日本の景気は、本当に上向きなのか?「一人当たりのGDPは、世界で10位」
4月8日、日銀が金融緩和の継続を発表した。消費増税で景気は一時的に落ち込むが、夏ごろには回復し、トータルでは緩やかな上向きとみられているようだ。
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日本の景気は本当に上向きなのだろうか? GDPが世界第3位と誇らしく報じられているものの、一人当たりに換算すると10位程度でしかない。2倍以上の借金をかかえ、幸福な国ランキングでは43位と、とてもじゃないが住みやすい国とは言えないのだ。
平均所得は200万円台?
GDPは国内総生産の略で、その年に生産されたものやサービスの合計額をあらわす。需要がなければ生産はおこなわれないので、GDPの値が大きく、前年と比べて増えるほど景気が良いと考えることができる。
内閣府発表の資料から、2008~2012年の日本のGDPと前年対比をみると、
・2008年 … 4.86兆ドル … 111.46%
・2009年 … 5.04兆ドル … 103.78%
・2010年 … 5.51兆ドル … 109.24%
・2011年 … 5.91兆ドル … 107.31%
・2012年 … 5.93兆ドル … 100.38%
で、2012年は世界の8.2%を占め、アメリカ、中国に次ぐ第3位になっている。2008年から5年間で22%も増えているので、景気は上向き判断できる。
一人当たりでみるとどうなるのか?同じ期間で比較すると、
・2008年 … 37,962ドル … 19位
・2009年 … 39,399ドル … 16位
・2010年 … 43,038ドル … 14位
・2011年 … 46,259ドル … 14位
・2012年 … 46,537ドル … 10位
と、ぱっとしない結果となる。
国民所得(NI)がこれを裏付け、
・2008年 … 277万円 … -6.9%
・2009年 … 269万円 … -3.0%
・2010年 … 275万円 … +2.4%
・2011年 … 273万円 … -0.8%
・2012年 … 275万円 … +0.8%
と、GDPが示す景気とは裏腹に、この5年間で平均所得は下がっているのだ。
危険地域よりも住みにくい日本!
住みやすいと言えない理由には、債務残高の多さもあげられる。日本は世界一の借金大国なのだ。
多額の借金をしても、収入が多ければ問題ない。そこで額ではなく、収入にあたるGDPとの比率がポイントとなる。日本の債務vsGDPの比率は、2008年で171.1%、2012年は214.3%もある。昨年2013年は224.3%、つまり収入の2.2倍も借金を抱えている計算だから、返済し切れるのかも怪しい。
たとえ借金が多くても、幸せに暮らせるのか? 残念ながらNoで、世界幸福度ランキング(WHI)は世界43位と非常に低いのだ。
「世界」「幸福」の名前から怪しく思われるかもしれないが、国連が発表するれっきとしたレポートで、GDPをはじめ健康、自由、クリーンな政治などが加味されて決まる。その結果、日本のGDPは世界第3位でありながらも、43位と低い評価しか得られなかったのだ。
特徴的な国と、2013年のGDP順位は、
・1位 … デンマーク(34位)
・2位 … ノルウェー(23位)
・3位 … スイス(20位)
・17位 … アメリカ(1位)
と、WHIとGDPは反比例しているとも表現できる。そのうえで、GDP1位のアメリカよりも幸福度が低い日本は、そうとう低い評価だと考えるべきだろう。
さらに興味深いのは、イスラエル(11位)やクウェート(32位)、コロンビア(35位)で、外務省の海外安全ホームページでは「渡航延期勧告」や「十分注意」と記され、危険と考えられているにも関わらず、幸福度は日本より上にランキングされている。
日本はどれだけ住みにくいのか?と考えさせられるデータだ。
まとめ
・日本のGDPは世界第3位
・GDPだけで判断すれば「好景気」
・一人当たりに換算すると、世界10位程度
・世界幸福度では43位と、かなり残念な結果
アベノミクスを見守ることにしよう。
(関口 寿/ガリレオワークス)
※この記事は2014年04月18日に公開されたものです