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理性的な人ほど友達が多い

新年会や親せきまわりなど、ひとと接する機会が増える正月。ふと気づいたら受け取るメールや年賀状が減り、友達が少なくなったなぁと落ち込む人も少なくないだろう。

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オックスフォード大学のロビン・ダンバー教授によると、友達や仲間の数は脳によって決まるという。大脳新皮質が発達した理性的なひとほど交際範囲が広く、多くの友を得ることができるのだ。

交際範囲は3倍ずつ増える?

ロビン・ダンバー教授は認知・進化人類学研究所の所長も務め、著書の脳と集団の大きさをひもづけている。例えばマントヒヒの場合、1頭のオスに対して1~5頭のメスが集まり、最大6頭ほどで夫婦を成す。その家族が10~15ほど集まって群れとなるので、ボスは90頭ほどの面倒をみながら集団を維持することになる。

人間はどうか? 夫婦の定番は2人でマントヒヒより少ないが、これは多くの国で一夫一婦制が法律で定められた結果で、動物としての性質ではない。厚生労働省の資料によると、日本の平均世帯人員は1953年(昭和28年)が5.00人だったのに対し、2010年(平成22年)になると2.59人まで減っている。

なかには親子や兄弟姉妹の世帯もあるだろうが、必ず夫婦を含むと仮定すると、2世帯中1世帯は夫婦のみ、残りは親か子を1人含む計算となり、マントヒヒよりも圧倒的に小さい集団しか形成していない。

ただし「一緒に暮らす=集団」は早計で、一人暮らししている子、結婚していても単身赴任など、マントヒヒよりも複雑な要素が多い。食う・寝る・遊ぶをともにしなければならないマントヒヒも辛そうだが、人間の場合は会社や学校など、家族ではない集団にも属さなければいけないから、苦労もひとしおだ。

幸せか高度かは別として、動物によって集団の複雑さは変わり、とりわけ人間はさまざまな要素を媒介に、種類の異なる集団に属し、友人・知人が多いのだ。

ダンバー教授によると、この複雑さは大脳新皮質(しんひしつ)の量に比例するという。つまり脳が知り合いの数を決めるのだ。相手との関係とおおよその人数をあげると、

・ごく親しい関係(家族など) … 3~5人

・親しい人関係(恋人/親友など) … 15人

・目的や機能を持った関係(旅行・サークルなど) … 50人

・氏族や村(集団) … 150人

となる。5から始まり150へと、おおよそ3倍ずつに拡大しているのもダンバー教授が特筆している点だ。

思いやりもズルさも友達を増やす?

なぜ大脳新皮質が、友達の数に関係するのか? 答えはそれが理性や論理性をつかさどる点にある。つまりは、好き嫌いは別として、顔と名前、相手の嗜好(しこう)や集団のなかでの序列や立場を、少なくとも覚えておかないと関係が成り立たないからだ。

同書では、この気づかいをメンタライジングと呼び、動物認知、高度な場合は人間発達認知と呼んでいる。マントヒヒの例では、あるメスが、ボスに隠れて別のオスの毛づくろいをしているシーンが描かれているが、これがNGなのは、

・メス … 自分がボスの目が届かないところにいる(ボスは危険と判断する)

・オス … ボス以外が良い思い=毛づくろいしてもらっている(ボスは敵と判断する)

の2点で、どちらもボスが気に入るか気に入らないかがルールなのだが、それを踏み越えて「隠れて二人でいいことしない?」は、なんと頭の良いことか! このズル賢さも、理性/論理性をつかさどる大脳新皮質が成し遂げる技で、アリやハチには到底できない芸当だ。

おっと、昆虫には脳がないから、大脳新皮質は無かったか。

まとめ

家族や友達ではない集団といえば、会社が代表的だろう。日々、大なり小なり人間関係に悩まされるのは、サラリーマンの必要経費と考えるしか他ない。

理性的なヒトが把握できるのは150人までなら、大企業はどうなるのか? 社長や会長と機会があれば、ぜひ試して頂きたい。「私、○○の時に△△した□□ですけど、あのときは申し訳ありませんでした」ってブラフをかまそう。

たぶん、相手も覚えていない。

「あぁ~あれね!あれはもういいから」なんて話が聞けたら、コイツも覚えていない。親指を立てて喜ぼう!

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年12月10日に公開されたものです

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