ロシアは、経済発展が目覚ましい新興国の代表5国を総称する「BRICs」の1角。
海外の投資先と言えば、タイやベトナムなど今後発展が期待できる東南アジア諸国を連想しがちですが、ロシアも忘れてはいけませんよ。
またロシアには、基本的に割安株が多いという特徴もあります。
これには、2014年のウクライナ問題で欧米諸国から経済制裁を受けていること、さらに原油価格の下落が要因の一端です。
経済制裁も原油価格の下落も永久に続くわけではないので、今は割安株が多いものの今後持ち直すことは大いに期待できます。
この記事では、ロシアの経済情勢やロシアの個別銘柄について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
リーマン・ショック時の水準に迫るほど低迷したロシア経済
国名 | ロシア連邦 |
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首都 | モスクワ |
人口 | 約1億4,450万人(2017年) |
言語 | ロシア語 |
日本との時差 | -6時間(モスクワ) |
通貨 | ルーブル(1ルーブル=約1.72円) |
ロシアに投資するには、まずロシアについて知っておく必要があります。
ロシアは天然資源が豊富な国で、なんと輸出の80%を資源に頼っています。
なかでも原油の輸出が大半を占め、その輸出額は世界第1位。
もともとロシア株は割安で売られていたのが特徴ですが、そこに原油安が相まって、ロシア株はさらに安くなっています。
しかしこの原油価格の下落だけでなく、アメリカやEU諸国からの経済制裁もロシア経済に多大な影響を及ぼすことに。これは2014年にロシアがクリミア半島へ軍事介入したことが原因です。
このウクライナ問題では、親ロシア派とウクライナ政府軍の間で紛争が起き、これまでに約8,000人の死者が確認されています。兵士以外にも民間人の死傷者が目立ち、西側諸国からの反感が高まってロシアへの経済制裁が続いています。
欧米からの経済制裁と原油安によって、ロシア通貨のルーブルは2014年から暴落し、一時通貨危機状態まで陥りました。
これに合わせ株価も下がり、2008年のリーマン・ショック時の水準に迫るほど低迷しています。
また、欧米の経済制裁もウクライナ問題が解決されれば解消されるので、今後のロシア政府の動きに注意してみましょう。
広大な土地や豊富な資源を活用したロシアの産業
ロシアの主な産業は先ほども説明したとおり天然資源の輸出がメインで、世界的に見ても資源の豊富な国の1つと言えます。
原油以外にも天然ガス、石炭、金、ダイアモンドなど世界シェアの上位に並ぶものがたくさん挙げられます。
その他に、ロシアの広大な土地を利用した農業も盛んで、小麦や大麦のほか、じゃがいも、テンサイなどの農作物で世界トップクラスの生産量を誇っています。
また、鉄鋼業や化学工業なども盛んで、特徴的なものとしてはソ連時代から重要な地位を占める軍需産業があります。ロシアや中国など、世界の軍事費は年々膨らんでいるため、軍需産業は今後も成長を続けていくでしょう。
では、次にロシアの産業で投資にお勧めしたい有望企業についてご紹介します。
2016年の中国の国防費は9543億元と発表されたが、実際には公表されている額よりも多く軍事関係に支出しているのでは?と指摘されているな。
資源の輸出量では世界でも最大手!ロシアの有望企業
ロシアは国土が広く、原油や天然ガスなどの資源も豊富な大国のため、世界的にも競争力のある有望企業がたくさんあります。各企業の株価の推移を見ると、先ほど説明した欧米諸国からの経済制裁や原油価格の下落から現在は数年前より下がっています。
今回は天然資源に関連した企業と、株価がロシア経済と連動しやすい銀行をお勧め銘柄として紹介します。
【石油】ルクオイル
ルクオイルはロシアで大手の石油会社で、もともと西シベリアにあった3つの石油会社を合併して設立しました。
同社は民間の企業としては世界最大の石油会社で、主にEU諸国やアメリカでガソリンの販売を行っています。
ロシア国内だけでなく、世界約40カ国で原油の生産や販売を行っており、生産量は世界でもトップクラスの大企業です。
ルクオイルはロシア企業で初めてニューヨーク証券取引所に上場した格式ある企業で、海外での事業の買収が盛んな有望企業として、今後の事業展開が気になる注目銘柄です。
【天然ガス】ガスプロム
ガスプロムはロシア政府が50%以上の株式を保有する国有企業です。国内の天然ガスの採掘高約90%を占め、生産・供給・販売まで総合的に行い、ロシアの天然ガス事業をほぼ独占しています。
従業員は関係会社も含めると約40万人を超え、ロシア国内だけでなく、中央ヨーロッパまでガスパイプラインを伸ばし、輸出を行っています。また計画は難航しているものの中国や日本にもガスパイプラインを引く計画があり、今後も成長が期待できる企業です。
天然ガス以外に電力や石油事業も拡大し、ロシアのエネルギー産業を担う企業として海外投資家からも注目を集めています。
【銀行】ズベルバンク
ズベルバンクは1841年設立のロシアで最大の銀行です。国内銀行の総資産約4分の1を占める旧国営貯蓄銀行で、ロシアだけでなく、世界的に見ても大きな総資産規模を誇ります。ロシア国内で約2万箇所に支店があり、海外にもウクライナやカザフスタンに支店を展開しています。
ロシア国民半数以上のシェアを確保し、企業の時価総額も世界トップレベルですが、現在は欧米諸国の経済制裁を受けているため、アメリカ金融市場での資金調達を禁止されるなど、資金調達コストが上がり経営が圧迫しています。
しかし株価を見る限りでは2014年の末に底値を記録したあと、2015年から順調に回復傾向にあるため期待度は高まっています。
一時期は経営破綻まで噂されましたが、株価が下がって割安な今が買いのチャンスとなり要チェック銘柄として話題となっています。
ロシア株を取り引きできる日本の証券会社はSBI証券
日本からロシア株を取り引きするには、SBI証券に口座を開設する必要があります。SBI証券はロシアの証券取引所であるMICEXに上場している厳選した約32銘柄を取り引きできます。
手数料(全て税抜)は、ネット取り引きの場合、約定代金の1.2%で最低手数料500ルーブル(約1,000円)。電話での注文の場合は、約定代金の1.48%で最低手数料700ルーブル(約1,400円)です。
日本国内の株と比べると、ロシア株の取り引きは手数料が割高なので、小さな値幅で何回も取り引きする投資スタイルではなく、ロシア経済が正常に回復するまでの中長期で保有する投資スタイルがお勧めです。
ロシア株を取引できるSBI証券について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。
ロシア株はどれも割安!今が絶好の買いタイミングかも
ロシア株へ投資しようか迷っている人は、ロシア企業の分析の前にまずはウクライナ問題がどうなるのか、原油の価格下落は回復するのかを調べる必要がありますね。
今後のロシア政府の対応やOPECの動向が気になります。
もちろんこの先、さらに下がる可能性もあるので、なかなかこの時期にロシアへ投資と考えるのは勇気がいりますが、あとから考えると今投資したからこそ大きな利益を得ることができたという場合もあります。
このようにリスクはありますが、今後のロシア情勢に注意しながら高騰が期待できるロシア株に挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。