子育て中の働くママが「女性手帳」に喝! 日本の「子育て環境」に物申す
マイナビウーマンで「女性手帳」(仮称)に対する意見を募集したところ、実際に子育て中の働くママのみなさんからも多くのご意見をいただきました。
<働くママから寄せられた意見>
「実際出産してみて感じるのは、日本は母親という役に対してやさしいとは言いにくい行政だということ。仕事があっても年度切り替えのとき以外は基本待機児童、手当てに手厚い会社でなければ復帰できずに退職……。新たに仕事を探すにしても、保育所確約がないと働けず、通うにも仕事が決まってないと狭き門。育休3年案も女性手帳も、先に整えるべきことがあるのでは」(30歳女性/商社・卸/事務系専門職)
このように現在の日本は、子育てをしながら働くママにとってベストな環境とは言えない現実が見えてきました。
そこで今回は、実体験をもとに、妊娠や出産、育児の日々を描いた『マンガで読む 妊娠・出産の予習BOOK』の作者、フクチマミさんに、働くママたちの抱える問題について語っていただきました。
「多くの女性が妊娠出産を機に仕事を辞めている(辞めざるを得ない)のに、仕事が決まっていなければ保育園への入園が難しく、保育園が決まっていなければ働かせてもらえない。特に子どもの多い地域で起こっているこの悪循環は、母親にとってやさしい環境とは言いがたいと思います。
もちろん認可外保育園への保育料を補助してくれたり、待機児童用の保育園を新設したり、市区町村レベルでがんばってくれている地域もあります。とはいえ、子育て支援体制に地域差がありすぎること自体がおかしいように感じますね」
たしかに、出産や育児の対応に地域差があったら、住んでいる場所によっては「損している」と感じることがありそう。さらに、働くママのみなさんが働く会社の環境にも、さまざまな問題があるようです。
「まわりの働くママから話を聞くと、子どもがいることで労働時間が制限されたり、子どもの病気で突発的に休むことになったりと、会社で働くには不利な立場になることが多々あるようです。職種やまわりの理解にも温度差があるかもしれませんが『働くママが働いている前例』が多いほど、その会社は働きながら子育てもできる職場、という印象ですね。働いている当事者が職場の環境整備について意見しにくい部分もあるので、そこは行政が率先して制度を整えていってほしいです」
働くママは、限られた時間で集中して結果を出すパワーを身につけている!
その一方で、不利な場面の多い働くママたちには特徴がある、とフクチさん。
「限られた時間で集中して結果を出そうとするパワーを、働くママは身につけることができます。子育てが落ち着いても、スキルはそのままなので、子育て経験者の方と一緒に仕事をすると、有能な方が多いなと感じますね」
働くママが思う「あったら活用したい制度」は?
厳しい環境に置かれてこそ育つスキルもあるんですね! なんだか頼もしいです。そんな働くママのひとりとして、「もしこんな制度があれば活用したい」と思う制度案はありますか?
「月並みですが、ベビーシッターや病児保育サービス、家事代行サービスの無料チケットがあれば助かりますね。実際にすごく助かっているのは、『子ども医療費助成制度』。私の住んでいる地域では、中学卒業までは医療費が無料なので、とても医者にかかりやすく、安心感があります。保育園などの集団生活では、風邪をもらってくるのはよくあることなので」
たしかに、子育てに関係するサービスの無料チケットがあれば、気軽に利用できそう。そして、フクチさんが利用している「子ども医療費助成制度」は、各自治体によって内容がちがうので、これからママになる人は調べてみるのがオススメ。最後に、現在行政が少子化対策として導入を検討している「女性手帳」についてもコメントをいただきました。
「女性の体に対する正しい知識、妊娠・出産・育児にどれくらいのお金がかかるのか、どんな制度が利用できるのか、などが書かれていて、なおかつ『読み物としても面白い』ものなら歓迎です。
ただの保健体育の教科書みたいなものだったらもったいない。卵子は老化すると言っても、妊娠力は個人差が大きいという事実も伝えてほしいですね。税金を使ってつくるのなら、何度も読み返したくなるような仕上がりにしてほしい。『国が手帳を配布する』こと自体には、とても大きな意味があると思います」
「女性手帳」の内容ももちろんですが、市民や働くママの声を反映した政策を施行してもらえるとうれしいですね。
★フクチマミ
1980年、神奈川県生まれ。マンガ家・イラストレーターとして活躍中。2児の母。著作に、自らの出産経験をもとにした『マンガで読む妊婦・出産の予習BOOK』(大和書房)や関口由紀さんとの共著『ホルモンを整えて潤い美女になる! 1日1ケアメンテBOOK』(メディアファクトリー)などがある。
公式サイト:フクチマミのイラストレーション
※この記事は2013年05月22日に公開されたものです