【朝ドラ】頭のやわらかい若者が食べ歩きヌードルの真価を見抜き、まんぷく夫婦の物語、ここに完結!

NHKで放送中の連続テレビ小説・「まんぷく」のレビュー。ドラマウォッチャー・チンチロ鈴がお送りします。

【朝ドラ】頭のやわらかい若者が食べ歩きヌードルの真価を見抜き、まんぷく夫婦の物語、ここに完結!

『まんぷく』がついに完結しました! 
最終回に向けての大きなヤマ場は、試行錯誤の末に完成したまんぷくヌードルの売り上げをどう伸ばすか。画期的な商品であることは間違いない、なのに100円という値段の高さで、なかなか世間に受け入れてもらえず、在庫を抱えたスーパーや小売店は値引き販売を検討するまでに。そこで萬平さん(長谷川博己)は、新たな販売ルートを開拓することを決断、深夜勤務の業界で夜食の需要があると考え、タクシー会社や消防署、警備会社などに売り込みをスタート。そして福子(安藤サクラ)が口にした、「夜中にやっている所」の言葉にひらめきを得た萬平さんは、外でも手軽に食べられるようにヌードル専用の自動販売機を導入します。これまた斬新なアイディア。

福ちゃんもメガネで変装してスーパーで「まんぷくヌードル! これ、おいしいのよねぇ!」とサクラをしたり、自宅前でまんぷくヌードル片手に「歩きながらでも食べられるから便利便利~」と軽快なステップを踏んだりと、陰ながら地道な営業活動を続けて、少しでも売り上げに貢献しようと健気に頑張っていました。まだ誰も気づいていないまんぷくヌードルのアピールポイントを探し続けた福ちゃんの、「食べ歩けるヌードルの価値がわかるのは頭の柔らかい若者たちではないか」という気づきをきっかけに、大勢の若者が集まる「歩行者天国」で、社運をかけてヌードルの大試食販売会を開催することに。最終回ではその大試食会の様子が描かれました。

モデルとなったカップヌードルを販売する日清食品も、カップヌードル公式Twitterでこんな投稿。「おかげさまでカップヌードルは発売から48年。『正座で食事』の時代に、歩行者天国で若者たちに『食べ歩き』させて、大人たちに『けしからん』と怒られたんだよなぁ。思えばここからずう~っと僕たちは『けしからん』なんだなぁ……」。そんな日清食品は、『まんぷく』効果もあって、発売から60周年目にあたる平成30年度のチキンラーメンの売上高が、史上最高を記録したそうです。私もこの半年間、何度チキンラーメンとカップヌードルを食べたことか……。

話を『まんぷく』に戻して、歩行者天国での路上販売は見事に大成功、その様子がニュースで取り上げられると、まんぷくヌードルは一躍大ヒット商品に! そしてまんぷく夫婦は新たな麺を開発するため、世界中の麺の食べ歩きへと旅立つのでした、めでたし、めでたし。どんな結末を迎えるのか楽しみでしたが、朝ドラらしく、みんなハッピーエンドで、いや~本当に幸せな終わり方でした。この満足感はいい意味でお腹いっぱい、まさに“まんぷく”です。

さて先週の予告で映ったお葬式のシーンから、鈴さん(松坂慶子)はお亡くなりになってしまうのでは……!? と心配されていましたが、実はそれは“生前式”で、鈴さんも最後まで元気な姿で登場。物語の終盤に主要な登場人物が全員集合できるシーンを作り、これまでを振り返るという展開は、さすがのひとこと。脚本家・福田靖さんの手腕が光りましたね。前作の『半分、青い』は、破天荒な脚本で視聴者の心を揺さぶり続けてきましたが、『まんぷく』は小気味よいストーリー展開でテンポも良く、毎回見ごたえがありました。放送開始から3ヵ月経ってもインスタントラーメンの発明に着手せず、いつから物語の本筋に入るんだろうと思っていましたが、終わってみれば素晴らしいバランス感覚。

物語序盤からインスタントラーメンの発明を始めていたら、途中で飽きていたかもしれません。なじみのある商品の開発裏話は世間の興味を引くし、もちろん新たな発見もあるけれど、結局どんな商品が完成するのか私たちは知ってしまっている。だから麺の太さがどうだ、具はこれがいいだとずっと見せられていても、こんなに長く楽しめなかったんじゃないかな。それよりもまんぷく夫婦が激動の時代をどう生き抜き、世界の食文化に革命を起こす世紀の大発明にたどり着くのか、がこのドラマの要でした。だからまんぷくラーメン、まんぷくヌードルの開発を中心に描かれたこの2ヶ月は、発明家萬平さんの妥協しない姿勢と、そんな萬平さんを愛し尊敬し続ける福ちゃんの健気さに何度も感服しつつ、なんというか、デザートみたいな感覚。だからこそマンボ・秀子(壇蜜)や泣き虫・名木君(上川周作)といった、個性的なキャラクターの存在も光っていましたね。

そう、全体を通して『まんぷく』はキャラクター描写が巧みで、愛すべき登場人物ばかりでした。福ちゃんをヒロインに、全員野球で作り上げたこの作品、特に陰の功労者は、鈴さんと世良さん(桐谷健太)に間違いないでしょう。このふたりがいなかったら、こんなにも楽しくはならなかったと思います。視聴率22.1%で最終回を有終の美を飾り、初回から最終回まで全151話の平均視聴率は、21.4%を記録。『まんぷく』は記憶にも記録にも残る、名作朝ドラのひとつになりました。(主題歌には正直最後まで慣れませんでしたが、)半年間、楽しい朝をありがとうございました! チンチロ鈴の朝ドラレビューはこれで完結しますが、記念すべき100作目の朝ドラ『なつぞら』もかなりおもしろく、これまでとも違う爽やかな朝を迎えています。

また来週からは、チンチロ鈴が今期大注目の、『きのう何食べた?』のレビューがスタートします。男性カップルの日々の食卓を描いた、よしながふみの大人気マンガが原作で、西島秀俊×内野聖陽のW主演、さらに超魅力的な追加キャストの発表もあり、視聴前から興奮が天井知らず! そのドラマは4月5日(金)深夜0時12分スタートなので、ぜひご覧あれ。

(文・チンチロ鈴)

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この記事のライター

小学生の頃に放送されていた『ずっとあなたが好きだった』(1992年)に衝撃を受け、TVドラマ好きに。3姉妹の末っ子のため、チャンネル権争いに負けて号泣することもしばしば。一人暮らしを始めてからは、誰にも邪魔されずテレビ独占で、毎日ドラマ漬けの日々を送る。一番好きな朝ドラは『カーネーション』(2011年下半期)。
twitter:@ChenChiroRin