「なんとなくいつも不安」なあなたへ。心の不調を改善する2つのポイント

“なんとなく不調”を解消したい。医師の小室朋子さんが、心身ともに健康になるためのヒントを届けます。

「なんとなくいつも不安」なあなたへ。心の不調を改善する2つのポイント

からだはサインを出している

内科医をしています、小室朋子です。これまで20年近く、大学病院やクリニックなどで、延べ約4万人の患者を診察してきました。患者さんを診る中で、からだの不調は心の不調に原因があると思うようになりました。現在は病院勤務のかたら、1対1の対面カウンセリングで多くの方の“心の不調”に耳を傾けています。今回の連載では、40歳前後の女性の慢性不調はどこからやってくるのか? どうしたら仕事もプライベートももっと楽に、もっと充実させることができるのか? のヒントになりそうな話題を取り上げてみたいと思います。

初回は、「心とからだはつながっている」というテーマです。病院の外来にいらっしゃる患者さんの傾向のひとつとして、さまざまな不調を訴える女性が増えていることが挙げられます。「動悸がするのです」「頭がいつも痛いです」「寝つきが悪いです」などの訴えで外来にいらっしゃる方の多くは、ご自身が疲労しているとか、ストレスを感じている、とは思っていないケースが多いのです。

平日は当たり前に遅くまで働き、夕食を作る暇もなくコンビニや外食続き。帰ってきても明日の支度をしてあとは寝るだけ。休日も、平日の疲れで昼まで寝ていたり、または 何かしなければならない、と習い事に行ったり、資格を取るための勉強をしたり。

「だって、それが普通だから仕方がないんです」
「仕方がない」から、疲労のストレスだとも感じなくなってしまっているのですね。

日々、ひとつ間違えばその後の予定が全て狂ってしまうような 「間違えたらいけない、遅れたらいけない、綱渡りの生活」は、明らかに、自分自身のからだや心にとっては負担になる刺激です。慢性的な疲労やストレスが持続していると「それが普通」の状態になり、自分自身が疲れているとか、ストレスを感じている、といった自覚すら、奪われていくのです。

そして慢性的な疲労やストレスを、なんとなくいつも不安、いつもイライラする、などの言葉に置き換えてしまい、具体的に、なぜそうなっているのかまで掘り下げて考えるゆとりもありません。そこで、ついにからだが反応するのです。

・動悸がする
・寝つきが悪い
・寝てから何度も目が覚める
・胃の調子が悪く、食べてもろくに味がしない
・生理不順や、月経血過多

これらはすべて、からだが欲していない外部からの慢性的なストレスにより、交感神経のバランスが崩れた結果現れる症状です。つまり、からだが「もう勘弁してよ、生活どうにかしてよ」 とサインを送っているのです。

交感神経が強く働きすぎるために出てくる症状を改善するためには、
①生活を見直すこと
②考え方のクセを変えること
が大切です。

「え !? 薬じゃないの?」と思いますか? もちろんよほど辛ければ、薬を内服して「ストレスや不安を感じるセンサー」を鈍くすることで、さらに無理をしても、からだが症状を出さないようにすることは可能です。薬を飲めば、もっと無理をすることも可能になるということです。センサーの感度を下げるのですから。

対処療法的に薬を飲んで辛い症状を避けることはできますが、大切なのは自分の生活の見直しと、考え方のクセを変えることです。

私たちのからだは口に入れたものでできており、休息をとったり、リラックスをすることによって、日々からだは日々からだは作り上げられています。私は、健康な生活のためには、衣食住が重要だと思っています。衣食住が乱れている人ほど、からだや心の調子が悪くなったり、人間関係がうまくいかなくなっていたりするものです。なにも完璧な衣食住や、丁寧な暮らしを無理強いしているのではないのです。その時々で「今自分が、あるいは身近な人が欲しているものは何か?」を感じるセンサーが低下しているために、本当は欲しているものを食べることができなかったり、休みが必要なのに休息を得ることができなかったりしてしまうのです。

「自分が今、したいこと」をひとつひとつしていくこと

ここで、生活をチェックしてみましょう。

・朝、起きたときには疲れは取れていますか?
・ご飯はきちんと食べていますか? 1週間の栄養バランスは整っていますか?
・今、やっていることひとつに集中できていますか?
・体重が急に増えたり、逆に急に減ったりしていませんか?
・今日一日も、無事に終わった、と安心して寝ることができますか?
・この1カ月で心もからだもゆっくり休める日は一日でもありましたか?

いくつチェックがありましたか? すべてチェックがついた方は、このままの生活を続けていただいて大丈夫です。チェックの数が5個以下の方は「今、自分はどうしたいのか?」をその時々、流されずに、感じてみることから始めてください。今、なにが食べたいのか? 今、どうしたいのか? 仕事中は無理だったとしても、職場から離れたら、「今、自分はどうしたいのか?」改めて感じてみてください。

たくさんの予定が入っていたり、行きたくない飲み会が入っていたり、そういう時間が多くなって、自分に必要な時間を失っていませんか? 時間がない、と思えば思うほど、気持ちにゆとりがなく、「とりあえず、今日もこれでいいや」と自分が本当に望んでいることを与えずに、流されてしまいがちなのです。

まずは、「今、自分がどうしたいのか?」を感じるセンサーを研ぎ澄ませていく練習から始めてみてください。「自分が今、したいこと」をひとつひとつしていくことで、余計なことはせずに、休む時間、食べる時間、ぼーっとする時間を得ることができるようになるのです。いつも目一杯、やるべきこと・すべきことで埋まっている生活では、健康な体はつくれません。

心が悲鳴をあげる考え方のクセ

このような考え方のクセはありませんか? 「私がすべてやらなければならない」「どうせ誰もわかってくれない」「甘えたら負けだ」「お願いしたら相手が上に立ってしまう」など。このようなクセがあると、常に自分を追い込み、人には頼らずにすべて何とかしようと、負担を抱え続けることになります。

これらの考え方のクセを直していくことで、心の負担は軽くなり、結果としてからだに出ている“サインとしての症状”も軽減していくのです。

ここで大切なのは、生活や考え方のクセを直しても、症状は行ったり来たりしますので、からだに出てくるサインを完全に消そうとしないことです。なぜなら、そのからだからのサインがあるからこそ、私たちは、からだや心を痛め、もっと大きな病気になることを避けることができるからです。いっぽう、からだからのサインを無視してしまうと、もっと苦しんでしまうことになります。

まとめ

今回、心の悲鳴がからだに出てくるお話をしてきました。もし今、自分のからだに慢性的にいつも不調があるのなら、こう問いかけてみてください。

「ストレスがないか?」
「いつも考え込んでいることがないだろうか?」
「一日の間にやるべきこと、やることがあまりに多すぎないか?」

からだも、心も、「ちょっと、無理しすぎだよ」と声は出せません。声が出せないからこそ、動悸や、不眠、胃腸症状、生理不順といった不調によって声を出しているのです。この事実を覚えていれば、自分のからだの不調は、病院に行かなくても、ある程度整えていくことができるはずです。

(文:小室朋子)

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「さよならプチ不調」記事一覧

第1回:「なんとなくいつも不安」なあなたへ。心の不調を改善する2つのポイント ★現在の記事
第2回:寝る前にいつも不安になってしまうあなたへ。日々問いかけるべきたったひとつのこと
第3回:「会社の人間関係に疲れた……」楽にするための3つのコツ
第4回:自分らしく生きる小さな習慣。今日からはじめたい【衣・食・住】の整え方
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この記事のライター

東京慈恵会医科大学卒業、内科医。終末医療や在宅医療に携わり現在地域病院勤務。薬だけでは病気は治らないと感じたことから、「本当の健康生活を送るには?」「自分が満足する生き方とは?」を模索していくためのブログや本を執筆。プライベートでは3人の子どもを子育て中。