アラフォーシングル事情 in NY~小学校教師アナさんの場合[1]

40歳。自分のペースで自由に暮らして、今の生活にはそれなりに満足。でも、この先の仕事やお金、結婚や出産など、将来への漠然とした不安はつきまといます。自分らしくいればいいと割り切っていても、誰かと比較して引け目を感じてしまったり……。これって、日本の文化や考え方が影響しているの? 海外の同世代はどんな風に生きているの?

アラフォーシングル事情 in NY~小学校教師アナさんの場合[1]

ニューヨークで暮らす2人のアラフォーシングルに、仕事のこと、休日や趣味のこと、恋愛観や結婚観などをインタビュー。そこには、私たちがハッピーで楽しい人生を手に入れるための、たくさんのヒントが隠れていました。

キャリアアップには興味がない。できればずっと現場に立っていたい

アナさんは小学校の先生として働きながら、プライベートではスポーツや旅を楽しむアクティブな女性。充実した毎日を大切にしながら、将来のプランもキチンと考えている賢明さも持っています。人種のサラダボウル・ニューヨークで生きてきた、彼女ならではの視点、考えは勉強になることがいろいろ。

大学時代の「ピースボート」参加体験が、教員を志したきっかけ

――なぜ、学校の先生という職業を選んだのですか?
大学で環境系の学科を専攻していたのですが、勉強したことを生かせる就職先がなかなか見つからず、卒業後、世界一周クルーズをする「ピースボート」にボランティアとして参加したんです。旅の途中にボリビアへ行った際、少しだけ教師のような体験をしたことで興味を持って。その時はうまく教えられなかったけど、もっと子どもと一緒に仕事がしたいと思いました。

――教員の資格はどうやって取ったのですか?
当時、大学のマスター(日本の学位で修士)と教員免許が同時に取得できるプログラムをニューヨーク州が実施していて、それに参加しました。本来なら大学院に通ってマスターを取らないといけないんですが、教えながら勉強することができて、すごくラッキーだったなと思います。

大学卒業後、「ピースボート」にボランティアスタッフとして乗船していたころのアナさん

いわゆる”モンスターペアレンツ”は、こちらにもいる!

――実際に先生になって、想像と現実は同じでしたか?
小学生の先生だから、みんなが「先生、大好きー!」ってかわいく慕ってくれるんだろうなと想像していました。もちろん、そういう面は多々あるんですけど、現実は子どもならではの大変さもあって。トイレのお世話が必要だったり、ときには鼻クソをどこかにつけちゃったり(笑)、予想外のことがいろいろとあります。それから、親御さんとのコミュニケーションも大変な部分。日本では“モンスターペアレンツ”と呼ばれると聞きましたが、それと同じようなことだと思います。そういう苦労はありましたけど、子どもたちが自分でいろんなことができるようになる、その成長過程を見ていくうちに、すごく価値のある仕事だなと感じるようになって、いまも続けている感じです。

――最初のころに教えていた子どもは、きっと成人していますよね。
そうなんです。つい最近、教え子に街でバッタリ会ったんですよ。「昔のこと、覚えている?」って聞いたら、「チャイニーズ・ニューイヤー(中華圏の旧正月のお祭り)のときに、お菓子をもらったよね」って。「えー! それしか覚えてないの?」って笑っていたんですけど、すごく小さかった子が立派な警察官になっていて感動しました。

同僚の先生たちとのランチは仕事の合間のリラックスタイム(前列中央)

移民政策が厳しい現在のアメリカで、教師の自分ができることは・・・

――働く上で大切なことは何だと思いますか?
いまやっている仕事に対して、自分の目的や使命は何かをちゃんと認識することも大事だと思います。私は進路を考えるとき、“地域社会に役立つ仕事がしたい”と思って、そのひとつとして教師という職業を選びました。だから普通の会社員になる選択は、自分の中にまったくなかったんですね。それから、教えている生徒たちは移民の家系の子がほとんど。いまのアメリカは、移民に対する政策が厳しくて……。わずか7歳、8歳の子が未来に不安を感じているんです。家族や自分の将来のこと、この先ちゃんと教育を受けられるのだろうかと、心配をしている子もたくさんいる。そこを私たちがフォローすることも、大切だと思っています。

――勉強はもちろんですけど、生き方や考え方を教える意味合いも強いんですね。
そうですね。難しい問題ですけど……やっぱり差別がないって言うとウソになる。自分の身で体験していない人は“ない”と言いますけど、実際はそうではないのも現実です。私も子どものころに学校の先生から差別意識を感じたので、反面教師で“自分はそういう教え方はしたくない”と思う部分もあって。子どもにとって勉強ができる・できない以前に、自分がどういう人間、どういう存在なのかを学ぶことが重要。それがわかっていれば、人生で何か大きな決断をしなくちゃいけないとき、きちんと判断ができる。そういう人間に育てることが、私の使命だと思っています。

いま40歳。あと15年働いた後は、自分の人生を楽しみたい!

仕事終わりには、時間が許す限りマンハッタンのジムへ。スポーツを通じて知り合った友達も多いそう

――仕事ではかなりエネルギーを使うと思うのですが、プライベートとの切り分けはできていますか?
できていると思います。学校での仕事は午後3時に終わるので、早く帰れることはこの仕事のメリット。ただ、毎日ではないけれど、翌日の準備がいろいろあると夜12時くらいまで家で仕事をすることもあります。そういうときは学校を出てから、一度、自分の時間を作るようにしていますね。私はハンドボールやクライミングが趣味なので、仕事が終わって空が明るいうちは体を動かす。自分の時間を思い切り過ごしたあと、家に戻って仕事をするという感じ。夏は日が長いから20時くらいまで外にいることもあって疲れるけど(笑)、ずっと仕事しっぱなしよりメリハリができて充実感もあります。

――その後の家での仕事もがんばれそうですね。お仕事でのキャリアアップや、今後の夢などについて考えていることを教えてください。
学校でのキャリアアップだと、校長先生を目指すことになると思うんですけど、あまりそこには興味がないんです。実は私のとったプログラムは、25年以上勤務すると55歳で引退できるシステムがあるんですよ。いま40歳なので、あと15年働いて、その後は自分の人生を楽しみたいなって考えています。それまでは、現場に立ち続けることが理想。私はやっぱり教室で生徒と向き合って、教えることが好きなんです。


自分の教えた子どもたちの人生と、真っすぐ向き合っているアナさん。その中で価値や使命を見い出して仕事をする姿、自分の時間をちゃんと持つメリハリのつけ方など、お手本にしたいところですね。後編では、アナさんのプライベートや恋愛観、ニューヨークの同世代女性に対する印象などを聞きます。(後編に続く)

通訳/小山あきよ 取材・文/宮浦彰子

* * * * * * * * * * * * * * * * * *
【アラフォーシングル事情 記事一覧】
小学校教師アナさんの場合[1]
小学校教師アナさんの場合[2]
* * * * * * * * * * * * * * * * * *

この記事のライター

30代後半から40歳にかけては、自分自身にも環境にもさまざまな変化が訪れるタイミング。「そこそこ満足」と「これからどうする」で揺れることも多いのではないでしょうか。編集部では、オトナノ世代がこれから先もしなやかに、柔軟に、楽しみながら生きていくための道しるべを模索し、発信します。

twitter:@otonano_mynavi

関連するキーワード

アラフォー 女の生き方