なぜアメリカは世界各地の地震を真っ先にキャッチできるのか?
アメリカという国は面白い国で、「必要とあれば何でもやるもんね。お金がいくら掛かってもやるもんね」という国でございます。アメリカが一生懸命作った大掛かりなシステムについてご紹介します。
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■アメリカは世界中の地震をいち早く探知!でもなぜ?
アメリカは世界中で起こった地震をいち早く探知できるといわれています。その理由は、世界中に地震計を設置しまくったからなのですが、ではなぜそんなことをしたのでしょうか? 世界の皆さんのため!ではないのです。
理由は冷戦期までさかのぼります。東西両陣営に分かれて机の下で足の蹴り合いを行っていた当時、何より恐ろしいのは相手陣営の核兵器でした。
核実験がどのように行われるかは、その性能を分析するためにも絶対に調べなければならないことでした。
そこで、地下核実験の探知を主目的として、アメリカは世界中に地震計を設置したのです。
また「自然地震を装った形で行われる地下核実験も見抜けるように」などと努力を重ねた結果、地震探知の能力は格段に向上しました。
各地に地震計を設置した結果、世界規模の地震探知システムとして機能しているというわけです。もちろん核実験も見つけますが、世界各地で起こった地震をアメリカがいち早く知ることができるのは冷戦のたまものというわけです。
「人間、何でもやっとくものです」と感想を漏らす人もいるそうです(笑)。
アメリカは世界の海中の音を拾う!何やってんの?
日本近海もいろいろきな臭い情勢でありますが、アメリカは世界の海中の音をリアルタイムでキャッチし、見張っています。これはSOSUS(Sound Surveillance Systemの略)というシステムがあるからできることです。
簡単にいうと、海の交通の要所に設置された聴音システムで、元々は旧ソ連軍の潜水艦を見つけるために開発されました。1950年代に研究が始まり、30年以上をかけて世界中の海にセンサー網を張り巡らせたのです。
軍事目的で開発、設置されたのですが、このシステムが意外なことに、学術的に役立っています。例えば「メガプルーム」という海底火山の同時噴火現象はSOSUSによって確認されています。他にも、クジラの鳴き声を探知して研究に役立ったりと、やっぱり「人間、何でもやっとくもの」なんですね(笑)。
ソ連が崩壊してしまった今でもこのシステムは有効に機能しています。日本近海にももちろんSOSUSの網があり、某国の潜水艦もこれを逃れることはできません。
アメリカの耳は世界中の通信を傍受! 大変!(だそうです)
「エシュロン」という単語を聞いたことがあるでしょうか。アメリカが運用している通信傍受システムの名称といわれています。世界中の通信を取得し、分析し、テロなどに備えているのだそうです。
ちなみに、エシュロンはシステムの名前ではなく、フィルターとして使う検索ソフトの名前だという説もあります。エシュロンの方が一般に知られるようになってしまったのでそのままにしているとか。
さて、傍受された膨大なデータの分析作業はNSA(国家安全保障局)が米国内で一手に引き受けているといわれています。しかし、その膨大なデータを分析する作業は大変で「データの海に溺れている」という話も。
「世界中の通信の90%を傍受できる」なんていう話もあるそうで、もしそうならそのデータ量は膨大どころの騒ぎではありません。その中から必要なものをより分ける作業だけでも、いくら自動化されていても大変なことでしょう。
さらにその中から有益な情報を拾い上げ、必要なら人力で分析する。他人事ながら嫌になるほど面倒な作業でしょう。全然関係ない通信まで検索ソフトが引っ掛けて分析官が「キーッ!」なんてことは日常茶飯事なのかも(笑)。
実態不明なのでその苦労は私たちにはうかがい知れませんが、検索結果から自分にとって有益な情報を取り出すだけでも時として面倒くさいのに、世界中の通信からとなると……やっぱり大変そうですよ。
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2013年08月24日に公開されたものです