40歳、オトナ女性の不調をラクにするには ポイントは【衣・食・住】にあった

“なんとなく不調”を解消したい。医師の小室朋子さんが、心身ともに健康になるためのヒントを届けます。

40歳、オトナ女性の不調をラクにするには ポイントは【衣・食・住】にあった

これまで3回にわたり、働く女性が今より少しでも元気に、充実して過ごすことができるように、「心の悲鳴はからだにサインを出す」「寝る前の不安を解消する」「職場の人間関係を楽にする」というテーマでヒントを書いてきました。

最終回でお伝えしたいこと

人は生きている限り、食べて、寝ることが続きます。ときにうんざりすることがあっても続けなければならないことですし、衣食住こそが生きる土台であると言えます。

仕事も遊びも、人間関係も、こうした土台がしっかりしていないと、仕事も遊びも人間関係も、同じ失敗を繰り返す傾向があります。

衣食住を整えること

病院での生活指導でも、衣食住を整えるというと、患者さんから「そんな暇はありません!」と言われてしまうことも多いです。しかしいくら医者が薬を処方しても、衣食住がおろそかなままでは、薬は対処療法でしかありません。何も特別にこだわった健康食を作り、高い食材を買って調理せよ、ということではないのです。

それは今、自分が何を欲しているか? に敏感になるためです。このセンサーが壊れている人がたくさん見受けられます。病院にいると、特にそれを感じます。からだも心も活かし切るためには、衣食住を整えること、その工夫をすることで体も心も大きく変化します。

逆を言えば、体調不良で病院にかかり表面的な症状を改善するための薬を飲んだとしても、衣食住がそのままであればどうなるでしょうか。同じように病気になりやすかったり、慢性疲労、イライラ、不眠、頭痛、生理不順、消化器の不良といったさまざまな不調は、どんどんひどくなるでしょう。不調を放置すると、やがて大きな病がやってくる可能性もあります。

今、自分が欲しているものは何なのか? このセンサーを研ぎ澄ますようにしたら、もっと心地よく一日が過ごせるようになるはずです。疲れているなら休日は何もせず布団にいてもいい。思いっきりジャンクフードが食べたいなら、ときには思いっきりそれを食べたらいい。今、自分が欲しているものは何なのか? というセンサーは、衣食住をおろそかにしていると鈍る一方なのです。

習慣が支えてくれる

衣食住の中で習慣になっていることは何ですか? 自炊をする。水回りをきれいに保つ。食べ物を余らせない。部屋を不要なもので溢れさせない。整理整頓。「もう嫌だ」「いなくなりたい」「全部、やめたい」。そう思ったときでも、その時間になれば、からだが勝手に習慣化した作業をしている。そんな習慣がときに、人が自暴自棄になるのを押し止める役割を果たすということを身をもって体験したことがあります。

つらい時期に、それでもお腹が空けば何かを食べ、お風呂に入り、布団に入って眠っていました。人はどんなにつらくても、身についている習慣をほとんど無意識にできてしまうものなのですね。そして、つらくても、起きる、食べる、働く、眠ることを繰り返しているうちに、時間が味方をしてくれて、ひどくつらい時期、大きな病気にも陥らずに乗り越えることができました。つまり習慣が、私自身を守ってくれていたのだということです。そしてその習慣こそが、私の軸なんだと気がついたのです。

「衣食住」の習慣は健康の土台であり、セーフティネットであり、自分自身の軸だということですね。

ですからこれから衣食住を整えていくために、まず、それが自分らしく生きるための最高の表現であり、創造的なことなのだと興味を持ってみてほしいのです。自分が最も思い通りにできるものが、自分の暮らし方だと思います。仕事をどんなに頑張っても、自分だけの力では全て思い通りの結果は得られにくいですし、人間関係も同じです。でも自分自身の衣食住は、頑張った分、手間をかけた分、思い通りになります。そして整えれば整えただけ、自分の満足感が得られ、そしてそのまま体調や心の安定感に繋がるのです。

すでに衣食住を整えている方は、このようなことも考えられるといいですね。

◇「衣」
何はともあれ清潔感があること、ほつれや毛玉がないこと。できれば今日の自分が気分良く過ごせるような色合い、風合いのものを身につけてみるといいですね。

◇「食」
添加物の過多は良くないので、できれば素材を買ってきて自炊が望ましいです。外食では和食を心がけて、脂質が多すぎないように。パンを中心とした食事は、どうしても糖質や脂質が多くなり、冷えやすい食事内容になりやすいので、注意が必要です。
特別なものを食べる必要はありません。ご飯、野菜の入った味噌汁、プラスたんぱく質を何かと、フルーツがあれば最高。自分がどんな食事を摂ると体調が良いのか、良い眠りが得られるのかを自身で見つけることが何より大事です。

◇「住」
暮らしの場が散らかっていると心が落ち着かなくなると思います。心が落ち着かないと、部屋も片づかない。いつも散らかっているのでくつろげないため、外出してエネルギーもお金も浪費して、結果不要なモノが増えていく……、という悪循環に陥りがちです。ミニマリストになる必要はありませんが、自分にとっての適量を把握できていると、心もからだも休める空間になっていきます。

とはいえ、衣食住に正解はありません。まずは、どんな状態が心地よい状態か? 何をしたら気持ちが良いのか? を感じて試してみることです。違ったら、また別の方法を試せばよいのです。自由に、今の自分自身の心とからだが喜び、安らぐ、今の自分に似合う衣食住を作っていくだけです。そのための最短の便利な方法や素敵な何かはありません。もっと簡単に、気楽に考えて取り組めばいいのです。

最後に

もし今、どこかに不調を感じるのであれば、まずは今の自分自身の心とからだの声に耳を傾けてみてください。「何を着たら気分いいかな」「お昼は何を食べようかな」「早めに寝たほうがいいかな」「明日は家でゆっくりしようかな、それとも人と会ってたくさん喋りたいのかな」と、自分に聞いてみてください。そして、自分の素直な欲求を少しでも叶えてあげた結果、心とからだがどうなったか? 変化を感じ取ってください。

少しずつでも気楽になったり、楽しい気持ちになったり、疲れが取れたり、そんな風に気がつくことができてきたら、それは自分自身の乗りこなし方をわかってきたサインだと思います。自身の欲求に耳を傾け、範囲でそれを叶えていく、あるいはそう思っている自分を受け入れる気持ちが、あなたを不調から引っ張りあげてくれるはずです。

4回の連載が、働く女性の方々にとっての何かしらのヒントになれば私も嬉しく思います。どうぞ、自分の欲求に耳を傾け、あなたらしい人生を創造してください。

(文:小室朋子)

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「さよならプチ不調」記事一覧

第1回:「なんとなくいつも不安」なあなたへ。心の不調を改善する2つのポイント
第2回:寝る前にいつも不安になってしまうあなたへ。日々問いかけるべきたったひとつのこと
第3回:「会社の人間関係に疲れた……」楽にするための3つのコツ
第4回:自分らしく生きる小さな習慣。今日からはじめたい【衣・食・住】の整え方 ★現在の記事
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この記事のライター

東京慈恵会医科大学卒業、内科医。終末医療や在宅医療に携わり現在地域病院勤務。薬だけでは病気は治らないと感じたことから、「本当の健康生活を送るには?」「自分が満足する生き方とは?」を模索していくためのブログや本を執筆。プライベートでは3人の子どもを子育て中。