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トイレットペーパーは何回巻いてあるの?「264回」

1日に1回はお世話になるトイレットペーパー。慌ててトイレに駆け込んだら、紙がなくて出られないなんて定番ギャグがあるように、生活のマストアイテムと呼べる存在だ。

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ところで、トイレットペーパーは何回巻いてあるのだろうか? 全体と1枚の厚みが分かっても、重なりに隙間があるので枚数は割り出せない。気合と根性で数えるしかないかと思ったら、長さと外径、芯の直径だけで簡単に計算できるのだ。

意外に厳密なトイレットペーパー

トイレットペーパーはどこでも使えるように、日本工業規格(JIS)によって大きさが定められている。例えば幅は、114ミリを基準にプラスマイナス2ミリまでの誤差しか認められていない。使う際はホルダーに掛けるのが一般的なため、メーカーごとに幅が異なると収まらなくなってしまうからだろう。

同様に芯の直径も37~39ミリと、厳密に定められているのだ。

対して長さと外径は、

・長さ(メートル) … 27.5 / 32.5 / 55 / 65 / 75 / 100m

・外径(ミリ) … 120mm以下

と基準がゆるい。外径は芯よりも大きく120mm以下ならOKで、表示よりも短いのはNGだが、長さはプラス3mまでの誤差が許されている。究極の瞬間消耗品ながらも、きちんと規定されているのには驚いたが、60mや110mなど規格外の製品が売られているのは不思議だ。

手もとにあった長さ60m・1枚重ねシングルのトイレットペーパーを定規で実測したところ、外径は105mm、芯の直径は40mmだった。このトイレットペーパーは何回巻いてあるのかを調べてみよう。もちろん均一に巻かれ、折れたり重なったりしている部分はないと仮定してだ。

もっとも簡単な方法は、1枚の厚さから割り出す方法で、(外径-芯の直径)÷2ですべての紙の厚みがわかる。これを1枚の厚みで割り算すれば、何段重なっているか求められるはずだ。

ただしこの方法では2つの問題があり、まず紙が薄すぎて、家庭にあるミリ単位の定規では1枚だけを正確に測ることができない。次に、紙はゆとりをもって巻かれている点で、固く巻きつけられていれば通用するが、紙と紙のあいだに隙間があるので誤差が大きすぎる。

原始的に1枚ずつ数えたほうが高精度だろうが、3cmほども積み重なっている破れやすい紙を数えるなんて、想像しただけでリタイアだ。

算数がトイレを救う?

少し視点を変えてみよう。実際には芯からうず状に巻かれているのだが、筒がいくつも重なっていると考えると、

・芯の直径=40mm → 一番内側の紙の長さ=125.6mm

・外径=105mm → 一番外側の紙の長さ=329.7mm

・全体の長さ=60m → 60,000mm

で、内側から外に向かって筒の直径は大きくなるので、比例して紙の長さも長くなる。外側からみれば、内側に向かうほどに短い紙が巻かれているように見えるはずだ。

ここで、1+2+3+ … +8+9+10を計算してみよう。トイレットペーパーと何つながり?と思うのも当然だが、重大なヒントがかくされている。1+2=3、3+3=6、と続けるよりも、(1+10)+(2+9)+(3+8)…と計算すると、合計11が5組あるので答えは55とすぐに求められる。

トイレットペーパーも同様に、長さは均等に増減するので、

・一番内側の長さ + 一番外側の長さ

・内側から2周目の長さ + 外側から2周目の長さ

この2つのペアは同じ長さになるので、これで全体の長さを割り算すれば、何組あるか求められるはずだ。

式にすると、

・60,000÷(125.6+329.7)=131.78

ただしこれは長短合わせたペアの数だから、2倍すると263.5、およそ264回巻かれていることがわかる。

まとめ

これはドイツの数学者・ガウスが見つけた方法で、差が同じ数列なら(最大+最小)=(n番目に大きい数+n番目に小さい数)になるのを利用した計算だ。

高度とも単純とも呼べる方法だが、300周近く巻かれたトイレットペーパーを数えずに済んだので一件落着。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年11月17日に公開されたものです

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