タイと言えば、トムヤンクンやグリーンカレーなどの辛い料理や、まぶしい太陽と青い海が広がる南国のリゾート地として日本からは人気の高い観光地です。
毎年100万人以上の日本人が首都バンコクやプーケット島を訪れ、中でも女性観光客への人気が高いようです。日本と同じ仏教国で、タイの人々は日本人に対してとても友好的に接してくれるのが、日本からの人気が高い理由の1つでしょう。
そんなタイには日本の企業も数多く進出し、トヨタやホンダ、日産などの大手自動車メーカーが現地に工場をかまえるなど、アジアの重要な生産拠点として発展を続けています。
中国経済がスローダウンする中、タイを含むASEAN株の値動きは今後も安定して好調です。
今回はタイ株を始めようか検討している方へ、世界中の投資家から熱い注目を浴びているタイ株式市場の仕組みについて説明しましょう。
日本や欧米の支援を受け、急成長を遂げたタイ王国
国名 | タイ王国 |
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首都 | バンコク |
人口 | 6904万人(2017年) |
言語 | タイ語 |
日本との時差 | -2時間 |
通貨 | バーツ(100円=約29バーツ) |
タイのGDPは約3953億ドル(2015年)で、東南アジア圏内ではインドネシアに次ぐ経済規模を遂げています。全国の1人当たりの平均所得は月に約21,000円ですが、バンコク首都圏の平均世帯所得は月に約125,000円です。
1980年代からタイは急速に経済成長を遂げ、特に1985年からの10年間は年間平均9%の経済成長率を記録しました。
その理由として1980年代以降、関税のないASEAN諸国への輸出拠点に、タイへ日本や欧米諸国の企業が多く進出したことが上げられます。
現在も1000社以上の日本企業がタイに進出しており、この流れは今後もしばらく続くでしょう。
そんなタイでは、仏像や寺院の歴史的建造物やリゾート地などの観光資源を持つことや、地理的にもアジアの中央に位置することから、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアからも多くの観光客を集めています。
観光業はタイにとって大きな外貨獲得の一つであり、航空会社のタイ国際航空やバンコク・エアウェイズは世界でも大手企業として有名です。
またタイは農業が盛んで、米は生産量、輸出量とも世界で毎年上位を占めています。
米以外の農作物では、タピオカ、天然ゴム、穀物、砂糖などが挙げられ、沿岸部ではエビの養殖も行われており、その加工品の輸出も盛んです。
タイでお勧めの有望企業3社
タイの株式市場では、米などの農作物輸出関連企業のほか、日本や欧米からの投資によって建てられた工場から、現地の中小企業にも有望企業がひしめいています。次に、タイの株式市場で人気のある大手企業について紹介します。
【病院】バンコク・ドゥシット・メディカル・サービス
病院を運営しているバンコク・ドゥシット・メディカル・サービス(BDMS)は、売上高、時価総額でタイ最大の民間病院運営会社です。
首都バンコクを中心に29箇所と、カンボジアにも展開しています。
しかし海外では医療も立派なビジネスとして考えられ、病院に投資するのも一般的なんです。
そのため病院の時価総額ランキングでもアメリカ、ドイツ、マレーシアに続き、タイのバンコク・ドゥシット・メディカル・サービスは、世界第5位の大企業なんですよ。
総ベッド数は5300床以上あり、欧米などに留学経験のある質の高い医師が多いため、医療技術にも専門性が高いのが特徴です。看護師にも教育に力を入れ、英語を話せる人材を揃えています。
現地住民だけでなく、欧米からの観光客も多く利用し、診療収入の約27%を占めています。2015年にはミャンマーにも進出を計画し、さらに事業拡大を進めている有望企業です。
【道路】バンコク・エキスプレスウェイ
バンコク・エキスプレスウェイは、タイ政府系の高速道路交通公社(EXAT)と契約し、2020年まで高速道路の建設および関連プロジェクトの管理を行なっています。
その中でも、バンコクから北に向かう第2高速道路は、バンコクの交通量増加から利用者の拡大が期待されています。
また、首都圏の新規プロジェクトとしてバンコク初の環状道路建設や、ミャンマーへ続く高速道路の建設も予定されているなど、今後も安定した経営を続けられる有望企業です。
タイ国内では鉄道網の整備が遅れているため、国内貨物や旅客の輸送を長距離トラックやバスが大部分を担い、バンコクの交通渋滞は大きな課題となっているため早急な対策を求められています。
【電力】ラチャブリ・エレクトリシティ
ラチャブリ・エレクトリシティは、タイの大手発電会社で、タイ発電公社(EGAT)から分離民営化し、2000年に上場しました。タイでは急速な経済発展から近隣の国から電力を購入するなど、電力需要はさらに高まっています。
またラチャブリ・エレクトリシティは、海外への投資開発も積極的に行い、ラオスに出資したり、ミャンマーでも発電所の建設を計画しています。
国内外で電力供給のインフラを支える企業の一つとして今後も成長が期待できる有望企業です。
タイの株式市場はSET市場とmai市場の2つ
ここで紹介した企業は、タイの証券取引所に上場しています。タイの取引所はSET市場とmai市場の2つで構成され、東京証券取引所に例えるとSET市場は東証一部、mai市場はマザーズに相当します。
タイの証券には、タイ人が取引できるローカル株(L株)、外国人が取引できるフォーリン株(F株)、タイ人も外国人も取引できるNVDRの3種類があります。
NVDRは「議決権なし預託証券」と呼ばれ、保有しても議決権はありませんが配当は受け取ることができます。
日本人がタイの株を買うには、フォーリン株かNVDRの2種類ですが、フォーリン株はNVDRに比べて割高で、買い手と売り手がともに少ないため売買が成立しにくいのが特徴です。そのため議決権はないですがNVDRをお勧めします。
タイ国内の投資家向けで、外国人投資家がローカル株を所有した場合、議決権や配当等の権利はありません。
外国人投資家向けで、議決権や配当等の権利も付きますが、取引銘柄や流通株数などが制限されているため、株価の流動性が低く価格もローカル株に比べて割高に取引されます。
議決権はありませんが、配当等の権利はローカル株同様に行われ、価格もローカル株と同様の値動きをします。
日本でもリアルタイムで取引できるタイ株式
日本人がタイの株を購入するには、大きく分けて2通りあります。
2つ目は、日本の証券会社を通じて購入する方法です。日本の証券会社の中には、アメリカや中国など外国株式も多く取り扱っている証券会社もあり、口座を開設すれば誰でも取引が可能です。
例えばSBI証券では、約定代金の1%(最低手数料は税抜で761バーツ、約2,500円)を手数料として支払うだけで取引ができます。
さらに、現地とのリアルタイム取引が可能なので、日本にいながら買いどき、売りどきを逃しません。
しかし、注意する点はタイの証券会社に上場している銘柄全てを購入できるわけではなく、SBI証券でも選定された約67銘柄のみと、取引ができる株式に制限があります。
日本の大手証券会社では、SBI証券のほかに楽天証券でもタイ株の取り扱いがあるので、詳しくは各証券会社のホームぺージをご覧ください。
タイ株式を取引するなら、やはりSBI証券か楽天証券がおすすめです。これから口座を開設した人はぜひこちらから行ってくださいね。
ASEANの主要国として今後も成長が期待できるタイ
タイの隣国であるミャンマーには、ヤンゴン証券取引所が2015年に開設されました。しかし取引できるのはミャンマー人に限られており、まだ外国の投資家が直接ミャンマー株を買うことはできません。
ただし、タイ株式市場に上場するミャンマー関連企業の株に投資することは可能です
日本からはタイの証券取引所を通じて民主化を歩み始めたミャンマーに投資することもできるんです。
まさに今が買いどきとも言えます。
先ほど紹介した高速道路を建設するバンコク・エキスプレスウェイも、バンコクからミャンマー、ラオス、カンボジアを結ぶ物流ルートを計画中。
今後もタイの経済成長から目が離せません。