他人と比較するクセをやめるには? #人間関係はあなたの言葉でできている

職場コミュニケーションの悩みを解消するヒント。コミュニケーション講師の宇佐美陽子さんが届けます。

他人と比較するクセをやめるには? #人間関係はあなたの言葉でできている

初めまして。コミュニケーション講師の宇佐美陽子です。

現代の職場のストレスの9割は「人間関係」とも言われる昨今、「コミュニケーション」についての関心は、年々高まっていると思います。

かくいう私も「コミュニケーション講師」という肩書きを持っていますが、人間関係に悩み、苦しんだ時期が長くありました。この仕事を始めたのは、私のコミュニケーション能力に対する自信が、2度のうつ病により木っ端みじんに打ち砕かれた経験がきっかけです。さらに、東日本大震災を仙台で経験した際、大きな環境の変化で行動できない自分に罪悪感を持ち続けていました。そこから抜け出したくてコミュニケーションを学び続けているうちに、面白さと奥深さにハマってしまいました。

こんな風に、嫌な出来事、苦しい経験も「どんな物事も、自分にとって意味のあることである」とさまざまな角度から解釈ができるようになるのは、コミュニケーション能力の賜物です。記事を読んだあと、職場の同僚のみならず、苦手意識のある人との関わりや、自分のさまざまな側面を楽しく見つめ直すきっかけになれば、うれしく思います! 連載を通じてコミュニケーションにまつわるさまざまなお悩みを紐解きながら、コミュニケーションの奥深さや面白さも一緒に味わっていきましょう。

イラスト:えなみかなお

本日のお悩み

第1回は「職場で自分と他人を比較するクセをやめたいけど、やめられない」というお悩みにスポットを当てていきます。36~45歳の働く未婚女性408人に、仕事上のコミュニケーションの悩みをアンケートでとったところ、以下のようなお悩みが多くあげられました。

「自分の作った資料と、他のスタッフが作った資料の出来栄えを比べてしまう」(39歳/総合職)
「スタッフ同士、部下同士の能力を比べてしまう」(43歳/一般事務)
「自分には無理だと能力の高い他の人と比べてしまう」(40歳/一般事務)
「仕事のスピードの速い、遅いを比べてしまう」(45歳/総合職)

「比較すること」、そして「比較している自分を責めること」にエネルギーを費やして、ストレスになっている現状がアンケートからわかりました。

評価にさらされ、男性社会で女性性を封印する日々による「比較グセ」

つい自分と他人を比べてしまう、という「比較グセ」が習慣づいてしまった背景には何があるのでしょうか? それはキャリアを積み重ねてきたゆえに、「評価」にさらされる機会が多いことが挙げられます。日本のお仕事社会では、どんな能力があり、どのような結果が出れば、良い評価につながるか? あるいは評価の対象者を「できる・できない」という結果のみで判断する傾向が多く見られます。

その結果、女性特有の「揺れ動く感情」を封印して、男性的な思考である結果重視型や課題解決型の思考パターンにつながったといえます。したがって、蓋をした「揺れ動く自分の感情」を「受容」し「共感」する女性としての力が少し弱まった状態が生まれます。

誰かと自分を比べれば比べるほど、男性的な思考が優位になり、女性的な要素である自分を「見守る」力の弱さが露出してきます。そうすると、「自分はできない人間なんだ」「なんであの人はできないんだろう」といった否定の気持ちが生まれやすくなってきていると考えられます。

比較グセの持ち主特有の能力を活かす

しかし比較グセは悪いことばかりではありません。いつも比較をしてしまう方には、とある素晴らしい能力があります。

それは「観察力」です。例えばあの人はメイクが濃い、あの人は〇〇ができない、あの人は細かいことにうるさいなど、職場での能力から立ち居振る舞いまで、他人の細やかな情報を見つけることができるチカラ。こんなに細かいところで比較してどうするのだろう……? と悩むのであれば、この細やかな「観察力」を違う角度から相手を見るエネルギーに変えることも可能なはずです。

見る角度を変え、相手の魅力的はなんだろう? 自分しか知らない良いところがあるとしたらどこだろう? と考えてみてはいかがでしょうか。相手のみならず自分の新たな魅力に気づき、「比較グセ」から抜け出す手段のひとつです。

比べてしまう罠から解放!

「比較グセ」をやめよう。そう思ってもすぐにはやめることができないのではないでしょうか。なぜなら、「何を」やめるのかが、曖昧だから。ですので、比較グセから脱するために、やめることをより具体的にすることが大切です。

具体的には、「比較している自分を責める言葉」を使うのをやめて、褒め言葉に変えていくことです。

否定語を使いそうになったら、褒め言葉のシャワータイムに!

「なんで比べちゃうんだろう……」「なんで自分はこんなこともできないのだろう……」という自分を責める言葉が出てきたら、チャンスだと思ってみてください。「比較したくなるくらい、頑張ってきたなんて感動だね」「出来ないってわかるくらい自分や相手をよく観察してるね」「まだまだ自分の力を伸ばそうと努力してる姿が、大好き!」と、出来る自分も出来ない自分も同じように可愛がって褒めてしまいましょう。比較する自分を責める言葉をやめて、褒める言葉を増やすことで、他人を褒める言葉が自然と出るようになっていきます。働きやすい職場環境は、自分の言葉一つから生まれていくのかもしれないですね。
いかがでしたか? 次回は、比較グセさんが持ちやすいもう一つの側面、「完璧主義」についてお話しします。お楽しみに!

(文:宇佐美陽子/イラスト:えなみかなお)

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「人間関係はあなたの言葉でできている」記事一覧

第1回:他人と比較するクセをやめるには? ★現在の記事
第2回:「完璧主義でうまくいかない」から脱却するには?
第3回:「上司に振り回されたくない!」を解決する3ステップ
第4回:後輩との関係づくりに悩んでいる? 「失敗談」と「ペーシング」を意識しよう
第5回:語尾の「ね」がポイント! 苦手な会議を乗り越える魔法のワードとは
第6回:「雑談が苦手」を克服したい! コミュニケーション専門家が教えるコツとは
第7回:「仕事を断るのが下手……」スマートに頼るためのキーワード「KTT」とは?
第8回:「仕事を任せるのが苦手!」なあなたに必要なこと
第9回:初対面で失敗したくない!! 心の距離をぐっと縮める「3秒ルール」
第10回:催促が苦手……! 相手に気持ちよく動いてもらうための伝え方って?
第11回:悪口が多い職場にうんざり……。スマートに対処する3つの方法
第12回:職場で評価される人、されない人のたった1つの違いとは?
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この記事のライター

TCS認定コーチ、コミュニケーション講師
大学在学時よりラジオDJとして活動。10年やってラジオDJの仕事を休止し、自分は本当は何がしたいのだろう? と30代から「自分探し」を始める。しかし完全に迷子になり、NLPコーチングを学ぶ。「訳アリ」な状況をチャンスに捉えることで好転してきた自身の体験を元に、現在はコミュニケーション講師としてお仕事展開中。愛読書は漫画キングダム。趣味はNetflixタイム、瓶集め。