お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

プチプチの浮力はどこまですごいのか?

もしも近所の川から水があふれてきたらどうするか?家庭にボートや救命胴衣があるはずもなく、高い場所に避難する以外に方法はないのかと思ったら、引っ越しや宅配便で使われる通称・プチプチをかき集めれば、即席の救命ボートが作れそうだ。

【もしもスペースプレーンが完成したら「完全に再利用可能」「10日間に10回往還可能」】

少ない浮力をかき集めろ!

空気を使った緩衝(かんしょう)材は気泡緩衝材が正式名称で、ご存じのプチプチやエアーキャップは商品名だ。ただし気泡緩衝材ではピンと来ないので、ここではプチプチの名で呼ぶことにする。

プチプチにはグレードや番手と呼ばれる性能差があり、統一規格ではないものの、各メーカーとも数値が小さいほど薄く軽くなる傾向がある。コップやプラスチック製品を包んでいるものは軽包装用と呼ばれ、番手なら#36~38が一般的だ。

試しにもっとも薄くて軽い#36の幅600mm×長さ42mを購入したので、これで検証してみよう。カタログ・スペックでは重さ1.25kgと軽く、幅も60cmしかないので、家にあってもさほどジャマにはならないだろう。

空気の入った突起は気泡と呼ばれ、#36では直径10mm、高さ3.5mmとされている。この大きさに1気圧で封入されている場合、気泡1つの空気量は0.27475立方cmとなり、水に沈めた際に浮力を発揮する。

また、5cm四方にある気泡の数は実測・18個なので、1平方cmあたり0.72個存在する計算となる。つまり1cm角のプチプチは、気泡の空気量×0.72=0.19782g分の浮力を生むことになる。

購入したプチプチの全面積は、幅60cm×長さ4,200mから252,000平方cmで、総重量が1.25kgなので、1平方cmでは約0.00496gと非常に軽い。浮力からプチプチの重さを引くと、1cm角のプチプチでおよそ0.197gの物体を水に浮かせることができる。

重さ1gの1円玉なら5平方cm強、体重60kgの人間なら51.85mで浮かべることができる。購入したものは42m巻なので48.6kgまでとなるが、業務用に使われる幅120cmタイプを使えば2倍の97.2kgまで対応可能だから、大柄なひとにはこちらがお勧めだ。

すごいぞプチプチ! 今日から防災グッズの仲間入りだ!

決めては大粒気泡

気泡の大きいプチプチを使うとどうなるのか?#78と呼ばれるタイプは直径32mm・高さ10mmもの大粒の気泡を持っているので、浮力面では圧倒的に有利だ。ただし厚く丈夫なため幅120cm・長さ35mで3.3kgと、#36よりも60%ほど重い。

これも同様に浮力を計算すると、気泡1つの体積は約8立方cmとなり、#36の30倍近い空気が入っていることになる。あいにくと手元にサンプルがなかったので、写真から判断すると10cm角に9粒ほどあるので、これをもとに1平方cmあたりのスペックを計算すると、

・気泡の数 … 0.09個

・気泡の空気量 … 0.723立方cm

で、ここからプチプチ自体の重さ0.0078gを引くと0.716gほどとなり、#36の約3.6倍の浮力が得られることになる。体重60kgの人なら長さ698cm、およそ7mで浮かすことができ、1ロールすべて使うと300kg分の浮力が得られるので、3~4人分の救命ボートに早変わりだ。

気泡の数は推測なので、仮に2割少なかったとしても240kgも浮かべられるなら十分だろう。

軽包装用とは違うのだよ、軽包装用とは。

ただし、気泡のサイズきっちりに空気が入っていることが条件で、少なかったり破けていれば浮力は当然減ってしまう。一カ所に体重をかけると気泡がパンクしてしまうので要注意だ。また、巻きがほどけてしまうと浮力も分散してしまうので、がっちりとしばっておくと良いだろう。

気晴らしにプチプチっとつぶしたくなる衝動を抑え、ひたすらしがみついて救助を待とう。

まとめると、

・一般的な#36では、幅120cm・長さ42mは欲しい

・業務用の#78なら、幅120cm・長さ35mで良い感じ

一度使うと干すのが大変そうだが、海やプールで浮輪代わりに使えば、注目の的になること確実だ。

まとめ

先日、通販でバケツを購入したところ、箱の90%が緩衝材で埋め尽くされていた。バケツの内側にまで詰めてあったのには恐れ入った。

輸送時の事故を心配した結果なのだろうが、捨てるのもひと苦労だ。限りある資源を大切に。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年01月07日に公開されたものです

SHARE