投資信託からETFへのリレー投資とは、投資信託を積み立て、まとまった金額になった時点で投資信託を売却、類似のETFを購入しなおすことです。
投資対象を変えずに、運用コストを減らせるのが大きなメリット。
投資信託を運用している人の中には、ETFへのリレー投資を検討している方もいるのではないでしょうか?
リレー投資にはメリットもありますが、投資信託の売却益に課税される、ETFの購入タイミングが難しい、ETFでは分配金を自動で再投資できない、というデメリットもあります。
この記事では、投資信託からETFへのリレー投資について詳しく説明していますので、今後の資産運用の参考にしてくださいね。
投資信託からETFへのリレー投資で運用コスト削減
ETF(上場投資信託)は信託報酬の安さが特徴の商品です。
TOPIXに連動する投資信託とETFの信託報酬を比べてみました。
野村インデックスファンド・TOPIX (投資信託) |
TOPIX連動型上場投資信託 (ETF) |
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0.40% | 0.11% |
100万円投資した場合、1年間の信託報酬は投資信託で4,000円、ETFで1,100円。その差は2,900円です。
投資信託からETFへのリレー投資にはデメリットも
投資信託からETFへのリレー投資にはメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。
- 投資信託の売却益に課税される
- ETFの購入タイミングが難しい
- ETFでは分配金を自動で再投資できない
ETFを購入するために投資信託を売却し利益が出ると、税金を支払わなくてはいけません。
税金の金額だけ資産が減り、その後の収益にも違いが出てきます。
また、リレー投資の場合、積み立ててきた金額を一括で投資するため、買い時についてよく検討しなくてはいけません。
投資信託を売却してからETFを購入するまでには、数日間のタイムラグが発生します。その間にETFの価格に変動がある可能性も。
相場の状況をよく確認して、購入する必要があります。
ETFには分配金を自動で再投資する仕組みがないことにも注意。
リレー投資後は、必要に応じて自分で分配金を再投資する手間が増えます。
配当金に課税される分、複利効果が以前より低下するというデメリットも。
複利効果を狙うなら、投資信託のほうが便利だな!
投資信託からETFへのリレー投資には注意が必要
保有している投資信託の信託報酬が高額だという人は、リレー投資を検討してみてもいいでしょう。
長期で運用する予定があるのなら、運用コストの削減が期待できます。
ただし、投資信託に含み益がある場合には注意が必要。
ETFへの投資可能額は130万円-6万円で124万円になります。
同じ指数に連動する投資信託とETFであればリターンの差はほとんどありません。
そのため、124万円で運用開始したETFの資産額は、130万円で運用を続けた投資信託の資産額よりも少なくなる可能性が高いのです。
運用コストの削減額よりも、課税による資産の減少が大きければリレー投資は見送るべきです。
ちなみに、他に含み損が出ている株式や投資信託などがあれば、リレー投資のタイミングで売却して損益を相殺するのも一つの手。
節税できた分も合わせてETFを購入すれば、課税による影響は減らすことができます。
なお、NISAで投資信託を保有している場合は、税金による影響を受けることなく、リレー投資が可能です。
ただし、ETFの購入タイミングを検討したり、分配金を自分で再投資したりという手間が面倒という人には、ETFへのリレー投資はおすすめできません。
その場合、リレー投資はせず、そのまま投資信託で運用するという選択もアリだ。
信託報酬を安くしたいが、運用に手間を掛けたくない人は、信託報酬の安い投資信託に乗り換えることも検討してみてください。
運用コスト面で、ETFと大きな差がない投資信託も出てきています。
投資信託名 | 信託報酬 (税抜) |
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eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) | 0.140% |
Smart-i TOPIXインデックス | 0.155% |
iFree 日経225インデックス | 0.159% |
ニッセイ日経平均インデックスファンド | 0.159% |
また、ETFを運用したい人は、リレー投資は考えず最初からETFを購入するのがおすすめ。
投資信託と比べると最低投資金額は大きいですが、それでも2万円以下で購入できるETFも多いのです。
また、auカブコム証券のフリーETFや、楽天証券の手数料0円ETFであれば手数料無料で買い付けが可能。
ETFは、運用コストの安さだけではなく、リアルタイムで取引できたり、希望の値段で売買できたりする点が魅力だぞ。
投資信託とは違うメリットもあるから、自分のスタイルに合いそうなら購入を検討してみろ!
ETFについては、「ETFとは?仕組みやメリットをわかりやすく解説」の記事も参考にしてくださいね。
投資信託からETFへのリレー投資は本当に必要かよく検討しよう
投資信託からETFへのリレー投資は、運用コストを削減できるのが大きなメリット。
ただし、投資信託に含み益がある場合は注意が必要です。
課税により資産が大きく減ってしまう場合は、リレー投資を見送ったほうがよいでしょう。
ETFの購入タイミングを検討したり、分配金を自分で再投資したりという手間をかけたくない人には、投資信託で運用を続けることをおすすめします。
投資信託からETFへのリレー投資は本当に必要かどうかよく検討し、長期での資産形成を実現できる選択をしてくださいね。