寝る前にいつも不安になってしまうあなたへ。日々問いかけるべきたったひとつのこと #さよならプチ不調

“なんとなく不調”を解消したい。医師の小室朋子さんが、心身ともに健康になるためのヒントを届けます。

寝る前にいつも不安になってしまうあなたへ。日々問いかけるべきたったひとつのこと #さよならプチ不調

何かに追われているように忙しい昼間は感じないのに、寝る前に漠然とやってくるこの不安は何でしょう?

ホントの気持ちを隠していませんか?

働いていても、結婚していても、いなくても、どんな状況であれ、「私はこれでいい」と自分を肯定できていれば、漠然とした不安は湧いてこないでしょう。

大人には誰かに評価をしてもらえる通知表がありません。子どものころは、学校の通知表で点数をつけてもらえ、自分の立ち位置を評価してもらうことができました。でも、大人になると、「それでいいよ」と言ってもらえる機会がとても少ないですね。なので、一体何をどこまでやれば良いのかを自分で決めて、自分で評価をしなければなりません。

夜、静まり返ったとき、ふと不安がやってくるのはなぜでしょうか。少しでも良い成績を取るために、本当は嫌だという感情を隠して頑張っていませんか? でも大人は、もう通知表なんてつけません。誰もが自分のことで精一杯で、他人のことをあれこれと評価したりしていないのです。

それなのに、他人の目、世間の評価を気にして「他人から見て、私はどうだろうか?」「世間的に、今の私ってどれくらいのポジション?」ということばかり気にしていませんか? 他人から「良い成績」をもらうために、自分の素直な気持ちや感情を我慢していると、本来の自分を正当に評価してくれない人への怒り、そして「今の私のままでいいのかな?」という将来に対する恐れが湧いてくるものです。

その恐れは、今あることに対して湧いてくるのではなく、まだ起こっていない将来のことについて「こうなったらどうしよう」「ああなったらどうしよう」と、勝手に不安をつのらせることで湧いてくる感情です。

そんなときは、「明日はどんな風に過ごそうかな」と素直な気持ちに従って具体的に考えてみると、怒りや恐れは消えていきます。何をどうするかを具体的に考えて、目的のために淡々と行動をすれば、“漠然とした不安”に襲われる暇もないのです。一方で、自分ではどうすることもできない事柄を心配しても、それに対して今、行動することができなければ、その不安や時間、自分のエネルギーも無駄になっていきます。

でも、もっと問題なのは、怒りや恐れをなかったことにしたいがために、自分の中の感情をよく見ようとしないことなのです。自分の正直な感情を見つめないことが引き金となり、さらに漠然とした不安となってやってくるのです。

自分の感情を怖がることなんてない

私たちは、お釈迦様のように修行を積んでいるわけではありません。ですから、さまざまな感情が浮かんできてしまうのは、自然なことで当然のことだと思います。でも、不思議なのが、カウンセリングにいらっしゃる方の多くが「自分がマイナスと言われる感情を抱えていることを認めるのが、嫌だ、怖い」とおっしゃることです。どうして、マイナスの感情を抱いたらいけないのでしょうか?

いつも嬉しさ、喜び、笑いにあふれていたらそれは幸せです。ですが、悲しみ、悔しさ、怒りがあるからこそ、人は行動に移せるのではありませんか? 例えばダイエットだと「このまま体型が変わっては嫌だな」という嫌な気持ちがきっかけで、「じゃあ少し食べ過ぎないように気をつけよう」という行動に移せるのだと思います。

「マイナスの感情を持っている自分は、世間から惨めに思われるのではないか」。これが奥底にあるモノなのかもしれませんね。でも誰も、他人のことなんて気にしている余裕はないのです。誰も他人のことなんて、真剣に見ていません。なのに、他人や世間を気にして自分の本当の感情すら、隠そうとする。とても不思議ですね。隠せば隠すほど、隠したモノは肥大して、夜になると、それが不安となってやってくるでしょう。

「嫌だ」という感情は、とても大事なものです。嫌だけど「我慢すれば良い成績が取れて認めてもらえるかも」。いつまで、それを続けますか? あなたへの通知表は、いつかもらえるのでしょうか? もしもらえたとして、その通知表を見てあなたは満足できますか?

自分が満足すればいい

不安がやってくるのなら自分のことを観察してみるのです。何が、どう不安なのか? 何が起こっているのか? 何を恐れているのか? 眠れないのなら、メモに書いてみることです。具体的に、正直に、書いてみることです。自分のことを、客観視することです。

もし、自分でそれができないなら、何でも話せる親しい人に聞いてみるのもいいですね。「どんな性格だと思うか?」「いつ、どんなシチュエーションだと不安そうに見えるか?」「どんなシチュエーションだと楽しそうに見えるか?」といった内容を聞いてみるといいと思います。

自分を客観視して、明日からの過ごし方を具体的に考えて、それを実行してみる。実行して、すぐ結果を出そうとしないこと。習慣が身につき、状況が変化するのには数カ月~1年単位で時間が必要です。多くの人は、すぐ結果を出して、誰かに認めてもらおうとして焦っています。

さらに、誰かに認めてもらおうとしている限り、不安が消えることはありません。嫌なことは極力やめる、減らす、なるべく好きなことをする時間を持つこと。疲れたら、安心して眠れる自分でいることが大切です。

つまり、「気分良く過ごせる自分になる」ことを心がけることです。そうすれば、自分で自分に満足できるようになります。

どうしたら自分が気分良く過ごせるのか?

このことが、生きている限り、日々考えて自分で答えを出す問いかけです。他の人は、「あなたはこうしたらいいよ」と教えてくれません。他人の答えは自分の答えには絶対なり得ません。

普段から、どうしたら自分が気分良く過ごせるかを気に留めて過ごしていたのなら、数年後にはきっと「わたしは、この生き方が気に入っている」と満足ができるようになるでしょう。その頃には、寝る前に漠然とした不安は来なくなっていると思います。

大人になったら通知表をもらうことはできません。自分がやってきたことを知っているのは自分だけです。そしてそれを慈しむことができるのも自分だけです。いつも厳しい評価が頭の中から離れなかったら、寝る前に不安になるのも当然です。毎日寝る前に、「今日も一日、頑張った」と自分に話しかけていけば、寝る前の不安も自然と消えていくのではないでしょうか。

(文:小室朋子)

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第2回:寝る前にいつも不安になってしまうあなたへ。日々問いかけるべきたったひとつのこと> ★現在の記事
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第4回:自分らしく生きる小さな習慣。今日からはじめたい【衣・食・住】の整え方

この記事のライター

東京慈恵会医科大学卒業、内科医。終末医療や在宅医療に携わり現在地域病院勤務。薬だけでは病気は治らないと感じたことから、「本当の健康生活を送るには?」「自分が満足する生き方とは?」を模索していくためのブログや本を執筆。プライベートでは3人の子どもを子育て中。