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気がきく人はうな重の食べ方も違う!? 接客のプロが教える「気づかい」術

上田比呂志

『「気がきく人」の習慣』仕事でもプライベートでも、「気づかい」ができる人は高く評価されます。相手を思いやる行動はぜひ真似したいところですが、具体的に何をすればいいのかわかりにくいですよね。

「気がきく人」の習慣 』(アスコム刊)の著者である上田比呂志さんによれば、気づかいとは「日常における相手を思いやる心であり、おもてなしの心」とのこと。これを身につければ接客だけではなく、たとえば、食事のときにも相手に好印象を与えられるそう。

「ベテラン料理編集者とうな重を食べたときのことです。右利きの方ならお重の左手前の角から食べ始めると思いますが、彼は左奥の角から崩して食べていました。私から見ると、右手前の奥ですね。

なぜこんな食べ方をするのか観察していたところ、彼のうな重がきれいな形を保っていることに気づきました。こうやって食べることによって、崩していく過程が向かい側に座った人に見えにくいというわけです。

もしかして、これが正式な食べ方なのか? そう思って尋ねたところ、これは先輩から教わった食べ方だそう。マナーというわけではなく、相手へ配慮した食べ方だったんですね」(上田さん)

このように、気づかいとは「相手が気づいていないような心の動きまでを感じ取り、先回りするもの」と上田さん。相手の視点に回り込んで、どうすれば喜んでくれるか、どうすれば不快にならないかを想像することが「おもてなし」の基本だそうです。

■人を喜ばせる人になるための3つの条件

気づかいができる人というものは、人を喜ばせることができる人、ともいいかえることができます。そんな人になるための条件とは、次の3つです。

1.笑顔がステキである
2.想像力がある
3.人を楽しませることが好き

笑顔で接することで相手に好印象を与え、どうすれば相手が喜んでくれるか想像力を巡らせる。そして、喜ばせることを好きになることで、新しい発想が生まれてくるというわけです。この3つはどの仕事にも通じる、人を気づかう力の根本とのこと。

「私たちの脳は視覚効果の影響を強く受けます。もちろん、言葉遣いや声かけのタイミングも重要ではありますが、そのときに自然な笑顔がなければ、相手には歓迎されていない印象が残ってしまうのです」(上田さん)

いかにもな営業スマイルでは、相手にも見破られてしまいます。心の底から「この人を喜ばせたい」と思うことで、自然な笑顔になり、何をすればいいかわかることでしょう。

■お世辞ではなく「世辞」を使おう

さらに、気がきく人というのは、あいさつのときにも相手を喜ばせる一言を添えることができるとか。

たとえば、雨の中、足を運んでくれた客に対して、「お足もとの悪い中、ようこそお越しくださいました」というあいさつは一般的ですが、ここでさらに相手を思いやる声かけができると、さらに好印象を与えることができるそうです。

「状況を判断して、『お寒かったでしょう』『お疲れではございませんか』と、自分が言われたらうれしい言葉を相手にさりげなく投げかけてみましょう。相手にほっこりとした余韻を残すことができるはずです。

このように、あいさつのあとに添える、相手の状況を考慮した言葉を『世辞』といいます。難しく考える必要はなく、相手の立場になって『自分がこうされたらうれしいな』と感じることを言葉や行動で示せばいいのです」(上田さん)

こういったひとことをスムーズに発することができれば、オフィスでの来客時にも役立ちそうですね。

■「マナー=気づかい」ではない

上田さんは気づかいの心を養うために、「ありがとう探し」をしているとのこと。1週間に一度、自分が受けた「これはありがたかった」「気持ちよかった」という気づかいや世辞を振りかえり、メモにまとめています。

「人の気づかいに気づくようにならなければ、自分が相手を気づかうこともできません」と上田さん。そこで、相手の気づかいやもてなし、やさしさに気づけるように、自分の心の動きをメモしておくそうです。

「メモをすることで、その瞬間、その場に適した言葉を学ぶことができ、自分の中に世辞のストックができます」(上田さん)

言葉だけでなく、行動に対しても相手のために行うかどうかが重要とのこと。たとえマナーであってもそれだけにとらわれるのではなく、気づかいとしてはマナーを破ったほうがいいこともあるそうです。

マナーと気づかいの違いを判断する基準は「相手のために行っているかどうか」。これはマナーだからやらなくてはいけないという行為は、相手を気遣っていない、自分本位な行いになってしまうこともあるので気をつけましょう。

相手が何を求めているか、何をしたら喜んでもらえるか。これは仕事だけではなく、恋愛にも通じるものがありますよね。「気づかい」ができるようになれば、さまざまなシーンで役に立ちそうです。

(OFFICE-SANGA)

※この記事は2014年06月30日に公開されたものです

上田比呂志

老舗料亭「橘家」の長男として生まれ、「おもてなし」のいろはを教わり育つ。大学卒業後、三越に入社し、フロリダディズニーワールドにてフォローアッププログラムに参加。その後、グアム三越社長兼ティファニーブティック支配人を経て、フロリダディズニーワールドエピコットセンターのジャパンパブリオンディレクター(取締役)として赴任。退職後は講演や企業研修、執筆等を中心に、日本国内だけでなく海外まで精力的に活動中。著者に『ディズニーと三越で学んできた 日本人にしかできない「気づかい」の習慣』(クロスメディア・パブリッシング)など。

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