株取引に必要な情報は、インターネットで収集するのが一般的になってきました。
しかし株取引の情報収集で「ネット掲示板」や「SNS」などを利用するときは、細心の注意を払う必要があります。
WEB上のコミュニティでは「売り煽り」や「買い煽り」を目的としたトレーダーがいる場合もあるからです。
「売り煽り」「買い煽り」は違法行為です。しかし「売り煽り」や「買い煽り」を目的とした書き込みは、数多く存在しているのが現状。
株取引にネット上の情報を参考にするなら、日経新聞や四季報などの「信頼できる情報源」を見ましょう。
株チャートから株価の今後を予測する「テクニカル分析」を活用することで、「売り煽り」や「買い煽り」の対策をする方法もありますよ。
この記事では「売り煽り」と「買い煽り」の意味や目的、違法性を解説します。また、損失を出さないための対策も紹介しますので、参考にしてください。
売り煽り・買い煽りの意味・目的とは?投資家を惑わす悪魔の囁き
株価は、景気や企業の業績などに応じて変わりますよね。〇〇社の株を「安く買いたい」や「高く売りたい」と思っても、基本的には株価の変動を待つしかありません。
「売り煽り」と「買い煽り」は株価の変動を待つのではなく、強引に株価を変えようとする行為です。
それぞれの目的は、次の表で簡単に説明しています。
売り煽り | 投資家に株を売らせて、自分は株を安く買う |
---|---|
買い煽り | 投資家に株を買わせて、自分の株を高く売る |
それでは「売り煽り」と「買い煽り」、それぞれの目的や手口について詳しく見ていきましょう。
売り煽りは株価を下げる!目的はお目当ての株を安く買うこと
「売り煽り」をする人の目的は、株を安く買うことです。
「投資家A」が「B社」の株を安く買いたいという設定で、「売り煽り」の事例を見ていきましょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
投資家Aの目的 | ・B社の株を安く買うこと |
書き込み例 | ・B社の株価は〇〇の理由で下落するから、今すぐ売った方がいい ・B社の社長が不祥事を働いた可能性あり!株価暴落の危険! ・B社の決算報告は虚偽だ!早く株を手放せ! |
書き込み効果 | ・書き込みを見た投資家は、内容を信じればB社の株を売る |
結果 | ・B社の株価が下がる ・投資家Aは、B社の株を安く買える |
投資家Aの書き込みを信じてB社の株を手放した投資家は、売り時ではない株を売ってしまったのです。
投資家AがB社の株をまとまって買えば、B社の株価は上昇。B社の株を売ってしまった投資家は、悔しい思いをする羽目に。
買い煽りの被害に遭うと、もっと悔しい思いをする可能性があります。次は買い煽りの事例を見ていきましょう。
買い煽りの目的は株価を上げること!売り煽りとは逆の考え方
「買い煽り」をする人の目的は「売り煽り」と反対で、所有している株を高く売ることです。
「投資家A」が「B社」の株を高く売りたいという設定で、「買い煽り」の事例を見ていきましょう。
項目 | 詳細 |
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投資家Aの目的 | ・B社の株を高く売ること |
書き込み例 | ・B社の株価は〇〇の理由で、今後どんどん上がる! ・B社の新規事業が好調。株価はまだまだ上がります! ・B社の株価は、〇〇円まで絶対に上がる! |
書き込み効果 | ・書き込みを見た投資家が、内容を信じればB社の株を買う |
結果 | ・B社の株価が上がる ・投資家Aは、B社の株を高く売れる |
買い煽りにより、多くの投資家が株を購入することでB社の株価は上昇。投資家AはB社の株を高く売って大きな利益を得ます。
このとき投資家Aの売った株数が多いとB社の株価は下落し、B社の株を買ってしまった投資家は、大きな損失を被ることに。
売り煽り・買い煽りは違法行為!風説の流布として判例もあり
「売り煽り」と「買い煽り」は違法行為です。実際に金融商品取引法の第158条「風説の流布※、偽計、暴行又は脅迫の禁止」で禁止されています。
証券取引や会社情報に関して、「事実と異なる情報」や「合理的な根拠のない情報」を流すこと。主に有価証券の相場変動を図る目的で行われます。
ネットへの書き込み行為が「売り煽り」「買い煽り」だと判断されるのは、「風説の流布」が認められたときです。
株取引で「風説の流布」が成立する要件は次のとおり。
- 株価の相場を変える目的がある
- 流した情報が事実と異なる
- 流した情報に根拠がない
ここで「風説の流布」の判例を確認してみましょう。
また面白半分で、根拠のない情報をインターネットで流す人も。
しかし根拠のない情報を流しても「株価相場を変える目的」がないなら、「風説の流布」には該当しません。
「風説の流布」を立証するには、成立要件3つを全て満たす必要があるのです。
だからこそ、「売り煽り」や「買い煽り」の被害に遭わないスキルを身につける必要がある。次の章で詳しく解説するからしっかり覚えておけよ。
売り煽り・買い煽りは対策可能!自分に合った対策を身につける
「売り煽り」「買い煽り」に、影響されないための方法はあります。
煽りに影響されない術を身につけることで、株取引のスキルも磨かれていきますよ。
「売り煽り」「買い煽り」の対策は次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
見ちゃダメ!SNSやネット掲示板は、信憑性のない情報ばかり
株取引をするうえで、SNSや株サイトの掲示板に書き込まれている情報を見る人も多いですよね。しかし、それらの情報は、参考にしないのが得策。
SNSや株サイトの掲示板には、「売り煽り」や「買い煽り」目的の書き込みや、根拠も信憑性もない面白半分の書き込みが多いからです。
書き込み例としては「それは〇〇の理由で違う」や「その理由なら、たしかにこの銘柄は上がりそうだから買おう」などがあります。
極論ですが、こういった書き込みをしている人全員が「売り煽り・買い煽り目的の人」や「根拠なく書き込んでいる人」である可能性もあるのです。
数の力で錯覚させられるのが「売り煽り」や「買い煽り」の怖いところ。
「SNS」や「ネット掲示板」は誰でも気軽に利用でき、投資仲間との情報交換にも使える便利なツールです。しかし「売り煽り」や「買い煽り」の被害に遭う危険性もあります。
「SNS」や「ネット掲示板」を見ないことが、効果的な対策です。
株取引で必要な情報を集めるときは、信頼できる情報源だけ見よう
株取引では、なるべく次の「信頼できる情報源」のみ参考にしましょう。
- 証券会社が提供しているデータ
- 四季報
- 日経新聞
これは株取引において基礎中の基礎です。
株取引を始めたばかりの投資初心者の人は、四季報や日経新聞の内容がわかりづらかったり、情報の取捨選択が難しかったりしますよね。
しかし「信頼できる情報源」からの情報収集は、慣れるしかありません。
このように「信頼できる情報源」を分析し、株取引に活用する方法を「ファンダメンタルズ分析」といいます。
ファンダメンタルズ分析については、「ファンダメンタルズ分析の基礎知識!割安株で儲ける方法」の記事で詳しく紹介しているので参考にしてくださいね。
次は「売り煽り」や「買い煽り」の影響を受けにくい、「テクニカル分析」を紹介します。
株価チャートは真実の写し鏡!株取引にテクニカル分析を使おう
「テクニカル分析」は、株価チャートを様々な指標から分析するトレード手法です。
株価チャートを構成する「ローソク足」は、株価の動きを正確に表しているため、全て「真実」が反映されています。
真実のみを分析する手法なので、売り煽りや買い煽りの「虚偽」には惑わされないということです。
「テクニカル分析」は分析する指標が多く、一朝一夕には使いこなせません。「煽り」に影響されないよう、「テクニカル分析」を学んでいきましょう。
「相場の流れが読める!株価チャートの見方をマスターしよう」の記事では、「テクニカル分析」の基本から応用まで詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
売り煽りの魔手から身を守る!自分の軸をもって投資することが大事
「売り煽り」や「買い煽り」は自分の取引だけを有利に進める目的で、株価を操作する悪質な行為です。
「売り煽り」や「買い煽り」は違法行為ですが、立証しづらい行為であるのが実情。自分の身を守る術は、必ず身につけておいてください。
「売り煽り」や「買い煽り」は「信頼できる情報源」からの情報収集や、「テクニカル分析」メインの取引をすると、被害に遭いにくくなります。
株取引の情報収集や銘柄選びで大事なのは、自分の軸をもって投資することです。「自分が損をしないためにどうするか」を意識して取引しましょう。