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食べすぎの原因は「かみ方」にあった? 簡単によくかめるコツとは?

塩澤光一

「よくかんで食べると体にいい」とよく聞きます。でも、なぜよくかんだほうがいいのか、どうすればよくかめるのかは案外わかっていないもの。鶴見大学歯学部の塩澤光一先生に自然とよくかめるようになるコツを聞きました。

かむ回数を自然と増やす方法

かむ回数を自然と増やす方法

■ドカ食い防止、基礎代謝向上……よくかむことのうれしい効果

「咀嚼にはさまざまな健康効果が期待されていますが、そのうちのひとつがダイエットです。食事を開始してしばらくすると、脳にある満腹中枢から “満腹だ”という信号が発せられます。急いで食べたり、一度に多量の食べ物を口に入れたりすると、満腹信号が発せられるまでに多量の食物を摂取し、思ったより食べすぎてしまいます。よくかんでゆっくり食事をすることは、満腹信号が発せられるまでの総摂取カロリーを抑える、すなわちダイエットにつながるのです」(塩澤先生)

よくかんで食べると、口の中にあるいろいろなセンサーが応答し、ホルモンの分泌や自律神経の活動を促進。その結果、基礎代謝がアップして消費カロリーが増加するという働きもあるそう。ところが、食生活やライフスタイルの変化とともに、かむ回数が次第に減っている傾向が見られます。原因は昔に比べて軟らかい食べ物が増えたこと。戦前は一度の食事で1,420回かんでいたのが、現代は半分以下の620回になっているというデータもあるとか。

「正しくかむには頬やあごの筋肉、舌など口全体を使います。しかし、かむ回数が減ったことで必要な筋肉が弱ってしまい、さらにかむ回数が減るという悪循環も起きています。無意識のときに口が半開きになっている人は顔回りの筋肉が衰えている可能性が高く、要注意です」(塩澤先生)

■簡単に正しくかむ回数を増やすには? ポイントは「調理法」と「食べ方」

厚生労働省では「ひとくちにつき30回かむ」を推奨しています。でも、かむ回数を数えながら食事をするのはおっくうなもの。塩澤先生は「回数そのものは意識しなくても大丈夫」とアドバイスします。

「人間は口に入れたときに食べ物のかたさに応じて無意識にかむ回数やかみ方を変えています。そのため、食材を大きめに切ったり、かみごたえのある食材を加えるだけで自然とかむ回数を増やすことができるんです。たとえば、外食のときなら“ゴロゴロ野菜”といったフレーズが書かれているメニューを選んだり、パンは堅めのものを選ぶのも効果的です」

サンドイッチやおにぎり、ハンバーガーなど丸かじりするタイプの食べ物は、ついひとくちの量が多くなり、よくかまずに食べてしまいがちなため、要注意だとか。

「通常であれば、直接パクッとかぶりつくようなものも、あえて一口分ずつちぎって食べるといいですよ。ひとくち分を食べ終えるまで、いったん皿などに戻すのも効果的です。レストランであれば、ナイフで小さめに切って食べるのもいいでしょう。少々面倒に感じるかもしれませんが、そのちょっとしたひと手間のおかげでかむ回数が増え、いつもより少ない量の食事で満腹感が味わえるようになりますよ」(塩澤先生)

(取材協力:塩澤光一、文:青柳美帆子+ガールズ健康ラボ)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.05)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2014年05月15日に公開されたものです

塩澤光一

鶴見大学歯学部講師。専門は口腔生理学。国立保健医療科学院の研究協力メンバーとして、咀嚼回数と方法に関する研究を行っている。NHK『首都圏ネットワーク』での「かんでダイエット」特集など、メディアでも活躍。著書に『スタディ 口腔生理学』(永末書店)がある。

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