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日本語のようで日本語では無かったノルウェー語「やーだ(Ja da.):そうだよ」「派手(Ha det):さようなら」

ノルウェー人は、自由自在に息を吸いながら相槌をうつ(写真:Terje Borud ? Visitnorway.com)

ノルウェー人の会話を聞いていると、聞こえてくるのは奇妙な音……「ヒャッ!」「ハッ!」まるで動物の鳴き声のようにも聞こえるこの音、いったいどんな意味を持っていて、そしてどんなふうに発音されているのでしょうか。

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息を吸いながら話ができる?

この短い雄叫びのような音、ノルウェー人はなんと息を吸いながら発しているのです。ノルウェー語の「はい」にあたる「ja(ヤー)」や「いいえ」にあたる「nei(ナイ)」は、会話の中で軽い返事や相槌に使われる場合には、息を吸いながら発音されることがよくあります。

息を吸いながら言葉を話すなんて、まるで離れ業のように思えますが、慣れてくるとこれが意外と便利。口を軽く開けた状態で息を短く強く吸い込むだけで、「ヒャッ!」「ハッ!」とテンポよく会話を進めることができるのです。

この「ヒャッ!」「ハッ!」は、相手の話に相槌をうったり、質問に答えたり、会話のバトンタッチをするきっかけとして使われます。ちょうど、水泳の息継ぎのように「ヒャッ!」と相槌をうってから話し始める人をよく見かけます。

今なんて言った? まるで日本語のようなノルウェー語

その他にも、日本人がノルウェー語の会話を聞いていると気になる言葉がいくつかあります。

「やーだ!」:嫌がっているわけではありません。Ja da.「そうだよ」「その通り」という肯定の返事です。

「だーめ!」:こちらはアルファベット書きしてもdameですが、女性という意味です。

「派手!」:服装のことを言っているのではありません。Ha det! 「さようなら」という挨拶です。

紛らわしい「うん」「ううん」

日本人は、軽い返事をするときによく「うん」「ううん」と言いますが、これはノルウェーでは相手に誤解を与えがちです。ノルウェーでは、肯定の返事は「ん~ん」、否定の返事は「んっん」となります。日本の感覚でうっかり「ううん」と答えてしまうと、相手はてっきりOKだと思ってしまうのです。

ノルウェーにいらしたら、返事はしっかり「Ja(ヤー)」「Nei(ナイ)」と答えてくださいね。

色彩豊かな方言を持つノルウェー語

ノルウェーは南北にとても長い国ですが、その距離ゆえ、各地方の方言にも大きな違いがあります。また、日本のように改まった場では共通語を話す、という慣習もなく、テレビのアナウンサーもみなさんお国ことば丸出しのままなんです。

北ノルウェーでは、寒くて口をあけるのがおっくうなのか、オスロ周辺の標準的なノルウェー語(riksmaal:リクスモールと呼ばれます)に比べると単語を短く発音することがよくあります。

たとえば、「私は日本人です」は、リクスモールではJeg er japansk.(ヤイ アル ヤパンスク)ですが、北ノルウェー方言ではAe e japansk(ア エ ヤパンスク)となります。

この方言の多様性は、ノルウェー語を学ぶ外国人には大きなハードル。自分のノルウェー語にかなり自信がついてきても、旅先では現地の人の話す方言満載のノルウェー語に目を白黒させることも少なくありません。

まるで暗号? ノルウェー人の手書き文字

また、ノルウェーでひと苦労するのが、ノルウェー人の手書き文字の解読。年配の方々の達筆すぎる筆記体も読みにくいですが、若い年代の書きなぐった文字はさらに読みにくいったら! 慣れないと、解読するのも一苦労です……。

特に読みにくいのが、小文字のp、bです。日本では、pはしっかり丸め、bはきっちりくびれを作るよう教わりますが、ノルウェーのpとbはどちらもゆる~い感じで、しっかり丸まったりくびれたりしていません。

1番はby(町)、4番はape(猿)。ノルウェー式に書くとこんな感じ。

日本でよく使われる意外な言葉が実はノルウェー語

なかなか接する機会のないノルウェー語ですが、日本にいても冬になるとよく耳にするある言葉が実はノルウェー語なんです。その言葉とは……

「バッケンレコード」

そう、ノルウェー発祥のスキージャンプ競技で使われる用語です。日本に滞在したことのあるノルウェー人Aさんは、テレビから聞こえてきた「バッケンレコード」という言葉にびっくり仰天! 日本でノルウェー語を耳にするとは夢にも思わなかったそうです。

みなさんも、次の冬に「バッケンレコード」という言葉を耳にしたら、ノルウェー語だということを思い出してくださいね!

(文・御供理恵)

著者プロフィール

御供理恵(みともりえ) 東京学芸大学大学院心理学講座修了。ノルウェー人の夫の転勤に伴い、オランダ、ルーマニア、韓国と引越しを重ねる。2010年からは北極圏の町、ノルウェー・アルタ在住。難民受け入れセンターでソーシャルワーカーとして働きながら、ライターとして雑誌・インターネット・テレビなどを通じ、日本に向けてノルウェーから情報発信している。

【webサイト】http://www.arcticrainbow.com/

【facebook】https://www.facebook.com/ArcticRainbow

※この記事は2014年05月16日に公開されたものです

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