株式投資では、株価の変動によって損益が発生します。実はこの株価の変動、値幅制限によって、ある一定以上もしくは以下にならないように管理されているんです。
例えば、500円の株を買ったとしましょう。この株が翌日、1,000円になることはありません。
株価500円の株には±100円の値幅制限があり、翌日株価が上昇するとしても最高600円。同様に下落したとしても400円なんです。
値幅制限いっぱいに株価が上昇することを「ストップ高」、値幅制限いっぱいに株価が下落することを「ストップ安」といいます。
ここではストップ高・ストップ安と値幅制限について解説していきますね。
ストップ高・ストップ安とは株価が値幅制限の上限・下限に達すること
ストップ高とは株価が1日の値幅制限※の上限まで上昇すること、ストップ安とは下限まで下落することです。
次のような場合は、ストップ高になることが多いです。
- 業績の上方修正を発表したとき
- 経済政策が発表されたとき
反対にストップ安は、次のような場合になることがあります。
- 倒産や不祥事などのニュースや情報が出たとき
- 業績の下方修正を発表したとき
通常の取引では、買い注文と売り注文が同じ株数になったところで株価は決定します。
しかし買い注文もしくは売り注文のどちらかが殺到し、株価がストップ高もしくはストップ安になると、通常の板寄せ方式※では売買が成立しないのです。
詳しくは「注文が交錯している状態で登場する板寄せ方式」で解説しているので、ぜひ読んでみてください。
そういった場合には、次に説明する「比例配分」という方法が利用されます。
比例配分とは?板寄せで売買が成立しないときの配分方法
「比例配分(ストップ配分)」では証券取引所が売買を成立させ、成立した株数を注文数が多い証券会社から順に1単位ずつ配分します。
例えばストップ高で買い注文が10万株、売り注文が1,000株の場合の比例配分を見てみましょう。
B社→A社→C社という順番で1単位100株ずつ配分すると、次の表のように配分することができました。
左から配分 | B社 | A社 | C社 |
---|---|---|---|
1巡目 | 100株 | 100株 | 100株 |
2巡目 | 100株 | 100株 | 100株 |
3巡目 | 100株 | 100株 | 100株 |
4巡目 | 100株 | なし | なし |
この例の場合、A社に300株、B社に400株、C社に300株配分。
配分された後、各証券会社は社内ルールに基いて、その株を投資家へ配分します。
各証券会社の配分ルールは次のとおりです。
証券会社 | 配分ルール(優先内容) |
---|---|
SBI証券 | ・成行 ・注文時刻 |
むさし証券 | ・成行、寄付 ・注文時刻 |
マネックス証券 | ・注文時刻 |
楽天証券 | ・成行 ・注文時刻 |
松井証券 | ・成行、寄付 ・値段、数量 |
SBIネオトレード証券 | ・注文時刻 |
GMOクリック証券 | ・注文数量 |
ストップ高もしくはストップ安のときに「1単元でも取引したい」」ということであれば、いち早く注文を出しましょう。
また多くの証券会社では注文時刻を優先しますが、松井証券とGMOクリック証券は数量を優先しています。
出遅れてしまった場合でも、多く注文することができるのであれば、取引ができる可能性があるんですよ。
値幅制限は前日の終値で決まる!値幅制限の一覧と拡大される条件
値幅制限は次の表のとおりです。
前日の終値 | 値幅制限 |
---|---|
100円未満 | ±30円 |
100円以上200円未満 | ±50円 |
200円以上500円未満 | ±80円 |
500円以上700円未満 | ±100円 |
700円以上1,000円未満 | ±150円 |
1,000円以上1,500円未満 | ±300円 |
1,500円以上2,000円未満 | ±400円 |
2,000円以上3,000円未満 | ±500円 |
3,000円以上5,000円未満 | ±700円 |
5,000円以上7,000円未満 | ±1,000円 |
7,000円以上10,000円未満 | ±1,500円 |
10,000円以上15,000円未満 | ±3,000円 |
15,000円以上20,000円未満 | ±4,000円 |
20,000円以上30,000円未満 | ±5,000円 |
30,000円以上50,000円未満 | ±7,000円 |
例えば前日の終値が700円だった場合、値幅は次のようになります。
ストップ高・ストップ安で値幅制限は拡大される!拡大の条件は2つ
値幅は条件を満たした場合に、上限もしくは下限のいずれかが拡大することもあります。
東証に上場している銘柄の場合、条件は次のとおりです。
- 3営業日連続でストップ高またはストップ安
- 3営業日連続で出来高なし
このようにストップ高もしくはストップ安で出来高なしが続いた場合、次のように値幅が拡大されます。
- ストップ高が続いているときは、上限のみ2倍拡大
- ストップ安が続いているときは、下限のみ2倍拡大
例えば500円の株でストップ高の場合、値幅制限が拡大されるのは次のようなときです。
ストップ高 | 株価 | 出来高 |
---|---|---|
1日目 | 600円 | なし |
2日目 | 700円 | なし |
3日目 | 850円 | なし |
値幅制限の拡大は、ストップ高価格もしくはストップ安価格以外で売買が成立した場合に解除されます。
- 上限が拡大された場合は、ストップ高以外の価格で売買が成立
- 下限が拡大された場合は、ストップ安以外の価格で売買が成立
値幅制限の拡大が解除されると、翌営業日から通常の値幅に戻ります。
ストップ安になった原因が、今後その企業が立ち直れないほどの内容ならで少しの可能性に賭けてでも売ったほうがいいかもしれないな。
しかしストップ安やストップ高はいつまでも続くわけじゃない。例えば業績の下方修正など一時的なものによるストップ安なら、今後また元の株価に戻る可能性だってあるんだ。
慌てて売り払うんじゃなくて、状況を把握し、今後の可能性も考えて取引するんだぞ。
ストップ高・ストップ安の気配があるなら時間外取引をしよう!
多くの企業は決算発表を15時以降に行うため、取引時間外でもストップ高・ストップ安の気配があるケースがあります。
通常なら翌営業日まで待つ必要がありますが、SBI証券のPTS取引なら取引時間外の取引が可能です。
PTS取引の特徴は次の2つがあります。
- 8:20~23:59まで取引可能
- 取引所取引より手数料が約5%安い
PTS取引の取引時間は、デイタイムセッション(昼間取引)は8:20~16:00、ナイトタイムセッション(夜間取引)は17:00~23:59です。15時以降に公表された決算発表や、経済ニュースを参考にじっくり取引できますよ。
さらにPTS取引は手数料も安くなるので、投資効率がよくなるという嬉しい効果も。
ストップ高・ストップ安になりそうな銘柄でも、事前に取引することができるPTS取引を使うには、SBI証券の口座開設が必須です。ぜひこちらから口座開設してくださいね。
ストップ高・ストップ安は過度な値動きを抑制している!
ストップ高・ストップ安になっている銘柄の売買を行う場合は、いつも以上に冷静に判断するように心がけてくださいね。