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南半球でしか見られない変わった名前の星座たち「テーブルさん座」「はちぶんぎ座」

北半球の星座には、神話に登場する名前に関するものが多く存在します。たとえば、勇者の名前に由来する「オリオン座」や「ペルセウス座」、王女に由来する「アンドロメダ座」などが有名ですね。

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それに対して、南半球の星座たちは一風変わった名前のものが目立ちます。

今回はそんな南半球の珍しい名前を持った星座たちをご紹介していきたいと思います。

どうして変わった名前の星座が多いの?

現在、全天には88種類の星座があります。このうち日本からはまったく見られないか、または沖縄のような南方でしか見られない、いわゆる南天の星座に位置づけられるものはおよそ20~30種類程度あります。

北半球で見られる星座はギリシア神話などを中心に名付けられたものが多いのですが、南天の星座はその大半が15世紀からの大航海時代以降に名付けられたため、実在の動物や道具の名前が多く使われています。とはいえ、あまりなじみの無い動物や道具であることから、変わった名前だなという印象を受けます。

きょしちょう座

「きょしちょう」は漢字で「巨嘴鳥」と書きます。巨嘴鳥とは南アメリカに生息するキツツキの仲間の鳥類で、くちばしが大きいのが特徴です。もともとは16世紀にオランダ人のケイセルとハウトマンによって作られた星座ですが、後の17世紀にドイツ人のヨハン・バイエルが著書「ウラノメトリア」の中でまとめたことから、いわゆる「バイエル星座」の1つに位置付けられています。

5角形を少しつぶしたような星座で、くちばしに当たる部分は3等星ですが、それ以外は4等星で構成されています。

ふうちょう座

「ふうちょう」は漢字で書くと「風鳥」です。オセアニア地方(主にニューギニアなど)に住んでいる「極楽鳥」を指します。

カラフルで美しい羽根を持っていることと、16世紀頃のヨーロッパへはその剥製が足の無い状態で運び込まれたことから、風に乗って一生飛び続けている鳥という意味で、極楽鳥と名付けられたとされています。

なお、この星座もきょしちょう座と同じような経緯で設定されたバイエル星座の1つです。

ステキな名前を持った星座ですが、すべての星が4等星以下の暗い星から作られているため、肉眼で探すのはなかなか難しいでしょう。

テーブルさん座

「テーブルさん(山)」とは、南アフリカ共和国の主要都市ケープタウン近くに実在する「テーブルマウンテン」のことで、18世紀にこの山で観測を行っていたフランスの天文学者であるニコラ・ルイ・ド・ラカーユが名付けました。

もっとも明るい星でさえ5.09等級の明るさしかなく、現在88種類ある全ての星座の中で一番目立たない星座と言えるかもしれません。

なお、テーブルさん座の近くには「大マゼラン雲」と呼ばれる銀河があります。大マゼラン雲は0.9等級の明るさを持ち、肉眼でもぼんやりとした雲のように見えることから、テーブル山にかかる雲を連想させてくれます。

はちぶんぎ座

「はちぶんぎ」は「八分儀」と書きます。円を8等分した扇形(45度)の角度を測る道具の一種で、天体観測にも使われています。

北極星の正反対側にあたる「天の南極」にもっとも近いところにある星座で、こちらもラカーユが名付けました。この星座に属している「ポラリス・アウストラリス」は、常に真南に見えることから現在の「南極星」にも指定されています。

しかし、5.47等級とたいへん暗い星であるため、肉眼ではほとんど見えません。

このほか「ろくぶんぎ(六分儀)座」や、かつては「しぶんぎ(四分儀)座」という星座もありました。しぶんぎ座は現在、流星群の名前として残っています。

レチクル座

「レチクル」というのも耳慣れない単語ですので、何のことか分からない人が多いでしょう。これは、天体望遠鏡の照準を合わせるため、目印としてレンズに貼る十字の目盛線のことです。

テーブルさん座やはちぶんぎ座と同じくラカーユによって設定された星座で、小さなひし形をしています。3等星が1つありますが、それ以外の星はあまり目立ちません。

まとめ

日本に住んでいるとほとんど聞く機会もない南天の星座たち。きょしちょう座、テーブルさん座、レチクル座…と、名前を聞いてもピンとこないものばかりだったかもしれません。

今回ご紹介した星座たちには、北半球で有名なオリオン座やさそり座に見られるような明るい星も少なく、派手さもありませんが、そこが逆に魅力的だったりしませんか?

(文/TERA)

●著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。

※この記事は2014年05月10日に公開されたものです

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