「仕事を断るのが下手……」スマートに頼るためのキーワード「KTT」とは?

職場の人間関係の悩み、「言葉」で解決しませんか? コミュニケーション講師の宇佐美陽子さんが、アラフォーシングル女性の職場コミュニケーションの悩みにアドバイスします。第7回は、「仕事を断るのが苦手……」という悩みについて考えます。

「仕事を断るのが下手……」スマートに頼るためのキーワード「KTT」とは?

* * * * * * * * * * * ** * * * * *
これまでの連載は<こちら>から
* * * * * * * * * * * ** * * * * *
「オトナノ」読者のみなさん、こんにちは! コミュニケーション講師の宇佐美です。私の辞書には「断る」という言葉がないくらい、仕事でもプライベートでも頼まれたら「はいか、YESか、喜んで!」のどれかでした。おかげで、20代は多くのお仕事やご縁につながりました。30代も前半戦はよかったのですが、後半に突入したころから、仕事を気軽に引き受けることを「安請け合い」に感じてしまうようになりました。そのとき、年齢を重ねたからこその仕事との付き合い方とはなんだろうか、と真剣に考えるようになりました。今日は「断れない」自分について考えていきましょう。

本日のテーマ

こんなお悩みが届きました。

この仕事をお願いしてもいい? と聞かれると、断れずに残業してまで頑張ってしまう」(38歳/正社員)
頼られていると思うと断れずに仕事を抱え込んでしまう」(40歳/正社員)

“断れない”、ということは、上司からの仕事であれば「はい、わかりました。」と、部下からなら「しょうがないなあ、やってあげるよ」と言っているのではないでしょうか? そんな「YES」を言う自分と今日は向き合ってみましょう。

「断れない」自分を捉え直す

まずは、「断れない」自分のことを、自分ではどう思っているか? ということを確認してみましょう。もし、「断りたいのに、断れないなんてダメなやつだなあ」や「断れないって意志が弱い」と、「断れない」自分にマイナスイメージがあるのなら、「断れない」ことそのものをポジティブに捉え直してみましょう。

たとえば、「“断れない”、のではなく、あえて“断らない”ことを選ぶとしたら、自分にどんなメリットがある?」と考えてみてください。ただし、この質問に正解はありません。正解がないかわりに、自分自身が「断れない」本質的な理由がわかる可能性があります。

なぜ、断れないのか? という悩みでは、何に悩んでいるのかが曖昧です。ですから、本質的な悩みの正体を明らかにするために、上記のような質問を投げかけてみましょう。根っこの部分が明らかになるとそれだけですっきりすることもあります。自分ができないことがあってイライラしたり、不安になったり、もどかしく感じたりするときは、たいてい、悩みの本質にたどり着いていないときです。

イラスト:えなみかなお

「断らない」のは私にとっての当たり前!?

さて、みなさんの答えはいかがでしたでしょうか。あえて「断らない」ことを自分が選んでいたとすると、どんなメリットがありましたか? たとえば私だったらあえて断らず仕事を引き受けることで「恩を売って早く昇進する」とか「頼りになる存在だと思われたい」といったことがあるかもしれません。頼られるのは悪い気分はしませんし、「頼られて当たり前」「相談されて当たり前」という長女気質なので、逆に頼られなかったら私の積み重ねてきた「当たり前」がなくなってしまい、不安に陥るかもしれません。

あなたはいかがですか。自分が大切にしてきた考え方や立ち位置を守るために断らないのだとしたら……。しかし、その「当たり前」の行動も度が過ぎると自分自身を苦しめる行動に変わります。今回のお悩みでは「断れない」ことで残業になり、仕事を抱え込み、肉体的にも精神的にも追い詰められている状況が生まれています。

仕事を抱え込みすぎないためのキーワード「KTT」

仕事を抱え込みそうになったときは「KTT」という言葉を思い浮かべてください。3つの言葉の頭文字をとったので、「KTT」と名付けました。それは「困っています」「助けてください」「頼りにしています」です。

この言葉も普段から意識して使っていないと、口の周りの筋肉は「KTT」仕様になりません。まずは気軽に使える場面で使っていきましょう。仕事を振られたときは、最後に必ずこの「KTT」のどれかの言葉を入れて話を締めくくってみましょう。たとえば「これ、お願いできる?」と言われたら、いつも通り「はい、わかりました」と言って最後に「私も〇〇さんのこと、頼りにしていますね」や「このお仕事頑張るので、〇〇さんも、私が困ったときは、助けてくださいね」と言葉にすることで「一方的に頼られる関係」から「頼り合える関係」に変化させていきましょう。

また、「頼りにしているよ」と言われたら「私も頼りにしています」と返すことも、他人を頼ることのできる自分になるはじめの一歩として有効ですね。さらに、自分が困っていること、助けて欲しいこと、頼りたいことをより具体的にして、紙に書き出して読み上げることでもこの3つの言葉は自分になじんできます。そして、(仕事がたまっちゃったら助けてほしいな)と独り言のようにブツブツ言うのも「KTT」を自分の言葉にするために効果的です。ただし、職場でやると「独り言の多い人だな」と思われるので要注意です。「KTT」をあまり使ったことのない人は意識して使ってみてください。そうすれば、自分の中に「相手を頼りにしよう」と思うようになり、仕事を抱え込むことが少なくなってくると思います。ぜひ試してみてくださいね。

(文:宇佐美陽子/イラスト:えなみかなお)

* * * * * * * * * * * * * * * * * *
「人間関係はあなたの言葉でできている」記事一覧

第1回:他人と比較するクセをやめるには?
第2回:「完璧主義でうまくいかない」から脱却するには?
第3回:「上司に振り回されたくない!」を解決する3ステップ
第4回:後輩との関係づくりに悩んでいる? 「失敗談」と「ペーシング」を意識しよう
第5回:語尾の「ね」がポイント! 苦手な会議を乗り越える魔法のワードとは
第6回:「雑談が苦手」を克服したい! コミュニケーション専門家が教えるコツとは
第7回:「仕事を断るのが下手……」スマートに頼るためのキーワード「KTT」とは? ★現在の記事
第8回:「仕事を任せるのが苦手!」なあなたに必要なこと
第9回:初対面で失敗したくない!! 心の距離をぐっと縮める「3秒ルール」
第10回:催促が苦手……! 相手に気持ちよく動いてもらうための伝え方って?
第11回:悪口が多い職場にうんざり……。スマートに対処する3つの方法
* * * * * * * * * * * * * * * * * *

この記事のライター

TCS認定コーチ、コミュニケーション講師
大学在学時よりラジオDJとして活動。10年やってラジオDJの仕事を休止し、自分は本当は何がしたいのだろう? と30代から「自分探し」を始める。しかし完全に迷子になり、NLPコーチングを学ぶ。「訳アリ」な状況をチャンスに捉えることで好転してきた自身の体験を元に、現在はコミュニケーション講師としてお仕事展開中。愛読書は漫画キングダム。趣味はNetflixタイム、瓶集め。