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山火事の原因はなに?「1位 人間」

山火事が続くアメリカ・カリフォルニア州が非常事態宣言をおこなった。記録的な干ばつと、サンタアナ風と呼ばれる熱風が原因で、住民1万5千人に避難命令が出されたというから、1日も早い鎮火を願う。

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日本でも山火事が立て続けに起きたが、自然に発火する例はごくわずかで、ほとんどが火の不始末。この5月に起きた兵庫や奥多摩の山火事も、たき火やバーベキューで、原因は人間だったのだ。

東京ドーム218個分の火災

カリフォルニアやオーストラリアで山火事が多いのは、高温/乾燥などの気象条件が揃っているからだ。カリフォルニアでは40℃近い気温に加え、砂漠から流れ込む高温のサンタアナ風が湿度をうばい、火災の起きやすい環境が作り出される。

オーストラリアは気温の高さに加え、ユーカリの木も原因となる。コアラの主食として有名なユーカリは、テルペンと呼ばれる可燃性のガスを発生する。気温が上がるにつれテルペンの放出量が増え、火災が起きて当たり前の状態になってしまうのだ。

日本の山火事はどうして起きるのか? 雷やこすれあう木々の摩擦を想像するが、これらは極めてまれで、ほとんどは火の不始末、つまり、山火事は人災なのだ。

林野庁の資料から、平成20~24年の林野火災の原因と割合をあげると、

・1位 … たき火(29.7%)

・2位 … 火入れ(13.8%)

・3位 … 放火/放火の疑い(10.7%)

・4位 … たばこ(8.1%)

・5位 … 火遊び(5.0%)

で、どうみても人間のしわざと考えられるものが7割を占めている。2位の火入れは「焼畑」や「野焼き」とも呼ばれ、雑草や枯れ木を焼いて肥料にする作業なので、プロの農家がおこなっているにも関わらず、山火事の原因となってしまっているのだ。

同じく平成20~24年のデータから、年間の山火事件数、消失面積、被害額をみると、

・平均 … 1,727件 / 1,020万平方メートル / 4.81億円

・最多(平成23年) … 2,093件 / 2,071万平方メートル / 10.17億円

・最少(平成24年) … 1,178件 / 372万平方メートル / 1.9億円

と、東京ドームの建物面積に換算すると、平均でも218個、最多の23年は443個分の自然が、人間の不注意で失われているのだ。

マッチ1本、被害3千万円

この5月に起きた山火事の原因と焼失面積をみてみよう。

・兵庫 … バーベキュー / 700,000平方メートル

・奥多摩 … ゴミ(衣類)の焼却 / 60,000平方メートル

さきの平均値から1平方メートル当たりの損害額・約47円をあてはめると、順に約3,300万円/約280万円にも及ぶ。ちょっとした気のゆるみが、巨額の被害を生み出しているのでご注意を。

確実に火を消すには、どうすれば良いか? 消火器を使わないなら、密閉して酸素を断つか、水で温度を下げる以外に、確実と呼べる方法はない。

バーベキューで使う炭は、一度火が点くとなかなか消えない。燃えている炭に水をかけると大量の水蒸気が発生し、ヤケドをする危険があるので、バケツにくんだ水に炭を入れるのが安全だ。炭を再利用したければ、火消しつぼで密閉すれば、時間はかかるが確実に消火できる。

土に埋めてしまうのも有効な手段だが、残った炭は分解されにくく、土質が変わってしまうのでNG。冷めた後に掘り起こして、ゴミとして捨てるなど、環境にも配慮しよう。

まとめ

・日本の山火事の3割は、たき火が原因

・たばこの火の不始末は、8.1%で4位

・物騒な話だが、放火(疑い含む)が1割もある

・雷や摩擦による自然発火は、極めて珍しいケース

今年の東京を例にあげると、もっとも湿度が低い1月が45%なのに対し、4月でも56%と乾燥している。

キャンプやバーベキューのときこそ「火の用心」を心掛けて頂きたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年05月23日に公開されたものです

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