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シングルマザーになったら、生活費はいくら必要?

花輪陽子

恋愛、転職、結婚、出産……、さまざまなライフイベントに、マネーの悩みはつきもの。なかなか人には相談しにくいお金とライフプランのお悩みを、編集部が読者に代わり、FP花輪陽子さんにガチンコ相談!

今回の相談者はシングルマザーのくみさん(仮名・33歳)。5年前に離婚し、現在は実家で両親のサポートを受けながら、娘を育てています。ひとりで子どもを育てるにはいくらくらい貯金が必要なのかわからず不安だとか。シングルマザーのマネープランについて、FP花輪陽子さんに聞きました。(取材・文/島影真奈美)
※くみさん後編はこちら

将来必要なお金がわからず不安です

老後も困らないよう、ただただ貯金を心がけていますが、これからどれくらいお金がかかるのかわからず不安です。現在、生活にまつわる費用は基本的に両親が払ってくれ、私は外食のときにたまに支払う程度。ただ、両親はすでに年金暮らしで貯金を崩して生活しているような状況のため、両親に何かあれば、今の生活を続けることが難しくなります。両親の負担を減らすべく、なるべく節約を心がけてはいますが……。お付き合いしている彼はいますが、結婚できるかどうかはわかりません。もし、ひとりで子どもを育てていくとしたら、いくらくらい貯金が必要なのでしょうか。また、どうやったら貯められるのかを知りたいです。(くみ/アパレル・繊維/販売職・サービス業/31歳)

【くみさんprofile】

実家暮らし。手取り年収180万円、手取り月収15万円。実家に3万円入れている。
アクセサリーや雑貨を扱うショップで店員として働いており、9:40~18:20の早番勤務と12:40~21:20の遅番勤務がある。週休2日だが休みは平日中心で、休日は家事をして過ごすことが多い。
月に1回ぐらい、土日どちらか休めたら子どもと遊びに出かける。
貯金は月々3万円。50万円や100万円などまとまった金額になったら定期預金に移す。現在の貯蓄額は約500万円。子どもが成人するまでに1,000万円以上貯めたいと考えている。

シングルマザーの子育て、いくら必要?

編集部 今回の相談者はシングルマザーとして子育て中のくみさん(仮名)です。女性ひとりで子どもを育てるにはどれぐらいお金が必要かがわからず、不安に感じているそうです。

花輪陽子(以下、花輪) 子どもを育てるための費用として、もっとも大きいのは「教育費」です。たとえば、文部科学省「子どもの学習費調査」(2010年)によると、小学校から高校まですべて公立の場合は約504万円、すべて私立の場合は約1,702万円かかるとか。これらの数字には小学校から高校までの学校給食費や学校外費を含みます。

編集部 女性ひとりで用意するとなると、かなり大変ですね……。

花輪 そして、子どもが小さいころは特に、親が遠方に住んでいるなど、近くにサポートしてくれる人がいない状況だと、ちょっとした外出にもベビーシッターや保育ママに預けなくてはいけません。そうなると、教育費以外の日々の生活費でもコストがかさんでしまうんです。シングルマザーに限らず、働く女性全般に言えることですが、両親が近くにいてサポートを受けられるのはとっても恵まれた環境だといえます。

編集部 シングルマザーだと女性や手当てがもらえると聞いたことがあります。

花輪 母子家庭の場合、国からの経済的援助として「児童扶養手当」が所得に応じて、月々9,780円~4万1,430円(子どもひとりの場合/平成24年4月~)もらえます。かつては母子家庭のみが対象でしたが、2010年8月からは父子家庭ももらえるようになりました。また、バスや地下鉄の特別乗車券や通勤定期の割引、医療費の減免などさまざまな形でのサポートがあります。一方で、シングルマザー世帯(20~64歳の勤労世帯)の約6割が“貧困”に陥っているのが実情なんです(平成22年版「男女共同参画白書」)。

編集部 そうなんですか……。貧困というのは?

花輪 ここで言う「貧困」の定義は、相対的貧困率にもとづくものです。可処分所得を順番に並べていったときに、ちょうど真ん中にあたる人の所得の半分に満たないことを指標にしています。2009年の調査では112万円に満たない人の割合をいいます。

編集部 くみさんの場合、現在は両親のサポートもあるけれど、両親に万が一のことがあると……という不安もあるそうです。

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