二谷友里恵の名言をななめ斬り!「平凡なんて大キライ」

矛盾に満ちた世の中を、レジェンドたちはどう渡り歩いてきたのか。ライター・仁科友里さんが名言をひも解きながら、「女の生きざま」をナナメから考察します。

二谷友里恵の名言をななめ斬り!「平凡なんて大キライ」

昨年亡くなった女優・樹木希林さんと共演した芸能人はたくさんいましたが、とりわけ強い影響を受けたのが、郷ひろみことヒロミ・ゴーだといいます。テレビドラマ「ムー一族」(TBS系)で共演し、「林檎殺人事件」というデュエット曲を発売している二人ですが、ヒロミ・ゴーは希林さんの葬儀の際、「今日の自分が存在しているのも、僕が21歳の時に希林さんに出会ったからです」とコメントしていますから、いかに偉大な存在だったかわかるでしょう。

そのヒロミ・ゴー。これまでに3回結婚していますが、やはりどうしても忘れられないのは、初代夫人で元女優の二谷友里恵さんではないでしょうか。ヒロミ・ゴーが友里恵さんのニックネーム、リーをタイトルにして「REE」という歌も発表し、ぅリ~と例のヒロミ節で歌いあげていた記憶がありますので、本コラム内でもリーと呼ばせていただきます。

さて、40歳をすぎて思うのは、メンタルの重要性です。ここで言う「メンタル強い」は、オリンピックに出るアスリートのように「必ず勝てる」と思い込むことではありません。かといって、「きっとうまくいかない」と思うことでも、もちろんありません。「そのことについて、何とも思わない」のがメンタル強の特徴で、その代表例として思いだすのが、リーなのです。

リーは大物俳優・二谷英明さんと白川由美さんの間に生まれたサラブレッド。お母さんはリーのお受験の際は、1年間全く仕事を入れずに受験に専念し、リーは見事、お受験界の東大、慶応幼稚舎に合格を果たすのでした。慶応女子高校3年生時に、お父さんと資生堂のCMに共演することで、芸能界デビュー。女優としても活動を始めます。本格的に芸能界入りかと思いきや、ディスコで合コンしていたヒロミ・ゴーが、友達と来ていたリーを偶然見かけて、一目ぼれ。交際を始めて、結婚。芸能界は引退したのでした。二人の結婚披露宴の視聴率は47パーセントという驚異的な数字をたたき出したのですが、この記録は今でも破られていないそうです。結婚後に発売した、リーの初著書「愛される理由」(朝日新聞社)はミリオンセラーを記録、この頃、ファッションブランドYURIE NITANIを立ち上げます。二人のお子さんも自分の母校に合格させるなど、やることなすこと、ノー下積みでいきなりトップを取るのです。地を這うようにしていきてきた私からすると、やってらんないわ~。

しかし、ヒロミ・ゴーとは離婚。さらに世間を驚かせたのは、再婚後、家庭教師のトライを立ち上げた実業家と結婚し、リーが社長の座につくことになったことです。この他にも、日本初、子ども向けのフィットネスジムの会社の社長を務めるなど、今や立派な実業家となりました。

イラスト:井内愛

リーの代表作は「愛される理由」ですが、一般的に書籍のタイトルというのは、編集部が考えるものです。このタイトルもリーの発案ではなく、編集者の提案だと週刊誌で読みました。あのスター、ヒロミ・ゴーに「愛される理由」が書かれていると信じてページをめくった人は、肩透かしを食らうかもしれません。なぜなら、「こうやってヒロミ・ゴーを落とした」というようなテクニックや、大物を落とす努力などについては、一切触れられていないから。

それどころか、歌手は俳優より下だと教えられていたとか、自分は名門大学の学生なのに、ヒロミ・ゴーは大学を出ていないというようなヒロミ・ゴーを小バカにするような内容が堂々と描かれている。傲慢だと見る人もいるでしょうが、本当に傲慢な人ほど、差別的な表現をしないものですし、若く美しくお金持ちに生まれて謙虚なほうがよっぽど気持ち悪い。そういうブランド力や強さをヒロミ・ゴーは愛したのではないでしょうか。愛されるために努力する人は、不安の強い人、もしくは凡人です。編集者は、何もしないのにスターに愛されてしまう、それでも怖気づかないというリーの本質を見極めてつけたタイトルではないでしょうか。

「愛される理由」というタイトルは、その後のリーの人生にもついて回ります。同書で「平凡なんて大キライ」という理由から、あえてヒロミ・ゴーと結婚する道を選んだと書いていましたが、離婚して1年あまりで、家庭教師のトライの創業者である実業家男性と再婚を果たすのです。この実業家男性はもともとはヒロミ・ゴーの友人だったため、ヒロミ公認で、二人は旅行に行っていたと、ヒロミは「ダディ」(幻冬舎)に書いています。要は結婚中からリーが不倫をしていたと言いたかったのでしょう。もっとも、ヒロミ・ゴーは離婚の原因が自分の浮気が原因であることを認めていますから、まぁ、どっちもどっちという感じでしょうか。

離婚してもまもなく、富豪男性と子連れ再婚したことを、林真理子センセイが「週刊文春」(文藝春秋)の連載で絶賛していたと記憶していますが、リーとて単に波乱万丈に生きているわけではない気がします。というのは、最初の夫と二番目の夫では、テイストをがらっと変えているから。

二番目の夫はスターではありませんし、地方の国立大学出身と、リーが学生時代に出会ったことはないであろうタイプの男性です。スターとお嬢さまという組み合わせは、どちらも自分が中心なので、ぶつかりやすいもの。しかし、二番目の夫である実業家男性にとって、リーは元芸能人という憧れの存在。さらに、リーは知名度もあって、お子さんも慶応幼稚舎に合格させていますから、家庭教師というビジネスにこれ以上の広告塔はいません。リーにしても、自己愛のスターより、カネがあって自分の言うことを聞いてくれる男性のほうが、楽でしょう。

リーが久しぶりにテレビに映ったのは、二谷英明さんの葬儀の時。茶色く染めたロングヘアを縦ロールに巻いたリーを「常識がない」「バブルひきずっている」と言う人もいましたが、私はそれでこそリーだと思うのです。年齢も常識も超えた存在。彼女の自信は、女子大生の頃からかわっていない。何があっても、強いメンタルで乗り越える。リーは今後もずっと愛されるような気がします。

(文:仁科友里/イラスト:井内愛)

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この記事のライター

1974年生まれ。OL生活をつづったブログが話題となり、2006年「もさ子の女たるもの」(宙出版)でデビュー。「週刊文春」「週刊女性」「女性セブン」にタレント論、女子アナ批評を寄稿。2015年「間違いだらけの婚活にサヨナラ!」(主婦と生活社)が異例の婚活本として話題を呼ぶ。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」

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