投資信託は投資の知識や経験がなくても、低リスクで資産運用できる金融商品。種類は多く、約6,000本以上の商品が取引市場に出回っています。
- いつ購入できるか
- いつ解約できるか
- 投資対象はどこの地域か
- 投資対象はなにか
- どのような投資スタイルか
- 分配金は支給されるか
投資信託は大きく分けて、この6項目で構成されています。
この組み合わせによって特徴が異なり、リスク・リターン・コストの大きさも変わるのです。
この記事では投資信託の種類について、6つの分類項目に分けて紹介します。それぞれの特徴やリスクを比較するので、ぜひ参考にしてくださいね。
投資信託にはどんな種類があるの?6つの分類項目をそれぞれ解説
投資信託は市場に膨大な数の商品があり、ひとつ選ぼうにもどの投資信託が自分に合うのか判断しづらいですよね。
投資信託を選ぶときはその分類を知り、自分に合った投資信託を見極めることが重要。
投資信託の種類は、基本的に6つの分類項目により分けることができます。次の表を確認してみましょう。
分類項目 | 種類 |
---|---|
購入タイミング | ・追加型 ・単位型 |
解約タイミング | ・オープンエンド型 ・クローズドエンド型 |
投資地域 | ・国内 ・先進国 ・新興国 |
投資対象 | ・株式 ・公社債 ・コモディティ ・不動産 ・バランス型 ・投資信託 |
投資スタイル | ・インデックスファンド ・アクティブファンド ・ブル型 ・ベア型 |
分配金の支給有無 | ・分配型 ・再投資型 ・無分配型 |
それぞれが投資信託として独立しているわけではなく、複数の分類項目によりひとつの投資信託を構成しています。
次の図で、一例を見てみましょう。
【分類項目その1】購入タイミングで投資信託を分ける
投資信託の種類を分ける、1つ目の分類項目は「購入タイミング」です。次の2つに分類されるので、確認してください。
追加型 (オープン型) |
・いつでも購入できる |
---|---|
単位型 (ユニット型) |
・決められた期間にのみ購入できる ・解約も決められた期間にしかできない |
国内で販売されている投資信託は、ほとんどが追加型。
理由はいつでも購入できる追加型の方が、投資家・運営会社どちらの視点でも便利だからです。
投資信託で運用を始めるなら、圧倒的に「追加型」がオススメだ。
投資信託は購入タイミングだけでなく、解約タイミングでも種類が分けられます。次の章で紹介するので、確認してください。
【分類項目その2】解約タイミングで投資信託を分ける
2つ目の分類項目は、「解約タイミング」です。次の2つに分類されるので、見てみましょう。
オープンエンド型 | ・いつでも解約・換金できる |
---|---|
クローズドエンド型 | ・決められた期間にのみ解約・換金できる |
販売されている単位型の投資信託は、海外債券を扱うごく一部の投資信託しかありません。
一方クローズドエンド型の投資信託は、主に「ETF」や「不動産投資信託(REIT)」などの「上場投資信託※」が該当します。
上場している投資信託のこと。証券取引所が開いている時間なら、通常の株式投資と同じようにリアルタイムで売買可能できます。
上場投資信託を購入すると、満期まで保有するのがルール。ファンドに解約・換金を求めることは、基本的にできないのデス。
代表的な上場投資信託である「ETF」や「REIT(不動産投資信託)」については、次の記事で紹介しているので参考にしてください。
【分類項目その3】投資する資産の地域で投資信託を分ける
3つ目の分類項目は、「投資する資産の地域」です。投資信託を地域で種類分けする場合、次の2つに分類されます。
国内投資信託 | ・日本の法律にもとづいて設定される ・主に国内資産へ投資する |
---|---|
海外投資信託 | ・外国の法律にもとづいて設定される ・海外資産にのみ投資する |
国内で販売されている多くの投資信託は、「国内投資信託」です。
つまり海外の資産が含まれる投資信託でも、主たる投資収益が国内の資産なら「国内投資信託」なのです。
このように国内・海外どちらの資産にも投資する投資信託を、「内外型」といいます。
海外投資信託は「先進国」や「新興国」など、海外の資産を運用してくれる商品です。
投資する資産の地域によって、リスクやリターンの大きさも変わります。次の表を確認してください。
種類 | リスク | リターン |
---|---|---|
日本国内 | 小 | 大 |
先進国 | 中 | 中 |
新興国 | 大 | 大 |
日本や先進国の資産は経済的に安定しており、世界の金融市場の影響を受けにくいです。つまり価格変動は少なく、リスクやリターンは小さい傾向にあります。
ただし先進国は為替変動の影響で価格が変動するため、日本の資産に比べ、リスク・リターンともに大きいです。
一方新興国は成長性が期待されているものの、経済的にはまだ不安定。為替変動の影響も受けるため、価格変動は著しいのです。
大きなリターンを得られるチャンスがある反面、多大な損失を生んでしまうリスクもあります。
【分類項目その4】投資対象で投資信託を分ける
投資信託は、商品によって投資対象が様々。4つ目の分類項目は、「投資対象」です。主に次のように分けられます。
株式投資信託 | ・株式で構成される |
---|---|
公社債投資信託 | ・債券で構成される |
コモディティ投資信託 | ・先物(コモディティ)で構成される ・金やプラチナ、酒など種類は多数 |
不動産投資信託(REIT) | ・不動産で構成される |
また不動産投資信託(REIT)は、投資する不動産の賃料収入がリターンとなる投資信託。ミドルリスク・ミドルリターンの商品で、初心者からベテラン投資家まで幅広い層に人気です。
また「株式と債券」「株式と先物」のように、複数種類の資産で構成される投資信託もあります。
バランス型投資信託 | ・株式、債券、不動産コモディティなど複数の資産で構成される |
---|---|
ファンド・オブ・ファンズ | ・複数の投資信託に投資する |
バランス型投資信託は、複数の資産に分散投資されているためリスクが非常に低いです。詳しくは「バランスファンドのメリットとデメリット、注意点を解説!」を参考にしてくださいね。
ファンド・オブ・ファンズという投資信託では、投資家から集めた資金で「複数の投資信託への投資」を行います。
つまり投資家はファンド・オブ・ファンズを購入すれば、「投資信託を選ぶ」という行動すらしなくていいのです。
リスクを減らすためにファンド・オブ・ファンズを購入しても、高い手数料で元本割れしては本末転倒。
投資信託選びでは、リスク・リターン・コストのバランスを考えることも大事ですよ。
【分類項目その5】投資スタイルで投資信託を分ける
投資信託は運用会社によって、投資スタイルは異なります。5つ目の分類項目は、「投資スタイル」です。
投資方法や方針によって、次の2つに分けられます。
ベンチマークを指標とするのは、「インデックスファンド」と「アクティブファンド」。
相場状況を指標とするのは、「ブル型ファンド」と「ベア型ファンド」に分かれます。
【インデックスとアクティブ】ベンチマークが成果を左右する!
「インデックスファンド」と「アクティブファンド」は、どちらも日経平均株価やTOPIXなどの「ベンチマーク」を軸とする投資スタイル。それぞれの特徴は次のとおりです。
インデックスファンド | アクティブファンド | |
---|---|---|
運用目標 | ベンチマークに連動する | ベンチマークを上回る |
投資手法 | 分散投資 | 集中投資 |
コスト | 低 | 高 | リスク | 小 | 大 | リターン | 小 | 大 |
高いリスクを取ってでも、大きなリターンを狙いたい人は「アクティブファンド」がオススメ。
インデックスファンドとアクティブファンドについて詳しく知りたい人は、次の記事を参考にしてください。
【ブル・ベア型ファンド】相場状況が成果を左右する!
「ブル型ファンド」と「ベア型ファンド」は、どちらも相場状況を軸に、投資スタイルが決まる投資信託。それぞれの特徴は、次の表を確認してください。
ブル型ファンド | ベア型ファンド | |
---|---|---|
利益を期待できる相場状況 | 上昇時 | 下降時 |
リスク | 大 | 大 |
リターン | 大 | 大 |
ブル・ベア型ファンドは、オプション取引や先物取引によって積極的にレバレッジをかける投資信託。
ブル型もベア型も基準となる指数の、3倍~5倍もの値動きを目指します。
ただしその分、大損するリスクも高いことを忘れるなよ!
相場分析が苦手な場合、リスクが高い「ブル・ベア型ファンド」の購入は避けましょう。
【分類項目その6】分配金の支給有無で投資信託を分ける
6つ目の分類項目は、「分配金の支給有無」です。分配金は支給額や頻度が違ったり、支給されなかったりファンドによって異なります。
投資信託の分配金に関する分類は次のとおりです。
分配型 | ・分配金を決算ごとに受け取れる ・支給額や頻度はファンドによって異なる |
---|---|
再投資型 | ・受け取る予定の分配金をそのまま資産運用に回す ・複利効果により利益が上がりやすい |
無分配型 | ・分配金が支給されない ・複利運用により利益が上がりやすい ・分配金の支給がないため基準価額が上がりやすい |
「分配型」は分配金を受け取るごとに、「再投資型」は再投資する度に税金が発生してしまうのです。
投資信託で長期運用するなら、税金が少なく複利効果もある「無分配型」がオススメ。
投資信託の分配金や再投資、複利効果については、「投資信託の分配金とは?再投資による複利効果で資産を増やそう!」を確認してくださいね。
投資信託には種類がたくさんある!自分に合う投資信託を見つけよう
市場に出回っている投資信託のほとんどは、この分類項目を組み合わせたものです。
商品によっては、相場のチェック・予想をする必要があったり、商品選びに知識や経験が必要だったりする場合も。
投資初心者にオススメの投資信託は、国内の株式や債券を運用してくれる「無分配型のインデックスファンド」です。リターンは少ないですが、低コスト・低リスクで堅実に運用できますよ。
投資信託の種類たくさんあるため、「投資信託の選び方7箇条!初心者が注意すべき「おすすめ投信」のワナ」の記事を参考に、投資信託の選び方も勉強してみてくださいね。