をあげると、

・消費電力 … 1,150W(100Vで使用時)

・風速 … 時速670km

・吹き出し空気量 … 毎秒30リットル(最大)

・乾燥時間 … 10~14秒

で、ヒーターを使わないのに10秒程度で手が乾かせるのも、1秒間に30リットルもの空気を、細いノズルから噴き出す構造にある。時速670km=秒速186mなので、竜巻の強さを示すFスケールでも最強のF6を超えるスピードだから、手指についた水滴を吹き飛ばすなど造作もない。

タオルなら定期的に交換しなければならないし、ペーパータオルでは補充に加えてゴミまで発生する。対してハンドドライヤーなら、日々のメインテナンスが不要になるだけでなく、清潔に手を乾かすことができるのだ。

各社とも「1回の電気代は○○円!」と、ランニングコストの低さをアピールしているが、本当にお得なのか?

東京電力の料金表によると、1kWhつまり1,000Wの電気製品を1時間使った際の料金は19円43銭なので、1W・1秒あたりは0.0000054円となる。これを、

・ハンドドライヤーの消費電力 = 1,150W

・乾燥時間 = 14秒

に当てはめると、1回の電気代は約0.086円なので、確かに安い。200枚入り126円の安価なペーパータオルでも、1枚あたり0.63円なので、ハンドドライヤーのほうが圧倒的にお得だ。

お得になるのは27年後!

何年使えば「もと」がとれるのか? 同じく1枚0.63円のハンドタオルと比較すると、1回につき約0.54円回収できるので、これで本体価格198,000円を割り算すると、364,570回使って初めて得をすることになる。

1年で回収したいなら、毎日998回使わないと損する計算になるので、手荒れも水道代も心配だ。

東京都健康安全研究センターのデータによると、一般的なハンドドライヤーの耐用年数は7年程度となっているので、7年間故障もなく使い続けたとすると、

・1日の使用回数 … 142回

・使用頻度 … 608秒に1回

で、10分に1回以上使えば「得」、それ未満では「損」することになる。

ただし電気代は、使用量が増えるほど単価が上がる仕組みになっているし、まったく使わなくても基本料金がかかる。直近に届いた「電気ご使用量のお知らせ」を例にあげると、 従量電灯B・60Aの契約で、394kWh・12,875円だった。

これも同様に1W・1秒に換算すると0.0000091円で、さきの計算より1.68倍も高いことになる。この金額をもとに、ペーパータオルの代わりに1日20回使ったと仮定すると、本体価格が取り戻せるのは27.1年後となる。

修理したり消耗パーツを交換すれば、「もと」が取れるのはさらに先となるので、よほど利用頻度の高い場所でないとお得とは言えない。テマもかからずゴミも発生しないのは大いに魅力的だが、残念ながら自宅に導入するには、まだまだリーズナブルとは呼べないようだ。

まとめ

・ヒーターを使わないハンドドライヤーでも、1,200Wぐらいの消費電力がある

・1回の電気代は、ペーパータオルよりもはるかに安い

・本体価格がネック

・7年間で「もと」をとるなら、10分に1回以上使う必要がある

ゴミも減らせてエコなのは確かだが、家庭で使うには少々ぜいたくなようだ。

安価でスタイリッシュなハンドドライヤーが登場するのを待つことにしよう。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年07月12日に公開されたものです

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