お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

女性は方向オンチが多いって本当?「男女関係ない」

すぐ道に迷ってしまう方向オンチ。待ち合わせ場所で友達を探していたら、自分が迷子になってしまったなんて話も少なくない。

【離婚は4年目に多いって知ってた?】

世間では方向オンチは女性に多いと言われているが、本当だろうか?方向や空間は脳の海馬(かいば)で処理されるので、体格に合わせて脳が大きい男性の方が有利に思えたのだが、男性の方向オンチも少なくない。

方向感覚は古代から続く生活パターンの名ごりで、慣れと訓練で改善できそうだ。

頭のなかのGPS

方向や距離などの空間情報は脳の海馬とその周辺皮質が受け持ち、位置、方向、距離の3つの神経細胞によって処理されている。赤ちゃんのころから少なからず方向感覚を持ち合わせ、脳の発達とともに方向、位置、距離の順に活性化されていく。

どれも記憶として処理されるので相対的な情報、例えば駅から何m、コンビニの何軒となりなど、目印と比較した位置しか分からない。地球の磁気から方位が分かるハトのように、絶対的な位置を知るシステムは持ち合わせていない。

つまり、男女を問わず人間は、見知らぬ場所では方向オンチが当たり前なのだ。

それでも迷子になりやすい人、なりにくい人がいるのはなぜか?これは自分の居場所を割り出すグリッド細胞が存在するからだ。グリッド細胞はカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームによって発見され、全貌は解明されていないものの、GPSのように場所を認識する細胞だと考えられている。

グリッド細胞は、自分のいる空間に碁盤の目のような格子を描き、その交点に来ると知らせてくれる役割を果たす。スタート地点を決め、移動した方角と距離を積み重ねていけば、今いる場所が分かるのに加え、グリッド細胞は地図上に方眼紙を描くようなものだから、より正確に把握することができるのだ。

まとめると、空間情報は「方向」「位置」「距離」と、グリッド細胞による「座標」をもとに、海馬によって地図が描かれていることになる。脳で処理される情報はすべて記憶として扱われるのだから、記憶の量、正確さ、正しく再現できるかが方向感覚の優劣を決めることになる。

身体の大きい男性は女性よりも平均10%ほど脳が大きいので、数値だけをみれば優位に思えるだろうが、空間以外の記憶と同様に、性差よりも個人差の方がはるかに大きい。

海外TV番組で、男女の被験者に目的地をしるした地図を渡し、クルマで迷わずたどり着けるかを検証したところ、結果は77対74で女性の方が好成績をおさめた。サンプル数が少ないので一つの例にすぎないが、記憶と情報処理の両面からみても、性差が生じる要素は全く存在しないのだ。

方向オンチは克服できる?

それでも女性に方向オンチが多いと言われているのはなぜか? これははるか原始時代からの生活パターンの違いが原因と考えられている。農耕の技術がなかった時代、男性は狩猟、女性は採集が生活の中心だった。男性は、獲物を求めて知らない場所にも行く機会が多かったのに対し、木の実や果実を採集する女性は、生活拠点から比較的近い場所でしか行動しなかった。

離れた場所から帰還しなければならない状況におかれていた男性に対し、女性は見覚えのある範囲で行動していたため、方向感覚を鍛える必要がなかったのだ。

方向感覚は学習による成果なので、遺伝的な要素は考えにくい。先に述べたように、脳の成長とともに能力として身につくのだから、仮に原始時代の経験が記憶の片隅に残っていたとしても、訓練次第で逆転できる。相対的な脳内の情報をもとに、絶対的な地図が描ければ良いのだから、論理的に考えるトレーニングを繰り返すのが良いだろう。

まとめ

筆者も部類の方向オンチで、通いなれた駅の地下で迷子になったことが多々ある。

そのうち自分の家に戻れなくなったらシャレにならないので、遅ればせながらトレーニングを始めた方が良さそうだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2013年08月18日に公開されたものです

SHARE