お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

アメリカ大寒波の原因は何?

今年1月にアメリカを襲った大寒波。凍りついたナイアガラの滝、雪に埋もれたクルマの映像をみて、これは映画のシーンでは?と目を疑ったひとも多いだろう。

【男の視線が大寒波!絶対にやってはいけない「冬のファッション」4つ】

温暖化傾向と言われているのに、なぜ大寒波なのか?原因は、北極上空の寒気が他の地域に流れ込む「北極振動」で、すべての原因とは表現できないものの、温暖化が寒波を招いてしまったのだ。

いつもより多く回っています!

北/南極上空には極渦(きょくか)と呼ばれるジェット気流がある。本来は流れが強く、狭い範囲を周回しているので、極付近に寒気を閉じ込める働きをしている。ところが極渦が弱まると、中緯度の地域まで広がってしまう。

それ自体が低温なのも相まって、普段は暖かい範囲にまで寒波がやって来るのだ。

なぜ極渦が弱まったのか? 地球温暖化と騒がれているのだから寒波は変じゃないのか?と思うのが当然だ。ところが地球温暖化こそが、真逆の大寒波の原因と考えられているのだ。

アメリカ海洋大気局(NOAA)は今年1月に、北極が暖かくなり、大陸(中緯度の地域)が冷え込むと極渦が大きく広がると発表している。1月5日=アメリカ大寒波の直前に、広範囲に拡大していることが確認されているのだ。

詳しいメカニズムはまだ解明されていないものの、温まった北極が引き金となるため、地球温暖化が原因では?と考えられているのだ。

電子レンジ暖房は厳禁!

ただし、地球温暖化説を真っこうから否定する意見も多い。気温変動が原因なのはほぼ確実だとしても、「北極は上昇」「大陸は低下」が条件なら、一言で温暖化とまとめてしまうのは強引だからだ。

気圧も極渦の強弱に関係し、気圧が上昇すると極渦が弱まり、低下すると強まる。大陸との気圧差も一定ではなく、グラフに表すと北極>大陸、北極<大陸と波打つように変化するため「北極振動」と呼ばれている。つまり極渦の強弱=寒波の範囲が変わるのは、さほど不思議な話ではないのだ。

この100年の寒波をあげると、

・1946~1967年・イギリス

・1963年・日本

・1993年・アメリカ東部

・2006年・ロシア

と、時期も地域もまちまちだ。1950年台にも起きているのだから、原因は温暖化と決めつけるのは早計だ。

もし明日、日本が大寒波に襲われたらどうなるのか? 2006年のロシアでは、暖房だけでは寒さをしのげず、電子レンジで暖をとろうとしたひとが多かったと聞く。残念ながら「水」を温めるように設計されているため、暖房としての効果は期待できない。

その結果、大規模な停電を引き起こして、さらに被害が拡大したと聞く。

たとえマイナス30℃台の日が続いても、レンジを暖房代わりに使うのはやめておこう。

まとめ

・北極の気圧が変わると、広い範囲に寒気が流れ出る

・詳しいメカニズムは不明

・地球温暖化=北極の気温上昇は無関係ではないが、決定的な証拠でもない

・いつ、どこに大寒波が押し寄せても、不思議ではない

厳寒の日が始まるのかも知れないし、耐えがたい猛暑が続くかも知れないが、地球の歴史を考えれば気象変動は当たり前なので、ひとことで異常とは表現できない。6億年前の地球は全球凍結、すなわち氷のかたまりとなっていた。

平均気温はマイナス50℃と推測されるので、大寒波どころか超・寒波の毎日だったのだろう。

地球も生きている。「相棒」の変化をリアルに味わえることも、生きている喜びと考えたい。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年01月24日に公開されたものです

SHARE